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2023.11.01 UP

第7回 「可能である」の英語表現 possible

第7回 「可能である」の英語表現 possible

今回のキーワード: possible

このコーナーではこれまでも基本単語を取り上げてきましたが、今号の possible も中学校で学ぶ最重要単語のひとつです。ある程度学習が進んでくると「基礎語=知っている」と思ってしまい、あらためて語義を最後まで通読することがなくなりがちです。しかし、既知の語ほど奥が深いととらえ、あえて辞書の定義を見てみてください。たとえば possible の場合、形容詞の「可能である」という定義以外にも「潜在的資質のある」という用法もあります。また、score a possible( 最高点をとる)という名詞用法もあります。辞書は引くたびに新たな発見があるのですね。

● possibleの語源:「能力があること」

possible はラテン語の posse (能力があること)から来ています。pot-potent- も同じ語源で「能力」を表します。potentialpower とつながっていることがわかります。

● possibleの関連表現

ここでは「可能である」という表現を3つ見てみましょう。

① Is it possible for you to change the schedule?
(スケジュールを変えていただくことは可能ですか?)

Is it possible to … ? はよく使われる表現です。肯定文であれば It is possible to … ですよね。英語学習の際には肯定文と疑問文をセットで覚えるようにしましょう。また、新しいフレーズに出会ったらなるべく自分で英作文をし、使いこなせるようにすることが大切です。あとで忘れてしまっても構いません。とにかく「一度は口にする」ことを心がけていきましょう。

② That sounds like a feasible project. Let’s do it !
実行可能な計画のようだね。ぜひやってみよう!)

feasible は possible 同様、「可能である」という意味です。ただし、possible よりは堅い表現です。一つの単語を調べたらフォーマルな表現も把握しておきましょう。ちなみに feasibility study は計画や作戦に関する用語で、「実行可能性の研究」という意味になります。

③ Be realistic and set an attainable goal.
(現実的になって到達可能な 目標を設定しなさい。)

attainable は「到達可能な」という意味です。attain(達成できる)という動詞から派生した単語です。attain の tain はラテン語で「目指したものに手が触れる」という意味です。英語は語源をさかのぼってみると、ラテン語やギリシャ語を起源としたものがたくさんあります。ラテン語の世界を覗いてみるのも楽しそうですね。

次は英日通訳に挑んでみましょう。
ここまで見てきた「可能」に関連した表現を学習していきます。英日通訳の際にはくどくならず、主語で省略できる部分は大胆に省いてスッキリ聞きやすい日本語になることを目指してみてください。これまで同様、ご自分の訳出を実際にペンで書き込んでみましょう。

Next→英→日 通訳してみよう!

放送通訳者 柴原早苗
放送通訳者 柴原早苗Sanae Shibahara

同時通訳者。獨協大学およびISSインスティテュート講師。上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールドを経て現在はCNNをメインに放送通訳業にも携わる。近年では近年では米大統領選、ノーベル賞、エリザベス女王国葬、テニスATPカップ、G7広島サミット記者会見、ノーベル平和賞受賞ユヌス博士、国会議員連盟の通訳などに従事。通訳や英語関連のコラムも執筆中。