第151回 go off on a tangent/サイン・コサイン・・・ではなく

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

グローバル会議で発言をしていて、少し話題からは逸れるけれどもどうしても情報を共有しておきたい、といった場面に遭遇したことはないでしょうか。今回、ご紹介するのはそんな場面で便利なフレーズです。

その表現とは“go off on a tangent”“tangent”というと、学校で習った三角関数「サイン・コサイン・タンジェント」の「タンジェント(正接)」を思い出してしまいますが、“tangent”には「接線」という意味がありますので、「“on a tangent(接線上で)“+“go off”(外れる)」⇒「話題から逸れる」というイメージでしょうか。

ちなみに「サイン(正弦)」のつづりは“sign(署名)”ではなく“sine”、「コサイン(余弦)」は“cosign(連帯保証する)”ではなく“cosine”ですので、気を付けましょう。

なお、“go off on a tangent“と互換性がある単語に“deviate”という動詞があります。英語は繰り返しを避ける言語ですから、こちらも合わせて覚えてしまいましょう。ちなみに筆者が専門とする製薬通訳では、“deviate”は「逸脱する」という‘ゴツい’訳になっています…!

具体的には次のように使えるでしょう。

A:[グローバル会議の発表者]I’m going to go off on a tangent a little here, so bear with me.
B:[司会]There’s no problem deviating from the original topic.

A:ここで少し脇道に逸れますが、お付き合いください。
B:本題から逸れても問題ないですよ。

ぜひ使ってみてください!

会議通訳者・翻訳者 森田系太郎(もりた・けいたろう)/日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。

グローバルビジネス現場の英語表現 バックナンバー

第1回 get clarity on/around
第2回 the ask
第3回 deep dive
第4回 tee up / ゴルフの話ではなくて
第5回 razor focus / 剃刀のように鋭く!
第6回 with regard to / regardingはあまり使わない?
第7回 bring … up to speed / 新入りがやってきたら……
第8回 on the same page / われわれは同じページの上にいる!?
第9回 deck / ビジネスに必須のツールといえば?
第10回 incremental / ファイナンス会議で頻出
第11回 functional group / 機能集団=部署
第12回 resident / IT関連の会議で頻出!
第13回 moving forward / in the near futureより柔らかい表現は?
第14回 turn … around / ~を完成させる
第15回 home office / 自宅のようなオフィスとは?
第16回 regret / 残念がる人
第17回 a good segway into / あの電動立ち乗り二輪車ではなく…
第18回 be cognizant of / 他にも言い方はたくさんありますが
第19回 webinar / ウェブ+セミナー
第20回 walk through / プレゼンの常套句
第21回 buy-in / 株の買い付けではなく……
第22回 agnostic / 直訳は「不可知論者」ですが……
第23回 kick off / サッカーの話題ではなく……
第24回 element / 困ったときに頼れる単語
第25回 granularity / 物理学では「粒度」ですが
第26回 heavy lifting / 重量挙げ?
第27回 landscape /「ビジネスの風景」とは?
第28回 show-stopper / ショーを止めるもの?
第29回 COB / 「COBまでに送る」とは?
第30回 OOO / ゼロが3つ、その意味は?
第31回 ecosystem / ビジネス版「生態系」とは
第32回 a bit about / 猫も杓子もこの挿入句
第33回 the beauty is… / 美は強さ?
第34回 C-suite / Cをまとめて
第35回 look and feel / 「見て感じろ!」ではないです
第36回 as needed basis / 「必要に応じて」ぜひ使ってみてください!
第37回 readout / コンピューター分野では「読み出し」ですが
第38回 cadence / 「歩調」がビジネスで使われると
第39回 moving parts / 「可動部分」がビジネスで使われると
第40回 strawman / 藁人形たたき?
第41回 chime in / チャイムを鳴らして、ちょっと失礼します
第42回 park / 物事をいったん「駐車」する
第43回 firm up / 日本語でも英語でも「固める」
第44回 put a spin on / 物事にもスピンを効かせろ!
第45回 enabler / 実現を可能にしてくれるもの
第46回 delta / 三角州ではなくて………
第47回 at the end of the day / 「一日の終わり」ということは?
第48回 what’s your take? / あなたの見解は?
第49回 housekeeping announcement / 家事のことではなくて……
第50回 nice-to-have / ♪こんなこといいな できたらいいな
第51回 shoot an email / メールを撃つ!!
第52回 space / 「宇宙」や「スペース」以外の意味も覚えましょう
第53回 silo / 「倉庫」ではなく……
第54回 low-hanging fruit / 低いところにぶらさがっている果物?
第55回 one-pager / 資料は1ページにまとめましょう
第56回 workaround / 最善策がうまくいかない場合は
第57回 a lot on one’s plate / 「忙しそうだね」を英語で言うと?
第58回 true-up / 会計用語として使われます
第59回 AOB / アジェンダに見られる略語
第60回 pull-through / 最後まで引っ張りぬけ!!
第61回 technical glitch / ウェブ会議でよく起こる現象
第62回 go or no-go / そのまま進める? やめる?
第63回 PTO / 有給休暇を頂いております
第64回 take-home message / 自宅に持ち帰ってほしいメッセージ
第65回 undershooting / 目標を達成できませんでした……!
第66回 double down on / リスクを取って賭けに出る!
第67回 connect / つながりを求めて……
第68回 offline / 「オフライン」は電話会議にも使える
第69回 KSF / 成功要因
第70回 high-level / 「ざっくりと」は英語でなんて言う?
第71回 face-to-face / 顔を突き合わせて
第72回 one-on-one / ビジネスにおけるワン・オン・ワン?
第73回 pain point / ビジネスの「痛点」
第74回 apples-to-apples / リンゴとリンゴ??
第75回 check a pulse on / ビジネスの場面で脈を取る
第76回 Nice to e-meet you / メールで「はじめまして」は英語で何と言う?
第77回 Happy holidays! / 宗教の多様性に配慮した表現
第78回 burning question / 燃える質問
第79回 Have a good one / 挨拶に困ったらこの表現
第80回 iterative approach / 段階を踏んだアプローチ
第81回 BYOD / 私用のパソコンを使用可能
第82回 learning curve / ビジネスにおける「学習曲線」
第83回 sunset / システムを日の入りさせる
第84回 fit / 使用用途の広い“fit”
第85回 base / ベースは基盤です
第86回 ADI / 定例会議で頻出の用語
第87回 catch all / 「すべてを捕らえる」とこうなります
第88回 new hire / 動詞が名詞化されています
第89回 biobreak / 直截的な表現が避けられます
第90回 What’s your read? / takeの代わりにreadです
第91回 play devil’s advocate / 悪魔の代弁者を演じる?
第92回 south of / ~の南にあるとは?
第93回 Kr / 何の略か分かりますか?
第94回 home-grown / 直訳すると「自家栽培の」ですが
第95回 illustrative / 単なる事例であることを伝える語
第96回 redline / Wordの変更履歴から派生した言葉?
第97回 batch/1回分にまとめるときに使える単語
第98回 wet-ink/ 時代遅れになりつつあるもの?
第99回 e-sig/ デジタル時代ならではのもの
第100回 WFH/COVID-19で広まった表現?
第101回 turnover/アメリカとイギリスで意味が異なります
第102回 anecdotal/定量的ではなく定性的情報に使えます
第103回 triage/医療用語の応用?
第104回 organogram/ “organization chart”と同義語です
第105回 hiccup/ デジタル時代によく起こります
第106回 concatenate, truncate/ IT系の会議で出てきます
第107回 SME/ 2つの意味を覚えましょう
第108回 bandwidth/ 本来は周波数に関連した単語ですが・・・
第109回 footprint/ ビジネスで足跡を付けるとは
第110回 sign off/ 2つの意味を覚えておきましょう
第111回 deliverable/デリバリーのことではありません
第112回 placeholder/グローバル会議を設定する人なら覚えておきたい単語
第113回 backlog/お仕事は予定通りに行かないものです
第114回 window of opportunity/機会の窓とは?
第115回 up and running/機械と人間の両方に使えます
第116回 conflict/「紛争」という意味もありますが…
第117回 escalate/エスカレーターをイメージするとよい単語?
第118回 circle back to/ コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(1)
第119回 take the silence as a no/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(2)
第120回 mute/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(3)
第121回 wrap up/ コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(4)
第122回 stay on/ コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(5)
第123回 break up/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(6)
第124回 muffle/ コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(7)
第125回 pressed for time/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(8)
第126回 text/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(9)
第127回 double-check/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(10)
第128回 e-introduce/対面での自己紹介に代わるもの
第129回 copy/印刷ではありません
第130回 alignment/車のホイールアライメントではなく……
第131回 grandfather/おじいさんではなく……
第132回 friendly reminder/丁寧に再度問い合わせをしたいときに
第133回 pre-read/動詞が名詞化されています
第134回 itemize/詳細が知りたいときに便利です
第135回 route/ルートではなくラウト?
第136回 ballpark/野球場ではなく……
第137回 caveat/読み方はキャビア?
第138回 table/“テーブル”を動詞で使うと?
第139回 capability/そのまま片仮名でも使われるようになりました
第140回 The ball is in your court./テニスをイメージするとわかりやすい表現
第141回 nuance/ビミョーなニュアンス?
第142回 one-stop service/1カ所ですべて賄いましょう
第143回 track record/ついachievementと言ってしまいそうですが…
第144回 chip in/話に割り込む際に使えます
第145回 on the road/文字通りだと「道路上で」ですが…
第146回  NDA/商談に必須の略語
第147回 zoom in/out /リモート会議で使える句動詞です
第148回 wear a hat/ビジネスで「帽子をかぶる」とは?
第149回 short and sweet/短くて甘い?
第150回 color-code/「色の暗号」ではなく・・・