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2023.05.16 UP

第101回 turnover / アメリカとイギリスで意味が違います

第101回 turnover / アメリカとイギリスで意味が違います

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

“turnover”は、アメリカ英語とイギリス英語で意味が異なるため要注意!

あなたは「離職率」という日本語を聞いて、英単語がパッと思い浮かびますか?

アメリカ英語では「離職率」のことを“turnover”と表現します。特に人事系のグローバル会議では頻出の単語ですので、ぜひ覚えておきましょう。

気を付けなければならないのは、イギリス(欧州)では“turnover”は「売上」を指す単語だということです。そのため、会議参加者の顔ぶれを見ながら意味を使い分けなければなりません。

一方、合わせて覚えておきたい単語が“attrition”
アメリカにおいては“turnover”と相互互換的に使用されることもありますが、厳密には“attrition”は(定年)退職や死亡などによる人員の削減(自然減)も含むようですので、必ずしも悪い意味を指す場合だけではないようです。

しかしながら、“turnover”は私の経験からしても基本的にネガティブな意味で使われ、その数字(離職率)は低ければ低いほど会社にとってよい状態を指します。

ちなみに離職者のことは“leaver”、離職者を減らすための社員維持の社内ポリシーは“retention policy”と表現されますので、合わせて覚えておきましょう。

具体的には次のように使えるでしょう。

A:What is the current turnover rate?
B:Not so good. It goes over 20%.

A:現在の退職率はどうなっている?
B:あまりよくないね。20%を超えているよ。

“turnover”、ぜひ使ってみてください!

★前回のコラム

森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。