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2023.05.19 UP

第139回 capability / そのまま片仮名でも使われるようになった英語

第139回 capability / そのまま片仮名でも使われるようになった英語

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

“capability” ビジネス英語でよく聞くケイパビリティの意味とは?

会社の強みをあらわす「capability」

“capability”という単語が会社紹介のプレゼン等でよく使われるようになってからしばらく経ちました。日本語でも最近はそのまま片仮名で「ケイパビリティ」と使われるようになっています。

“capability”は直訳すれば「能力」となりますが、グローバルビジネスの場面で使われると(その会社の)「専門性 expertise」「強み strength」といった意味に近くなります。

通常、会社の強みは複数あるので、複数形の“capabilities”の方をよく目にします。

また、あるウェブサイト(https://www.antelope.co.jp/navigation/consul/word/kana2/word3.html)によると、「コアコンピタンス core competence」とほぼ同義とされています。

“capability”は、状況によって違う意味にもなる

厚生経済学の分野には、1998年にノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センが提唱した「ケイパビリティ」という概念があります。

「生活上の選択肢が公平になるように人々が持つべき潜在能力」(https://liberal-arts-guide.com/amartya-sen-capability/)と定義されることから、こちらの「ケイパビリティ」は「潜在能力」とも訳されます。文脈・分野に合わせて意味・訳語を使い分けましょう。

 

ちなみに“capability”の形容詞形は“capable”ですが、よく見かける間違いが“be capable to do~”

正確には“be capable of doing~”ですので間違わないようにしましょう。「~できる」の意味で“to do”が使われるのは“be able to do”の方になります。

具体的には次のように使えるでしょう。

A:What are the company’s capabilities?
B:They specialize in market research and analysis.

A:その会社の強みは何かな。
B:市場調査と市場分析が専門だね。

ぜひ使ってみてください!

★前回のコラム

森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。