【メディカル分野編】スクールはプロになるための近道 翻訳・通訳スクールで学ぶメリットとは?
2020年9月29日に発売した「新版 メディカル翻訳&通訳 完全ガイドブック」より転載。
翻訳の専門スクールとは?
コースはレベル別・分野別
翻訳の専門スクールは、翻訳スキルの習得を目的としている。コース編成はスクールごとに異なるが、大別すると、新聞・雑誌記事やビジネス文書など簡単な文書を教材として「翻訳とは何か?」からスタートする初級者向けのコースと、メディカル分野・金融・ITなどの専門分野に特化した中級・上級向けのコースがある。
メディカル翻訳コースの特徴
より専門的な内容に特化して学ぶ
メディカル分野に特化したコースでは、翻訳するドキュメントの様式や、業界用語、専門用語の訳し方など、翻訳スキルに直結した指導が行われる。訳し方のコツを学びながら、メディカル翻訳者として必要な専門知識の習得・蓄積もめざす。
ただし、メディカル分野といっても幅が広く、スクールごとに特色がある。医学にフォーカスしているところ、治験に特化しているところ、すべてを幅広く学ぶところなど、さまざまだ。また、メディカル翻訳コースのなかにも初級者向けと上級者向けにコースが分かれている場合もある。上級者向けでは英訳に限定しているなど、内容をより絞り込んでいる。自分の興味や目的、バックグラウンドに合ったコースを受講できるように、カリキュラムはよく吟味しよう。
【メディカル翻訳を体系的に学べるスクールレポート】サン・フレア アカデミー
通訳にもメディカル分野に特化したコースがある?
翻訳ではメディカル分野に特化したコースを開講しているスクールが多い。通訳に関しては、医学会の同時通訳や製薬会社の社内通訳といったメディカル分野だけを取り扱ったコースはまだ少ないのが現状だ。しかし、病院などで外国人患者をサポートする「医療通訳」を学べるコースは増えてきている。
【医療通訳を体系的に学べるスクールレポート】インタースクール
スクールは役に立つ?
プロの8割がメリットを実感
メディカル翻訳者には幅広い専門知識が必要とされるため、特に大学で文系学部を卒業した人など、メディカル分野のバックグラウンドのない人は、独学で翻訳スキルを身につけるのは難しい面がある。
翻訳を学べるスクールは多数あり、プロのメディカル翻訳者にも専門スクール出身者が多い。メディカル分野を手がける翻訳者を対象に実施したアンケートでは、33人中26人、約8割の人がスクール受講の経験があった。また、スクール受講経験のある人に、プロのメディカル翻訳者になるにあたって受講が役に立ったか否かを聞くと、「役に立った」と「おおむね役に立った」を合わせると77%に上った。スクールでの学習に一定の成果を感じている人は多い。
スクールで学ぶメリット
メリット① 翻訳スキルが効率よく学べる
最大のメリットは、翻訳に必要なスキルを体系的に学べること。具体的にどんなことが役に立ったかをアンケートで聞いたところ「専門知識を身につける方法がわかった」「医薬分野のドキュメント形式がわかった」「訳し方がわかった」との回答が挙がっている。独学ではなかなか難しい専門知識の身につけ方や、実際にどのように訳すのかというコツのようなものは、現役のメディカル翻訳者でもあるスクール講師から学んだほうが効率的に身につきそうだ。
メリット② 仕事獲得のサポートがある
スクールの紹介で初仕事のチャンスを得た翻訳者は多い。専門スクールの多くは翻訳業界にコネクションを持ち、翻訳会社が母体のスクールもあり、受講生・修了生に優先的に仕事を紹介する機会を設けている。
また、翻訳会社に登録する際、「翻訳の実務経験〇年以上」という条件が設けられているケースは多いが、スクールの受講歴でカバーできることもある。
メリット③ 学習仲間などの人脈が広がる
翻訳者という目標を共有する仲間に出会えることもスクールの大きなメリット。スクールの講師は現役の翻訳者など業界関係者なので、体験談や現場の声を聞くことができる。スクール受講生同士のつながりや講師とのコネクションが、仕事に結び付くこともあるので、スクールでの出会いや人脈は貴重だ。
通信&オンライン授業
通学でもオンラインでの開講が増加
専門スクール受講経験のある人たちの声を聞くと、通学よりも通信での受講のほうが多いようだ。翻訳スクールの場合、通学と通信の両方を開講しているスクールが多く、また通信だけで開講しているスクールもある。以前の通信教育のスタイルとは異なり、昨今はテキストから課題提出まですべてオンラインという講座が多いので、ネット環境さえあれば、どこからでも受講ができるのが通信講座のメリットだ。
講師と直接会話ができたり、同じ目的を持つ受講生と交流ができる通学講座も魅力的だが、新型コロナウイルスの影響で、通学講座の開講が難しくなり、オンラインでの授業に切り替えているスクールも多い(2020年8月現在)。各スクールの開講の状況については、各校に必ず確認しよう。
失敗しないための専門スクールの選び方
学校見学・体験レッスンは必ず行こう!
スクールでは、説明会や学校見学などの機会を多く設けている。実際に行ってみなければ雰囲気はわからないので、必ず足を運ぼう。体験レッスンがあればぜひ参加を。受けてみることで、「難しい」「ついていけそう」などレベルの判断がしやすい。
不安&疑問は事前に解消しよう!
ホームページや資料を見てもわからないこと、疑問に思ったことはスタッフに聞いてみること。スタッフは多くの受講生・修了生と接しているので、どんな人が通っているのか、修了後の進路などについても把握している。スクールの評判もネットなどで確認を。
専門スクール選びのチェックポイント
期間
数カ月で集中的に学ぶものから週1回で1年間通うものまで、対象・目的によってさまざまなタイプの講座がある。受講回数、曜日、時間帯など通いやすいかをイメージして選ぼう。
費用
受講料に加え、別途入学金や教材費がかかる場合もある。分割での支払いに応じてくれるところもあるので、事前に相談を。
内容、レベル
自分の実力よりレベルが高いクラスだと、授業についていくのに大変な思いをする。どの程度の語学力が必要か、自分がそれに足りているかをきちんと確かめよう。入学前にレベルチェックを行うスクールもある。
スクールの雰囲気
マンツーマンや少人数制などクラスの人数によっても授業の雰囲気は異なるので、自分が学びやすいと思えるスタイルを選ぼう。スタッフの応対など、相談しやすい雰囲気かどうかも大切。
講師
講師は現役の翻訳者・通訳者であるケースが多い。講師からの紹介で仕事につながる場合もある。ネットで講師の経歴などを確認しておこう。
授業サポート
働きながらの通学では、授業に出られないこともあるかもしれない。そうした場合に備えて、振替授業などのフォロー体制があるかも確かめておこう。
キャリアサポート
講座修了後、すぐに独立を考えているようなら、仕事の紹介など、どのようなバックアップ体制があるのかをスタッフによく聞いておこう。過去の卒業生の実績も確認しておきたい。