2023.07.25 UP
第162回 I can see where you’re coming from./“I hear you.”の類似表現
ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。
前回、第161回では、日本語の「おっしゃりたいことは分かります(が必ずしも同意はしていません)」に相当する“I hear you.”を紹介しました。今回ご紹介するのは、その“I hear you.”の類似表現である“I can see where you’re coming from.”です。最近、通訳をしている会議で何度か耳にしたので取り上げてみることにしました。
私なりのイメージですが、“I can see where you’re coming from.”を直訳すると「私はあなたがどこから来ているか分かります」ですので、そこから派生し、「おっしゃりたいことは分かります」という意味を持ちます。必ずしも出身地の話ではないので気を付けましょう。通常、話者は、この表現の後に本音を述べて反論することがほとんどですので、反論がきつく聞こえないように相手に配慮する枕詞のような表現です。“I hear you.”と同様に、相手の言っていることを理解・同意している訳ではないが取り敢えず言いたいことは分かる、という文脈で使うといいでしょう。
なお、“I can see~”の代わりに“I see where you’re coming from.”や“I know where you’re coming from.”と言うことも可能です。合わせて覚えておきましょう。
具体的には次のように使えるでしょう。
A:[投資家]“We think your business performance can improve.”
B:[あなた]“I can see where you’re coming from, but…”
A:われわれは御社の事業状況は改善可能だと考えています。
B:おっしゃりたいことは分かりますが・・・
ぜひ使ってみてください!
会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。