• 通訳

2023.05.19 UP

第144回 chip in/話に割り込む際に使えます

第144回 chip in/話に割り込む際に使えます

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

第41回では“chime in”という表現を取り上げました。「(会話などに)割って入る」という意味があるとお伝えしましたが、毎回“chime in”ばかり言っていても芸がありませんので(英語では同じ表現の繰り返しは避ける傾向にあります)、今回は類似表現をご紹介したいと思います。

その類似表現とは“chip in”“chip”(少額のお金)を“in”(出す)わけですから「お金を出し合う」「カンパする」という意味もありますが、実は「話に割り込む」という意味もあります。ボキャブラリーを増やす、という意味で覚えてしまいましょう。

ちなみに前者の「お金を出し合う」という意味の方ですが、アメリカの大学院生時代に、院生用のメーリングリストで“I can chip in for gas.”という文をよく見かけました。院生、特に留学生は車社会のアメリカで車を持っていない学生も多かったので、たとえば週末に近くの大都市まで行きたい場合に、車で行く予定にしている人がいないか探す主旨のメッセージを投稿、その際に「便乗させてもらう代わりにガソリン(“gas”)代を負担するよ」という意味で上記の英文を加えていたのでした。

ちなみに私はテニスをするのですが、テニスでは相手のサーブをスライス・リターンで返しつつそのままネットに詰めるようなプレーを“chip and charge”と言います。“chip in”のもつ「割り込む」イメージが共通しているのでは、と感じます。

話は逸れましたが、「(会話などに)割って入る」という意味の“chip in”、そして“chime in”、また“jump in”“cut in”“jump cut in”も同じような意味を持っているので、これを機に全てまとめて覚えてしまいましょう。

具体的には次のように使えるでしょう。

A:May I chip in here?
B:Sure, go ahead.

A:ここで一言よろしいでしょうか?
B:もちろんです。お願いします。

ぜひ使ってみてください!

森田系太郎
森田系太郎Keitaro Morita

会議通訳者・翻訳者。日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。