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2023.05.19 UP

第158回 The floor is yours/直訳すると「床はあなたのもの」ですが‥‥

第158回 The floor is yours/直訳すると「床はあなたのもの」ですが‥‥

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

2023年5月8日からコロナの感染症法上の位置付けが2類相当から5類に変更され、対面の会議も徐々に増えてきました。講演者を招聘するような会議では、まず司会が講演者を紹介した後、講演に移るのが通常の流れです。この、講演に移行する際に司会が使える便利な表現が、今回ご紹介する“The floor is yours.”です。

“The floor is yours.”は直訳すると「床はあなたのものです。」となりますが、この“floor”は「会議場等のフロア」を指していますので、「会議場はあなたのものです」⇒「(会議場にて)ご発表をお願いします」という意味になるのです。なお、“floor”は「会議場にいる人たち」のことも指しますので、“We can ask the floor.”とすれば「ではフロアの皆さんに聞いてみましょう。」となります。

現アメリカ大統領のジョー・バイデン氏は、とある晩餐会で“The podium is yours.”というフレーズを使っていました。“podium”は演台・演壇を指す言葉ですので、フレーズ全体の意味は「演台はあなたのものです」⇒「(演台で)ご発表をお願いします」となります。発表者用に演台が置かれている場合はこのフレーズも使えますので合わせて覚えておきましょう。

具体的には次のように使えるでしょう。

(対面会議で)
A:(司会=Ms. Slovic)“So, Mr. Davis, the floor is yours.”
B:(発表者=Mr. Davis)“Thank you Ms. Slovic and everyone for having me here today.”

A:それではデービスさん、ご発表をお願いします。
B:スロビックさん、皆さま、今日はこちらにお招きいただきありがとうございます。

ぜひ使ってみてください!

森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。