ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。
グローバルでビジネスをしていると、いきなり本格的に始めるのではなく、まずは予備調査から始めよう、と段階的なステップを踏むケースがあります。では、この「予備調査をする」を英語で何と言えばいいでしょうか。
もちろん日本語でも「パイロットテスト」と片仮名で言うように、“pilot test”という英語を使っても表現できるのですが、今回覚えていただきたいフレーズは“test the water”。直訳すると「水を検査・調査する」になりますが、「水に入る前に水温を調査する」ような慎重なイメージからでしょうか、「予備調査をする」「パイロットでテストをする」という意味を持ちます。英語からぱっと思い浮かぶような意味を持たない慣用表現ですので、これを機に覚えてしまいましょう。
ちなみに、 “test the water”をやや難易度の高い日本語で表現すると「瀬踏みをする」となるでしょうか。「瀬踏みをする」は、「川の瀬の深さを慎重に調べるように何かを始める前に少し調べて様子を伺うこと」を意味する慣用表現ですが、英語でも日本語でも共通して〈水〉の比喩が使われているのは興味深いですね。
具体的には次のように使えるでしょう。
A:We should test the water before going into top gear.
B:Yeah, that sound like a plan.
A:本格的に実施する前に予備調査をするべきだと思う。
B:そうだね、いい考えだね。
ぜひ使ってみてください!
日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CRO・シミックのシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。立教大学(社会デザイン学 [博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳 [修士])卒。英検1級、全国通訳案内士、国連英検・特A級(外務大臣賞)。日本会議通訳者協会(JACI)のHPでコラム「製薬業界の通訳」を、『通訳翻訳ジャーナル』(2022-23年)でコラム「専門分野の通訳に挑戦【製薬編】」を連載していた。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版)、『ジェンダー研究と社会デザインの現在』(三恵社)がある。 立教大学・兼任講師/研究員、社会デザイン学会・理事。趣味は小6から続けているテニス。