
現役翻訳者による時代の変化に応じた指導とキャリアサポート体制で多様なニーズに対応できるプロフェッショナルを養成
語学のプロフェショナル養成機関としての豊富なノウハウと、現役翻訳者の講師陣による授業で、将来を見据えた高いスキルを身につけられる。業界のリーディングカンパニー、㈱インターグループを母体に持ち、優秀な受講生には在学中から活躍の場が与えられる仕組みも、プロをめざす人には高いアドバンテージになっている。
訪問クラス 産業翻訳コースプロ実践科(日英)

訳語参照に使えるサイトなど調査方法も丁寧に解説
産業翻訳コース「プロ実践科」は、これまでに身につけてきた翻訳力をブラッシュアップし、「商品」として通用するレベルをめざす最上級クラスだ。需要の高いジャンルの文書を題材に、用途に応じた翻訳スタイルや表現力を磨く。実践科修了生は㈱インターグループのトライアルを受験でき、合格すると同社の登録翻訳者になれる。
取材したのは、日英クラスの第5回。このクラスでは、事前に受講生が提出した課題をもとに授業を進めていく。まずは架空の商社の会計監査計画を英訳する授業からスタートした。英訳サンプルを参照しながら、川口仁先生が解説していく。例えば「監査役会」を英語表記するにあたっては、翻訳を依頼された会社のウェブサイトで「監査役会」の英語表記を探して使うのがセオリーだが、見つからない場合は日本監査役協会が推奨する英文呼称「Audit&Supervisory Board」を使うとよい、とアドバイスした。また「体制」の英訳としてサンプルでは「flamework」を使っているが、system, structure,organization など訳語はいろいろあるので使い分けるとよいとのこと。
「このサンプルの場合、flamework を使う必要があるのかというと少し疑問に思います。むしろsystem のほうが、違和感がないでしょう。そもそも文書中の『体制』をすべて英訳する必要があるのか検証することも必要です。日本人は何にでも『体制』とつけがちですが、あえて英訳しないほうがすっきりする場合もあります」
続いては、架空の自治体のホームページに掲載される国民健康保険についての文章を英訳。国民健康保険についてはさまざまな自治体がウェブサイトなどで英訳を公開しており、参考にできるものも多い。ただし、自治体の英訳がどこまで信用できるかには疑問がある、と川口先生。
「機械翻訳を使っている自治体も多いので注意が必要です。大規模な自治体の英訳ウェブサイトを、必ず複数あたるのが望ましいですね。また、国民健康保険の場合は、国民健康保険法という法律があります。法務省が運営している『Japanese Low Translation(日本法令外国語訳データベースシステム)』というウェブサイトに英訳が出ているので参照してみましょう。世帯主はhouse holderと訳すことなどがわかります」
授業の中で受講生を悩ませたのが、「退職して職場の健康保険をやめた方」を英訳するにあたり、「やめた」にどの単語を使うかということだった。
「canceled」と訳した人が複数いたが、川口先生は「cancel は、自ら途中で解約したという意味合いを持つのでニュアンスが違います。この場合は退職、要するにretired していて自らcancelしたわけではないので『lost』を使うのがよいでしょう。原文の意味をよく考えたうえで、見直すとよいと思います」と解説した。
翻訳に最も重要な意味と論理を考える
日本語と英語は文章の構造がかなり異なり、また、同じ文化的背景を持つ人が読むことを前提に書かれていることも多い。そのため、そのまま翻訳すると読み手にとって意味のわかりにくい文章になる場合がある。翻訳者は、文章の意味をよくかみ砕いて翻訳をするよう注意を払う必要があるそうだ。
一例として、東日本大震災からの復興について書かれた文章が使われた。冒頭の「わたしたちの未来を拓く復興は、復旧にとどまることなく」の箇所を取り上げ、川口先生は受講生に「復旧と復興はどう違う?」と質問。受講生が「復旧はもとの状態に戻すのでrestoration、復興は災害からの復興というように、立て直しのような感じでしょうか」と答えると、先生は「その通りです。では復興にはどの単語を当てますか?」と質問を重ね、受講生はreconstruction と回答。
「そうですね。ただこの文章をそのままreconstruction is not restorationと素直に訳しても、意味がよく通らないんですよ。ここは『わたしたちの未来を拓く(ための)復興は、単なる復旧にとどまりません』ともとの日本語を補ってから、『the reconstruction must go beyond mere restoration to the previous state.』と英訳するとわかりやすい文章になります」
一連の授業で印象的だったのは、質疑応答など川口先生と受講生とのやりとりが活発で活気があったこと。また単なる訳文の解説だけでなく、調べ物をする際、何を基準にどこにあたればよいかまで伝えてくれる手厚さだ。
来期から翻訳系コースでは翻訳準備科が新設され、本科、プロ実践科の3レベルで構成されるようになる。未経験からプロをめざす人まで、幅広いレベルに対応可能になりそうだ。
講師コメント
現役の翻訳者が教材の選定・開発に携わるため旬の課題に取り組むことができる
翻訳とはビジネスであり「顧客満足」が第一です。プロ実践科では、原文が多義的、用語が見つからないなどさまざまな問題にどう対処するかなどを教えると同時に、柔軟性をもってクライアントの要望に応えることなど「顧客満足」の視点から翻訳をするように伝えています。
授業では受講生が提出した翻訳のエラー箇所を色分けし、私の修正と並べて解説することで、正確さ、わかりやすさがどれだけ高まったかを実感できるようにしています。添削を見て「ああそうか」で終わらせるのではなく、「なぜ修正されたのか」「どうしたら原文をもっと正確に読み解けるのか」「よい訳文を書くには何をすればよいか」まで考えるようにとも伝えています。
日々少しずつ語彙を増やしたり、英文を読んでいい表現を抽出したりすることはもちろん、新しいことにも興味を持ち、知識を広げることが好きな人は、翻訳者として資質があると思います。わからないことがあれば調査する手間暇を惜しまないことも必要です。
インタースクールの講師は現役で活躍している翻訳者です。現役の翻訳者が教材の選定・開発に関わっていますので、受講生は今現在需要が高まっている旬の課題に取り組むことができます。スクールで学ぶことは、ご自分の今の立ち位置を知るうえで、そしてこれから何をしなくてはならないのかを悟るうえで非常に有効な手段だと思います。何から始めていいのかわからない方、独学では限度を感じている方にとって、スクールは良いguiding lightになるのではないでしょうか。

産業翻訳コースプロ実践科(日英)の講師。早稲田大学を卒業したのち、イギリスで英文学や古典を学ぶ。帰国後は自動車マニュアル制作会社での営業職を経て、複数の翻訳会社で品質管理や事業責任者などを歴任。2000年にフリーランス翻訳者として独立し、翌年には自身の会社を設立する。現在はベテラン翻訳者として多方面で活躍するかたわら、インタースクールの産業翻訳コースのチーフコーディネーターも務める。
ここもチェック!
プロデビュー・キャリアアップを㈱インターグループが全面サポート
通訳翻訳事業部 翻訳担当
企業や官公庁へ向けて、金融・広報資料・CSR・契約書・各種ビジネス文書など、多種多様な分野において産業翻訳サービスを提供する。
人材派遣紹介担当
外資系を中心とした幅広い業種の企業や団体へ、社内翻訳者や秘書など高度な語学力を必要とする職種の人材派遣・紹介を行う。
※各部門でインタースクール修了生・在校生への仕事紹介を積極的に行っている。
講座紹介
● 翻訳準備科
未経験からプロをめざす人におすすめの翻訳者養成課程の入門コース。現役翻訳者による指導の下、産業翻訳コース本科より始まる本格的な翻訳訓練に違和感なく、スムーズに臨むための英語運用力と翻訳技能の習得をめざす。
●産業翻訳コース(本科)
粗削りでも正確に伝わる、プロの技能の基本を習得。授業内で毎週の提出課題について議論し、訳文の手直しを重ね読解力・訳出力を高める。また文書で伝えたい意図(メッセージ)を正確に伝える技能を磨く。
●産業翻訳コース(プロ実践科)
「商品」として通用する、高品質な翻訳を極める。用途、スタイル、顧客の要望に柔軟に対応できる豊富な表現力を磨くほか、翻訳支援ツールの使用方法(原稿受領から翻訳納品まで)も学習。
インターeスクール
●金融・IR翻訳講座(英日・日英)
英日翻訳では投資レポートや経済記事を教材として使用し、金融経済の英語表現や基本知識の習得をめざすeラーニング講座。日英側では、決算短信や決算説明会資料、IRプレスリリースなども取り扱う。財務・会計翻訳者をめざす人はもちろん、社内で翻訳やチェック業務に関わる人も基礎から学べる。
●英文契約書翻訳講座
契約書における実践的な文書を使用しながら、あらゆるビジネスの現場に役立つ日英・英日の翻訳スキル・表現方法を習得できるeラーニング講座。
修了生・プロ向け
● お仕事Workshop・ポストエディット
機械翻訳の技術革新により次第に需要が高まっているポストエディット業務に対応できるスキルを養成。
● お仕事Workshop・医薬専門ポストエディット
医薬翻訳分野で特にニーズの高いCIOMS、CTD、GMP文書に絞り、ポストエディット業務への対応スキルを養成。
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