ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。
振り返ると一過性だったようにも思いますが、少し前に、日本語のビジネス会議で「釈迦に説法ですが・・・」という枕詞が流行った時期がありました。では、この「釈迦に説法ですが・・・」を英語でどう表現したらいいでしょうか。
その表現がこちら、“preach to the choir”です。直訳すると「[すでにキリスト教徒であるはずの]聖歌隊に対して[不必要にも]説教する(=教えを説く)」で、そこから派生して「すでに承知している人に対して説得する」⇒「釈迦に説法」となったイメージでしょうか。
また合わせて覚えておきたい類似表現に“preach to the converted”があります。“convert”は「改宗する」を意味する動詞で、それを受身形“converted”とし、そこに“the”を付けると名詞化して「改宗者(全体)」を意味します。それを踏まえると、“preach to the converted”は直訳で「[すでに改宗している]改宗者に対して説教する」を意味し、結局は“preach to the choir”と同じく「釈迦に説法」という意味になります。
具体的には次のように使えるでしょう。
A:I might be preaching to the choir here, but…
B:No problem, go ahead.
A:釈迦に説法かもしれませんが・・・
B:お気遣いなく、どうぞお話しを続けてください。
ぜひ使ってみてください!
会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。