通訳者になるには?仕事の獲得方法や求められるスキルを解説
マンガで紹介! 通訳者の1日
通訳者になるための資格はなく、通訳スクールを修了したからといって必ずプロになれるわけではありません。また、通訳者はフリーランスで働く人が多いですが、ほかにも企業内の社内通訳、派遣会社経由の派遣スタッフなど、ワークスタイルは多様。そのため仕事の始め方やタイミングは人それぞれですが、「最初の仕事をいかに獲得するか」は、通訳志望者にとって何より大きな課題となります。以下からはフリーランスの通訳者として仕事を獲得するにはどんなスキルが必要か、どんな準備が必要かについて紹介していきます。
通訳者になるために必要なスキル
語学力
通訳は外国語を日本語に、日本語を外国語に変換するので、外国語、日本語の両方で高度な語学力が必要です。外国語を耳で聞いてすぐに理解するリスニング能力、ネイティブに通じる語彙力や自然な表現力が求められます。語学力は独学でも身につけられますが、語学留学や海外で現地の語学教育を受ける方法もあります。実際、通訳者には帰国子女や、留学・海外在住経験者が多いです。
通訳専門スキル
通訳スキルは、語学力とは別物です。2カ国語が話せるバイリンガルでも通訳ができるとは限りません。日本語と外国語、両方の運用能力を高め、訳出する専門技術を習得しなければならないのです。スピーカーが話す内容を耳で聞いて、すぐに訳を出すにはテクニックと慣れが必要。高度な専門スキルゆえに、体系的に指導する通訳者養成スクールも多数あり、通学する人が多いです。当サイトでは専門スクールを掲載しています。スクール探しにご活用ください。
専門知識
医薬・金融・文化・IT といった通訳する内容についての専門知識がなければ、正確で的確な通訳はできないといっても過言ではありません。そのため、大学を卒業したばかりの若い世代より、社会人経験を積んで幅広い知識を身につけた人のほうが通訳の仕事がやりやすい場合もあります。専門知識は、通訳者としての経験を積みながら磨いても間に合います。得意分野を持つことは重要ですが、どんな内容にも対応できるジェネラリストであることも求められます。特に新人はさまざまな仕事を受け、その都度、専門用語や表現を学んでいくという心構えが必要です。
まとめ
通訳者には国家資格や免許制度はなく、「こうしたら通訳者になれる」という明確な基準はありません。ただし、会議・ビジネス・政治の通訳に限らず、どんなジャンルの通訳でも「高度な語学力」、「通訳専門スキル」、「専門知識」の3つをバランスよく習得する必要があります。各スキルの習得方法や活躍中の通訳者のバックグラウンドはさまざまです。語学力を生かして通訳訓練を受けずにプロになる人もいれば、海外経験はないものの、会社の業務で外国語を使っていて通訳者に転身する人もいます。ですが、大学や通訳専門スクールで通訳スキルを習得して、通訳者になるというプロセスが一般的といえるでしょう。
通訳者としての初仕事の獲得法
未経験者に特にオススメ
・地方自治体や関連機関にボランティアとして登録し、経験を積む
・人材派遣会社に登録して、通訳関連の仕事に就く
・社内通訳者などを募集している企業に就職
・クラウドソーシングサイトを活用
スクールを活用したい人にオススメ
・通訳スクールが提示している求人情報に応募
・スクール関連の通訳エージェント(通訳会社)からの紹介で、国際会議の語学スタッフなど、簡単な通訳業務からスタート
・スクール関連の派遣会社経由で、社内通訳の仕事に就く
多少経験のある人にオススメ
・とにかく通訳エージェントに登録して、簡単な仕事から紹介してもらう
・知人、同業者に紹介してもらう
・クラウドソーシングサイトを活用
まとめ
フリーで働くには通訳会社(エージェント)への登録が基本的に必要ですが、登録条件として「通訳実務経験」を掲げる会社が多いため、「最初の仕事」は通訳会社経由ではないケースも多いです。初仕事のパターンはいくつか考えられますが、通訳スクールに通う人の場合は、在学中に国際会議の語学スタッフやアテンドなど、通訳関連の簡単な仕事からスタートするのがよいでしょう。通訳スクールの多くは系列に通訳会社や派遣会社があり、OJT制度があったり、受講生や卒業生を通訳者や語学スタッフとして起用したりすることもあります。
また、初仕事の内容はアテンドや随行が多く、純粋な通訳よりも案内・接客の要素が強いです。またイベントなど、内容が親しみやすく、逐次通訳よりも、コミュニケーションの仲立ちをするような場での仕事も多いといえるでしょう。
通訳会社への登録
登録のハードルは高く経験者限定が多い
最初からフリーランスでスタートする人もいれば、社内通訳者を経てフリーになる人もいます。具体的にどのレベルでフリーにシフトするかは実力や環境によりますが、フリーランスで働く=通訳会社(エージェント)に登録可能な経験とスキルがある、ということになります。
通訳会社は誰でも登録ができるわけではなく、一定の条件をクリアした上で、さらにスキル(レベル)チェックや面接を経て、登録となります。登録までのプロセスは会社により異なりますが、編集部が行ったアンケートによると、「書類選考+面接、必要に応じてスキルチェック」という会社が多く、応募条件を「通訳実務経験3年以上」とする会社も多いです。また、実務経験が優先されるため、同僚や先輩の「通訳者からの推薦・紹介」を重視する通訳会社もあります。
基本的には通訳経験のない人は登録ができないと考えてよいですが、例外もあるので会社のホームページなどをチェックしましょう。当サイトには求人情報を掲載しています。また、通訳会社リストも掲載しているので、チェックしてみてください。
通訳者としてのキャリアアップについて
一般通訳から会議通訳への壁
フリーランスとして通訳会社に登録しても、仕事内容は千差万別。通訳者は技術レベルによって「ランク分け」され、仕事内容が明確に分かれます。フリーランス通訳者の多くは、下のランクからスタートし、少しずつキャリアアップを図っていくことになるのです。
新人、中堅、ベテランへとキャリアアップをめざす中でなかなか越えられないのが、「一般通訳」から国際会議などが業務となる「会議通訳」への壁だと言われています。専門的な内容の国際会議などでの同時通訳は、通訳者にとっての最高峰。業界では、同時通訳に習熟し、そうした場に立てるごく一部の人を「会議通訳者」と呼び、「一般通訳」とは差別化する傾向にあります。
また、この通訳者のランク分けは通訳会社が決めるものであり、通訳者自身が口を挟むことができません。だからこそ、ランクを上げるにはとにかく実績を残すのみ。仕事は全力で取り組み、クオリティを維持することが大切です。10年経ってもまだ「中堅」という世界。あせらずに実績を積み重ね、通訳会社にアピールしていきましょう。
社内通訳はどのくらい続ける?
企業の従業員としての業務となる社内通訳では同企業で同分野の通訳の実践を重ねることになります。日々通訳を行うので通訳スキルが安定し、同テーマを扱ううちに専門知識が蓄積されるのがメリット。一方、同一環境で通訳を続けるとスキルが停滞するデメリットもあります。
またリモートワークや遠隔通訳が一般的になったことで、通訳者に出社を求めない会社もあります。そのため、遠方の通訳者が派遣社員や正社員として採用されることもあるようです。将来的にフリーランスをめざす場合は、社内通訳者の期間はある程度で区切ったほうがベターだとされています。環境に慣れすぎず緊張が保てるよう、2〜3年を目処にする人が多いようです。
現役で活躍している通訳者や翻訳者にインタビュー!