• 通訳

2023.05.16 UP

第102回 anecdotal / インタビュー調査などの逸話的な情報

第102回 anecdotal / インタビュー調査などの逸話的な情報

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

「anecdotal」定量的ではなく定性的情報に使えます

社会学的調査は大きく定量的調査(quantitative research)と、定性的調査(qualitative research)に分けることができます。量的に数字を使って統計学的処理をするのが前者、インタビュー調査などを通じて話されたこと(発話)を質的に分析するのが後者です。

ビジネスでは定量的情報(数字)によるエビデンスに重きが置かれることが多く、定性的情報にはそれほど重きは置かれませんが、それでも会議では「参考までに関係者に話を聞いた範囲では・・・」という形で定性的情報を提示することがあります。

このときにもちろん“qualitative”という単語を使ってもいいのですが、経験上、それ以上によく耳にするのが同じ意味を持つ“anecdotal”という単語です。

“anecdotal evidence”と言えば「事例証拠」という意味になり、定量的情報ではなく定性的な事例情報・参考情報としての証拠を指すことになります。

なお、“anecdotal”には「裏付けに乏しい」というネガティブな意味もありますので、気を付けながら使いましょう。

具体的には次のように使えるでしょう。

A:This is just anecdotal evidence but let me share it with you.
B:Sure, let’s see if it is useful.

A:これは数字で裏付けられた情報ではないのですが、共有させてください。
B:もちろんです。役立つ情報か、見てみましょう。

“anecdotal”、ぜひ使ってみてください!

★前回のコラム

森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。