現地顧客とのつき合いには
コミュニケーション力が重要
アメリカのクライアント企業が通訳を起用する際、重要視されるのがコミュニケーション力です。まずは外国語の通訳者として、ネイティブに近い英語が話せることをアピールすると有利になります。例えば、見込み顧客とのメールでのやり取り、電話やウェブでの打ち合わせでは、ビジネスにふさわしい英語で的確に書く/話すことを意識しています。
いくら実績がすばらしくても、英語力が低い、日本語アクセントが強くて聞きづらい、と判断されると通訳者としてマイナスイメージになります。
また、シリコンバレーのIT企業は服装がカジュアルなことで知られていますが、だからといって通訳者もパーカーとジーンズで良いというわけにはいきません。もちろんGoogle やFacebook のような会社に紺のリクルートスーツなど着ていくとかなり浮きますが、訪問してくる日本企業に合わせて、現地のIT企業の社員も普段よりきちんとした服装でプレゼンをします。
フォーマルすぎず、かつ緩すぎな「シリコンバレー風のビジネスカジュアル」の度合いは、正直なかなか難しいところ。これまでの経験から「少しきちんとし過ぎたかな?」くらいの服装で行くと、プロフェッショナルな通訳者という評価に繋がる気がします。
こちらのクライアント企業を訪問するときに楽しみなのが、食事のクオリティが高いこと。今をときめく大手IT企業などは、人気レストラン並みのシェフが考えたメニューや食材を無料で提供。社員の胃袋をつかんでいて、私たち通訳者もその恩恵にあずかっています。
コロナ禍でしばらくカフェテリアとも無縁になっていますが、本当に恋しいのは通訳案件じゃなくて「実は食べることだったのでは?」と思い始めているくらいです。
(※こちらの内容は2020年8月時点のものです)
<ある1日のスケジュール>
5:00 起床
5:30 通訳現場に向けて出発
*渋滞を避けるため早朝に家を出る。通勤は自動運転車で! 高速道路はほぼ自動で走ってくれるので、通勤中に食事やメールチェック、メイクもできる。
9:00~ クライアント企業での会議通訳
18:00~ テレカン会議の通訳、買い物や食事など
*帰りも渋滞回避のため、現場での通訳が終わったら、車内で出来るテレカン会議の通訳をこなしたり、買い物や通訳パートナーと食事などして時間を潰す。連日続く案件のときはホテルに宿泊することも。
22:00 帰宅、入浴など
23:00 就寝
※ 写真/ブラッドリー純子さん提供