
目次
Contents
生成AIの進化がビジネスのあり方を大きく変え、通訳・翻訳業界にも影響を及ぼしつつあります。このような環境の中、業界の需要はどのように変化しているのでしょうか。
全国の翻訳会社に2024年の市場動向のふりかえりと2025年度の予測についてアンケートを実施しました。その結果をもとに今後の展望を探ります。
(『通訳翻訳ジャーナル』2025 SPRING より)
2024年の産業翻訳の仕事の増減は?
2024年の翻訳受注量はやや停滞気味?!
通訳翻訳ジャーナル編集部では2024年11〜12月、全国の翻訳会社44社にご協力いただきアンケート調査を行った。調査結果をもとに、2024年から2025年にかけての産業翻訳業界の市場動向を分析していく。
2024年の翻訳受注量は2023年に比べて「増えた」が27%、「同じくらい」が34%、「減った」が39%という結果となった(グラフ1)。
2023年の同様の調査では「減った」と「増えた」が同程度だったが、2024年は「減った」が「増えた」を上回っている。2020年、2021年はコロナの影響で翻訳需要が減少したものの、2022年から2023年にかけては回復傾向にあり、「仕事量はコロナ前の水準に戻った」とする翻訳会社も多かった。
しかし、2024年はその勢いが鈍化し、2023年と比べて受注が伸びたとは言えず、「減った」と感じる翻訳会社が多いことがわかった。

受注の増減の背景は? 受注単価は?
受注減の主な要因はMTと捉える翻訳会社が増加
翻訳受注の増加の要因としては「顧客の事業拡大」や「新規顧客の増加」が挙げられた。また、東証の英文開示義務化(2025年4月より)の影響で、IR関連の翻訳需要が増えたと回答した会社も複数あった。
一方、受注減少の要因として多かったのは「機械翻訳の影響」で、13社が挙げている(表2)。(グラフ1)で「受注が減った」と回答したのは17社だったため、受注減となった会社の約8割が機械翻訳の影響を受けていると捉えていることになる。
機械翻訳の普及に伴い、MT+ポストエディット(MTPE)による案件対応が増え、新たなニーズが生まれているケースもある。そのため、「MTの普及=翻訳会社の受注減」とは必ずしも言えないとの見方もある。
ただし、2024年は2023年よりも受注減の要因として「機械翻訳」を挙げる会社が増加したことから、機械翻訳の利用拡大によるマイナスの影響を受ける翻訳会社が増えていることがうかがえる。

受注単価に大きな変化はなく維持されている
翻訳受注単価(ソースクライアントである一般企業から翻訳会社に支払われる翻訳料金)については、「上がった」「やや上がった」が18%、「横ばい」が55%、「やや下がった」「下がった」が27%となった(グラフ3)。2023年は「やや下がった」「下がった」が16%だったが、2024年は27%に増えている。
一部には料金にシビアなクライアント(一般企業)もいるようだが、7割以上の翻訳会社では受注単価が維持されており、単価の大幅な下落が起きているわけではなさそうだ。

翻訳者への報酬は?
翻訳者への報酬の動向は横ばい
翻訳者への報酬については、「高くなっている」と「変わらない」がそれぞれ39%だった(グラフ4)。「高くなっている」との回答は、2023年の32%からやや増加している。一方、報酬が「下がっている」と回答した会社は20%で、2023年の9%から増えている。
2024年は急激な物価上昇を背景に、賃金を引き上げる企業もある中で、フリーランスが多い翻訳者の報酬は下がっているケースもあることがわかった。ただし、「高くなっている」と「変わらない」との回答が全体の約8割を占めており、支払う翻訳会社側の努力もうかがえる。

2025年の翻訳需要は?
同水準か減少傾向の予測が主流
2025年の翻訳需要予測については、「2024年並み」が39%で最も多く、次いで「微減」が36%だった(グラフ5)。「微減」と「大幅減」を合わせると40%を超え、「微増」と「大幅増」の合計20.5%を上回り、減少を予測する会社のほうが多いことがわかった。

2025年に翻訳需要の増加が予測される分野は? 翻訳業界の今度の動向は?
⇒より詳しく知りたい方は『通訳翻訳ジャーナル』2025 SPRINGをチェック!
おすすめの記事
-
2025.02.25 UP
通訳会社・翻訳会社で働こう! 職種や仕事内容を紹介【求人情報あり】
- #人材募集
- #キャリアアップ
- #営業・仕事獲得
-
2025.02.21 UP
【つーほんウェビナー特別編】フリーランス必見! 来年の確定申告に備えよう
NISA・iDeCo・ふるさと納税が学べる1時間 FPがオススメするかしこいお金の増やし方セミナー- #ウェビナー&イベント
- #キャリアアップ
- #事務・税務・法務
-
2025.02.21 UP
通訳翻訳ジャーナル2025年SPRING 2月21日発売!
- #キャリアアップ
- #仕事に役立つ本
-
2025.01.28 UP
『通訳者・翻訳者になる本2026』1月28日発売!
- #キャリアアップ
- #仕事に役立つ本