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2023.05.16 UP

第107回 SME / ビジネス現場での2つの意味を覚えましょう

第107回 SME / ビジネス現場での2つの意味を覚えましょう

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

グローバルビジネスでも通用する便利な略語「SME」

先日、NHKの日英同時通訳を聞いていたら、同時通訳者の方が“SME”という単語を使っていました。そこでの意味は「中小企業」で、“Small- and Medium-sized Enterprise”の頭文字を取ってできた略語です。

同時通訳で「中小企業」と出てくるたびに“Small- and Medium-sized Enterprise”と言っていたら時間が足りずに通訳が遅れてしまうので、短くて済む“SME”は便利な単語です。グローバルビジネスでも通用する言葉ですので、これを機に覚えてしまいましょう。ただし、“SME”には複数の意味があるので、最初に使う際には“Small- and Medium-sized Enterprise, or SME”と説明してから“SME”を単独で使うようにするとよいでしょう。

“SME”には複数の意味がある、と言いました。もう1つの意味が、“Subject Matter Expert”の略語としての“SME”です。特に私が専門とする製薬の分野では、“SME”と言えば“Subject Matter Expert(そのトピックの専門家)を指す場合が多いので、注意しましょう。

具体的には次のように使えるでしょう。

A:We’d like to invite an SME to our event.
B:The “SME” means a “Small- and Medium-sized Enterprise,” or “Subject Matter Expert”?

A:われわれのイベントにSMEを呼びたいね。
B:その場合のSMEは中小企業のこと?それとも専門家のこと?

ぜひ使ってみてください!

★前回のコラム

森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。