通訳・翻訳・語学関連の注目の新刊書籍を、著者の方のコメントとともに紹介します。
英語にない言葉をどう訳す! ?
通訳者の思考回路がわかる1 冊
『英語にないなら作っちゃえ! これで伝わる。直訳できない日本語』
橋本美穂 著 朝日出版社
出版社HP
【著者が語る】
言葉の本質をとらえ、外国人に伝わる英語を作る
「鬼に金棒」ということわざ、皆さんなら英語でどう表現されますか?
直訳して“ogre with an iron club”と言ったところで、外国人にはまず伝わらないでしょう。“The mighty become mightier”としてもよいですが、「鬼に金棒」という日本語が持つ独特のインパクトがうまく出ません。
そこで必要なのが、英語を作っちゃうという発想です! 一つひとつの単語をただ置き換えるのではなく、外国人がイメージしやすいコンセプトや言葉を選んで、本質をズバッと表現するのです。私はこのようなアプローチを「飛訳」と呼んでいます。
本書には「中二病」「逆ギレ」「客寄せパンダ」など、瞬時に訳すことが難しい53の言葉を収録し、異文化の壁を乗り越えて伝わる「飛訳」を生み出すまでの思考回路を説明しています。
また、実際の場面を想定して私が考案した会話例も掲載しています! 橋本美穂が自ら登場人物になりきって収録した会話文の音声もついています。こちらもぜひお楽しみいただけたら幸いです。
その他に、5つのコラムを盛り込みました。擬音語・擬態語を訳す際のアプローチや、たくさんある形容詞・形容動詞のニュアンスをどう使い分けるかなど、普段あまり語ることのない通訳者ならではの観点から書かせていただきました。本書をお手に取って、ぜひ皆さんも「英語を作る」おもしろさや難しさを味わってみて下さい。
※ 通訳翻訳ジャーナル2023年夏号より転載
1975年アメリカ・ヒューストン生まれ。幼少期をサンマテオで過ごしたのち、帰国し神戸市へ。兵庫県立神戸高等学校卒業後、慶應義塾大学総合政策学部へ進学、アジア経済開発学を専攻する。卒業後、キヤノン株式会社に総合職として入社し、コピー機などの事業企画を担当。同社に勤めながら通訳者養成学校夜間コースを修了し、入社9年目に通訳者になることを決意。2006年に退職し、日本コカ・コーラ株式会社の社内通訳を1年間務めたのち、フリーランスの会議通訳者となる。得意分野は金融、IT、マーケティングなど。これまでに担当した案件は6000件以上。CNN ENGLISH EXPRESSで人気コーナー「英語にないなら作っちゃえ!」を連載中。