ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。
私が生業(なりわい)としている通訳業は、コロナ以前は国内外問わず出張が多い職業でした。ご多分に漏れず、私も一時は年に3~4カ月は日本にいない、という生活を送っていました。しかし現在はすっかりリモート通訳が普及・定着し、出張数も激減しています。
コロナのはるか以前、アメリカで通訳者として働き始めたころ、出張帰りに乗ったハイヤーの運転手と話していて、「通訳者は出張に出ていることが多いのか」と聞かれたときに出てきたのが、今回取り上げたい表現“on the road”でした。直訳すると「道路上で」となりますが、そこから派生したのでしょう、「出張中」「巡業中」といった意味になります。出張中というと“be on a business trip”や“be away on business”という表現をつい使ってしまいがちですが、ぜひ“on the road”もボキャブラリーに加えてみてください。なお、“on the road”は、例えば「路上生活中の」といった多義的な意味を持つ表現ですので、「出張中」という意味であると文脈から判断できる場面でうまく活用していただければと思います。
具体的には次のように使えるでしょう。
A:How many days out of the month are you on the road?
B:Just a few days.
A:月のうち何日は出張されていますか?
B:ほんの数日ですね。
ぜひ使ってみてください!
会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。