第135回 route/ルートではなくラウト?

ネイティブが使う粋な英語表現を現場からお届け! グローバル化が進み、英語が飛び交う製薬業界。製薬会社で活躍している社内通訳者が、グローバルビジネスの現場で流行っていたり、よく耳にしたりする英語表現を紹介します。

日本語でも「ルート」と言うように、“route” は名詞で使われた場合は「通り」「道路」「通路」を意味することが多くなっています。そのイメージを持ちつつ、今回覚えて頂きたいのが動詞としての “route” 。(承認などに)「送る」「回す」ことを意味します。物事が“道”を通りつつ承認などに回されるイメージを思い浮かべると覚えやすいでしょうか。

ちなみに “route” の発音は、私が住んでいたアメリカでは「ルート」ではなく「ラウト」でした。イギリスの発音は「ルート」、アメリカでは「ルート」「ラウト」と書いてある辞書もありましたが、個人的にはアメリカ在住時に「ルート」という発音を耳にしたことはありませんでした。当時住んでいたニュージャージー州の自宅の近くにRoute 1(国道1号線)が走っていましたが、現地の方は皆さん「ラウト・ワン」と発音していました。

具体的には次のように使えるでしょう。

A:The invoice will be routed for approval and payment soon.
B:That’s great news, thank you for letting me know.

A:請求書はすぐに承認に回されて支払いがなされる予定です。
B:それはいい知らせです。お知らせいただきありがとうございます。

ぜひ使ってみてください!

会議通訳者・翻訳者 森田系太郎(もりた・けいたろう)/日米の大塚製薬を経て、現在は製薬CROのシミック㈱のシニア通訳者 兼 フリーランス通翻訳者。上智大学(法学[学士])、立教大学(異文化コミュニケーション学[修士]、社会デザイン学[博士])、モントレー国際大学院(翻訳通訳[修士])卒。編著書に『環境人文学 I/II』(勉誠出版、2017年)がある。日本会議通訳者協会(JACI)理事で、JACIのホームページでコラム「製薬業界の通訳」を連載中。立教大学・兼任講師/研究員、英検1級・全国通訳案内士・国連英検特A級保持者(外務大臣賞)。 趣味は小6から続けているテニス。

グローバルビジネス現場の英語表現 バックナンバー

第1回 get clarity on/around
第2回 the ask
第3回 deep dive
第4回 tee up / ゴルフの話ではなくて
第5回 razor focus / 剃刀のように鋭く!
第6回 with regard to / regardingはあまり使わない?
第7回 bring … up to speed / 新入りがやってきたら……
第8回 on the same page / われわれは同じページの上にいる!?
第9回 deck / ビジネスに必須のツールといえば?
第10回 incremental / ファイナンス会議で頻出
第11回 functional group / 機能集団=部署
第12回 resident / IT関連の会議で頻出!
第13回 moving forward / in the near futureより柔らかい表現は?
第14回 turn … around / ~を完成させる
第15回 home office / 自宅のようなオフィスとは?
第16回 regret / 残念がる人
第17回 a good segway into / あの電動立ち乗り二輪車ではなく…
第18回 be cognizant of / 他にも言い方はたくさんありますが
第19回 webinar / ウェブ+セミナー
第20回 walk through / プレゼンの常套句
第21回 buy-in / 株の買い付けではなく……
第22回 agnostic / 直訳は「不可知論者」ですが……
第23回 kick off / サッカーの話題ではなく……
第24回 element / 困ったときに頼れる単語
第25回 granularity / 物理学では「粒度」ですが
第26回 heavy lifting / 重量挙げ?
第27回 landscape /「ビジネスの風景」とは?
第28回 show-stopper / ショーを止めるもの?
第29回 COB / 「COBまでに送る」とは?
第30回 OOO / ゼロが3つ、その意味は?
第31回 ecosystem / ビジネス版「生態系」とは
第32回 a bit about / 猫も杓子もこの挿入句
第33回 the beauty is… / 美は強さ?
第34回 C-suite / Cをまとめて
第35回 look and feel / 「見て感じろ!」ではないです
第36回 as needed basis / 「必要に応じて」ぜひ使ってみてください!
第37回 readout / コンピューター分野では「読み出し」ですが
第38回 cadence / 「歩調」がビジネスで使われると
第39回 moving parts / 「可動部分」がビジネスで使われると
第40回 strawman / 藁人形たたき?
第41回 chime in / チャイムを鳴らして、ちょっと失礼します
第42回 park / 物事をいったん「駐車」する
第43回 firm up / 日本語でも英語でも「固める」
第44回 put a spin on / 物事にもスピンを効かせろ!
第45回 enabler / 実現を可能にしてくれるもの
第46回 delta / 三角州ではなくて………
第47回 at the end of the day / 「一日の終わり」ということは?
第48回 what’s your take? / あなたの見解は?
第49回 housekeeping announcement / 家事のことではなくて……
第50回 nice-to-have / ♪こんなこといいな できたらいいな
第51回 shoot an email / メールを撃つ!!
第52回 space / 「宇宙」や「スペース」以外の意味も覚えましょう
第53回 silo / 「倉庫」ではなく……
第54回 low-hanging fruit / 低いところにぶらさがっている果物?
第55回 one-pager / 資料は1ページにまとめましょう
第56回 workaround / 最善策がうまくいかない場合は
第57回 a lot on one’s plate / 「忙しそうだね」を英語で言うと?
第58回 true-up / 会計用語として使われます
第59回 AOB / アジェンダに見られる略語
第60回 pull-through / 最後まで引っ張りぬけ!!
第61回 technical glitch / ウェブ会議でよく起こる現象
第62回 go or no-go / そのまま進める? やめる?
第63回 PTO / 有給休暇を頂いております
第64回 take-home message / 自宅に持ち帰ってほしいメッセージ
第65回 undershooting / 目標を達成できませんでした……!
第66回 double down on / リスクを取って賭けに出る!
第67回 connect / つながりを求めて……
第68回 offline / 「オフライン」は電話会議にも使える
第69回 KSF / 成功要因
第70回 high-level / 「ざっくりと」は英語でなんて言う?
第71回 face-to-face / 顔を突き合わせて
第72回 one-on-one / ビジネスにおけるワン・オン・ワン?
第73回 pain point / ビジネスの「痛点」
第74回 apples-to-apples / リンゴとリンゴ??
第75回 check a pulse on / ビジネスの場面で脈を取る
第76回 Nice to e-meet you / メールで「はじめまして」は英語で何と言う?
第77回 Happy holidays! / 宗教の多様性に配慮した表現
第78回 burning question / 燃える質問
第79回 Have a good one / 挨拶に困ったらこの表現
第80回 iterative approach / 段階を踏んだアプローチ
第81回 BYOD / 私用のパソコンを使用可能
第82回 learning curve / ビジネスにおける「学習曲線」
第83回 sunset / システムを日の入りさせる
第84回 fit / 使用用途の広い“fit”
第85回 base / ベースは基盤です
第86回 ADI / 定例会議で頻出の用語
第87回 catch all / 「すべてを捕らえる」とこうなります
第88回 new hire / 動詞が名詞化されています
第89回 biobreak / 直截的な表現が避けられます
第90回 What’s your read? / takeの代わりにreadです
第91回 play devil’s advocate / 悪魔の代弁者を演じる?
第92回 south of / ~の南にあるとは?
第93回 Kr / 何の略か分かりますか?
第94回 home-grown / 直訳すると「自家栽培の」ですが
第95回 illustrative / 単なる事例であることを伝える語
第96回 redline / Wordの変更履歴から派生した言葉?
第97回 batch/1回分にまとめるときに使える単語
第98回 wet-ink/ 時代遅れになりつつあるもの?
第99回 e-sig/ デジタル時代ならではのもの
第100回 WFH/COVID-19で広まった表現?
第101回 turnover/アメリカとイギリスで意味が異なります
第102回 anecdotal/定量的ではなく定性的情報に使えます
第103回 triage/医療用語の応用?
第104回 organogram/ “organization chart”と同義語です
第105回 hiccup/ デジタル時代によく起こります
第106回 concatenate, truncate/ IT系の会議で出てきます
第107回 SME/ 2つの意味を覚えましょう
第108回 bandwidth/ 本来は周波数に関連した単語ですが・・・
第109回 footprint/ ビジネスで足跡を付けるとは
第110回 sign off/ 2つの意味を覚えておきましょう
第111回 deliverable/デリバリーのことではありません
第112回 placeholder/グローバル会議を設定する人なら覚えておきたい単語
第113回 backlog/お仕事は予定通りに行かないものです
第114回 window of opportunity/機会の窓とは?
第115回 up and running/機械と人間の両方に使えます
第116回 conflict/「紛争」という意味もありますが…
第117回 escalate/エスカレーターをイメージするとよい単語?
第118回 circle back to/ コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(1)
第119回 take the silence as a no/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(2)
第120回 mute/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(3)
第121回 wrap up/ コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(4)
第122回 stay on/ コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(5)
第123回 break up/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(6)
第124回 muffle/ コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(7)
第125回 pressed for time/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(8)
第126回 text/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(9)
第127回 double-check/コロナ禍で増えたウェブ会議で使えます(10)
第128回 e-introduce/対面での自己紹介に代わるもの
第129回 copy/印刷ではありません
第130回 alignment/車のホイールアライメントではなく……
第131回 grandfather/おじいさんではなく……
第132回 friendly reminder/丁寧に再度問い合わせをしたいときに
第133回 pre-read/動詞が名詞化されています
第134回 itemize/詳細が知りたいときに便利です