
実務・出版・映像のすべてが学べる翻訳専門校
1対1の個別ガイダンスなどサポート体制も万全
翻訳専門校フェロー・アカデミーでは、3大分野(実務・出版・映像)に対応した多様な講座を開講し、現在はその多くがオンライン形式となっている。分野別の単科のみならず、全分野をバランスよく学ぶ全日制の総合翻訳科も設置し、現役プロが丁寧に指導。多様な翻訳関連企業とのネットワークにより、優秀な人材を業界に送り出している。
訪問クラス ベーシック3コース

作品が発表された時代と描かれている季節も考えて訳す
翻訳学習初心者に大好評の「ベーシック3コース(オンライン)」は、実務翻訳・出版翻訳・映像翻訳のエッセンスを3ヵ月間で集中的に学ぶコース。取材したのは、小説、ノンフィクション、児童文芸など幅広い作品を扱う「出版基礎」の授業で、講師はフェロー・アカデミー在学中に翻訳者としてデビューを果たし、多数の翻訳書を出版している倉田真木先生だ。
教材として使われたのは、英国出身の作家、Ruth Rendell 著の短篇「Burning End」。家族内の軋轢と束縛からの脱出願望など日常に秘められた断片を暴き出した作品で、登場人物のセリフや仕草、心理描写を工夫し、メリハリのある作品として仕上げることが求められる。
はじめに担当の受講生が原文と訳文を読み上げ、翻訳にあたって工夫したことや疑問点を挙げる。続いて指名された受講生2名が気づいたことや気になったことを発表。最後に受講生全員分の訳文を倉田先生が講評する。冒頭のパラグラフでは、副詞の「for some reason」がどこにかかるのか、また「all the junk mail and every freebee news-sheet」をどう訳せばいいか迷った人が多かった。
「このfor some reason は、述語動詞であるend up にかかっています。訳すとき、冒頭に『どういうわけだか』と入れると、他の言葉にかかっていると誤解される可能性がありますので、語順に気をつけましょう。end up にかかることが理解できていれば、語順は決まってきます」
「all the junk mail and every freebee news-sheet については、この作品が発表された1990年代の事情を考えて訳すのが妥当でしょう。『フリーペーパー』と訳してしまうと時代にそぐわずしっくりきませんし、『ジャンクメール』とそのままで書くと電子版のジャンクメールのことを連想してしまいます。ジャンクメールはありがた迷惑な郵便物だと解釈して、訳例はダイレクトメールという表現を選びました。freebee news-sheet も訳しにくい言葉ですが、無料の広報誌などと訳すこともできると思います」
このように、倉田先生は受講生の疑問に一つひとつ丁寧に答えていた。
フィクションである小説の翻訳は、他の翻訳と比べて調べ物が少なくてすむと考えている翻訳学習初心者が多いかもしれない。しかし、そうではないことが授業中明らかにされていた。作品中で起こるしゅうれん火災のシーンを訳すにあたり、先生はスライド資料でどういう仕組みで発生するのかを解説。また、作中で描写されている日光についてどう訳すか検討がなされた。
「burning glass は訳しにくい言葉ですよね。名詞として訳すのが難しければ、ガラスのせいで発火し、と意味を訳すのも一つの方法だと思います。また、ここで描かれる4月のイギリスは冬から春の変わり目で、舞台の午後5時だと日光が低い位置から室内に差し込んでくるはずです。ここで『降り注ぐ』という表現を使うと、真上から射す様子を読者に連想させませんか? 季節や時刻についてもよく考えて、訳語を選びましょう」と倉田先生。
授業中に印象的だったのは、倉田先生が、受講生が工夫した点を見つけてコメントしていること。たとえば「Linda screwed up her eyes.」を「目を細める、という言葉は、赤ちゃんを見たときにも使うので、あえて『眉をひそめた』にしました」という受講生には、「確かに『目を細める』とすると、発火の様子を愛でていると誤解させる恐れがあります。よく考えましたね」とコメント。また「訳文の流れがとてもよく自然に訳せています」などの声がけもあり、和やかな雰囲気で授業は進んでいった。
新人翻訳者の登竜門になる「リーディング」も指導
「出版基礎」では、新人翻訳者が避けて通れない「リーディング」も学ぶことができる。「リーディング」とはまだ邦訳されていない作品の原書を読んで、日本の出版社向けにレジュメ(シノプシス)を作成する作業で、レジュメの文章力がすばらしければ、翻訳者としてスカウトされることもある。この授業では、動物が活躍する児童向け読み物を課題作品に選び、受講生がレジュメを作成。一人ずつ発表した後、「ネガティブな点を嫌味なく指摘し理由まで述べているのがすばらしい」「発行部数の見込みに関しては、数字を出すと説得力が増します」と倉田先生がコメントを述べた。
授業後も、次々と飛び出す受講生からの質問に倉田先生が回答。翻訳に関してだけではなく、どうすればデビューできるのか、翻訳出版の企画を持ち込むにはどうすれば良いのかについても真摯に答えていた。
講師コメント
翻訳は人生経験を生かせる仕事 何歳からでもデビューできる
「ベーシック3コース」は、実務、出版、映像という3種類の翻訳を学習できるコースで、私は出版翻訳を担当しています。この授業では、英語と日本語の構造や文法の違いを明らかにしながら、より自然な翻訳ができるよう指導しています。ノンフィクションのみならず、フィクションでも調べ物は非常に大切ですので、調べ物の方法などもお伝えしています。「リーディング」演習では、出版社の編集会議にかけるプレゼン資料だということ、マーケティングの視点を入れて作成することが大切だということを伝えています。
私自身、フェロー・アカデミーに通って出版翻訳家になりました。翻訳は独学でもできるというイメージがあるかもしれませんが、自分の訳文はなかなか客観視できないもの。スクールに通ってほかの人の訳文に触れ、どこが良いのか、またどこを改善すべきなのかをきちんと言語化し、説得力ある指摘ができるようになると、自分の訳文も向上します。この授業でも、3ヵ月12回を終える頃には、どの受講生も必ず進歩が見られます。またフェロー・アカデミーでは1対1の個別ガイダンスがあり、どの道に進めばよいのか進路相談ができるのも利点だと思います。
翻訳は人生経験を生かせる仕事ですし、何歳からでもデビューが可能ですが、出版翻訳家をめざすなら「本が好き」であること、そして「自分の『好き』をほかの人に伝えたい」というサービス精神を持っていることが大前提です。より伝わりやすい訳文を生むために、翻訳書のほか日本語で書かれた本もたくさん読んで表現を蓄積してください。

ベーシック3コースの講師。出版翻訳家。書籍翻訳のかたわらフェロー・アカデミーで講師も務める。『緋色の蘭』(レッドサン)、『花殺し月の殺人』『死体とFBI』『千の顔をもつ英雄〔新訳版〕』(早川書房)、『ジョーゼフ・キャンベルの神話と女神』(原書房)、『ホーキング 宇宙の始まりと終わり』(青志社)、『くまのプーさん』『トイ・ストーリー3 』(ディズニーアニメ小説/偕成社)など訳書・共訳書多数。
ここもチェック!
3ヵ月で翻訳の基礎を学べる「ベーシック3コース」すべての授業でオンライン出席が可能
「べーシック3コース」は、週3日・3ヵ月の学習で、実務・出版・映像翻訳の基礎をバランスよく習得。それぞれの分野で翻訳者として活躍するための土台を養う。単科ですべて受講すると1年以上かかる内容を、3ヵ月の短期集中で身につけられる効率の良いコースだ。また「翻訳支援ツール基本操作講習」「フリー翻訳者のためのPC環境・税務セミナー」などの特別講座も動画で配信。1対1の個別ガイダンスで受講生の進路相談にのるなど、サポート体制もしっかりしている。欠席時のフォローとして、オンライン授業を毎回録画して授業後に共有。復習したいときにも活用できる。
講座紹介
フェロー・アカデミーの翻訳講座
通学・オンライン講座
● 総合翻訳科(全日制コース)
・ カレッジコース(週5日・1年)
・ ベーシック3コース(週3日・3ヵ月)
● 単科
・ 翻訳入門
・ 実務翻訳コース
[初級、中級、上級]
・ 出版翻訳コース
[初級、中級、上級]
・ 映像翻訳コース
[初級、中級、上級]
● イベント
・ 体験レッスン
・ 学校説明会 ほか
通信講座
● 初級・入門講座
・ 翻訳入門<ステップ18>
・ 実務翻訳<ベータ>
・ はじめての出版翻訳
・ はじめての映像翻訳
● 中級講座
・ ベータ応用講座
(契約書、経済・金融、IT・テクニカル、メディカル)
・ 出版翻訳講座
・ リーディング講座
・ 映像翻訳<吹替と字幕>
● 上級講座
・ マスターコース(メディカル、契約書・ビジネス法務、ヤングアダルト、コージーミステリー、字幕ほか)
● 録画配信講座
問い合わせ先
フェロー・アカデミー
〒102-0083 東京都千代田区麹町2-2-4
麹町セントラルビル2階
TEL 0120-024-240
受付時間
【平日】9:30~21:00
【土曜】9:30~18:00