海外在住の通訳者・翻訳者の方々が、リレー形式で最新の海外事情をリポート! 海外生活をはじめたきっかけや、現地でのお仕事のこと、生活のこと、また、コロナ下での近況についてお話をうかがいます。
会議通訳者。大阪出身、アメリカ カリフォルニア州在住。日本で美大を卒業後、カリフォルニアの大学で経営マネジメントを学ぶ。現地大手企業で社長秘書、社内通訳・翻訳者として計6年間勤務した後、フリーランス翻訳者として数千件のプロジェクトを手掛ける。2009年にランゲージサービス会社EJ Expertを設立。現在は会社経営の傍ら同時通訳者として活躍し、同社主催のWeb通訳講座の講師も務める。ブログ:https://ameblo.jp/tsu-honyaku/
遠隔通訳依頼が増加し、
2020年秋は例年以上の繁忙期に
新型コロナウイルス感染症の影響は、こちらでは2020年の2月後半から出始めました。3月・4月は入っていた仕事の多くがキャンセルになりましたが、弊社で開講している通訳講座はもともとすべてオンラインで、定例会議の遠隔通訳も毎週入っていたので、仕事は完全にゼロにはならずにすみました。
2020年5月あたりからは、ポツポツと遠隔通訳の問い合わせが増加。これまで弊社では日米の大手企業との取引がほとんどでしたが、HPから日本の中小企業や非営利団体や行政機関などの引き合いが増えて、対応分野の幅が広がりました。
9月に入ってからは、オンライン開催の大型カンファレンスや国際会議の案件も大幅に増えました。春に延期せざるを得なかった企業が、秋になって一気に大型の会議などのオンライン開催を始めたため、9月からは例年通りの繁忙期に戻っています。
通訳案件の受注数ですが、9月は前年比で1.25倍、10月は1.5倍と以前よりも忙しくなっており、出張や移動がなくなったことで、通訳者の稼働時間が増えています。どの企業もリモートワークで会議時間を短縮する傾向があり、そうなると一日に複数の案件を入れられるので通訳者としての収入は増えますが、それだけ事前準備に時間が取られます。
繁忙期が戻ってきたのはうれしいですが、遠隔通訳は、対面通訳に比べるとより聴覚と視覚を使うので短時間でもすごく疲れます。突然接続が悪くなったり、さまざまなハプニングも起きやすいので神経がすり減ったりも。ワークライフバランスを考えてスケジュールを入れないと大変なことになります(身をもって経験済み)。
※ 記事の内容は2021年1月時点のものです。 写真/ブラッドリー純子さん提供
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