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2023.05.19 UP

第151回 go off on a tangent/サイン・コサイン・・・ではなく

第151回 go off on a tangent/サイン・コサイン・・・ではなく

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

グローバル会議で発言をしていて、少し話題からは逸れるけれどもどうしても情報を共有しておきたい、といった場面に遭遇したことはないでしょうか。今回、ご紹介するのはそんな場面で便利なフレーズです。

その表現とは“go off on a tangent”“tangent”というと、学校で習った三角関数「サイン・コサイン・タンジェント」の「タンジェント(正接)」を思い出してしまいますが、“tangent”には「接線」という意味がありますので、「“on a tangent(接線上で)“+“go off”(外れる)」⇒「話題から逸れる」というイメージでしょうか。

ちなみに「サイン(正弦)」のつづりは“sign(署名)ではなく“sine”、「コサイン(余弦)」は“cosign(連帯保証する)ではなく“cosine”ですので、気を付けましょう。

なお、“go off on a tangent“と互換性がある単語に“deviate”という動詞があります。英語は繰り返しを避ける言語ですから、こちらも合わせて覚えてしまいましょう。ちなみに筆者が専門とする製薬通訳では、“deviate”は「逸脱する」という‘ゴツい’訳になっています…!

具体的には次のように使えるでしょう。

A:[グローバル会議の発表者]I’m going to go off on a tangent a little here, so bear with me.
B:[司会]There’s no problem deviating from the original topic.

A:ここで少し脇道に逸れますが、お付き合いください。
B:本題から逸れても問題ないですよ。

ぜひ使ってみてください!

森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。