【Special Report】
東京オリンピック・パラリンピック開催!
通訳ボランティアの舞台裏

通訳,その他2021.08.06

多くの通訳ボランティアが会場で活躍

コロナ禍により1年延期され、今年の実施も危ぶまれていた2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京五輪)だが、オリンピックが7月23日に開幕した。
オリンピックには大会運営を支える「大会ボランティア」がいる。東京五輪では70970人(パラリンピックも含む)の大会ボランティアが活動しているそうだ(公式資料より)。
過去3回のオリンピックでボランティア通訳を務めた西川千春さん(弊社発行『東京オリンピックのボランティアになりたい人が読む本』著者)は、今回は東京体育館ボランティアリーダーを担っている。

東京体育館のミックスゾーンで通訳をする通訳ボランティアの西川千春さん。


西川さんに、通訳ボランティアの活動について聞いた。

Q 通訳ボランティアは何人ほどいるのか?
―大会運営に関わる「大会ボランティア」は活動別に、案内、競技、移動サポート、アテンド、運営サポート、ヘルスケア、テクノロジー、メディア、式典の9つにわかれています。通訳の役割を担うのは、「アテンド」のグループ中の「言語サービス」です。通訳業務が具体的に明示されているのは言語サービスのみです。
今回、言語サービス(通訳)のボランティアは約800人です。主に各会場のミックスゾーンと呼ばれる取材エリアでのインタビューの通訳を担当しています。

Q 言語サービス(通訳)以外にも語学力が必要とされるボランティアは?
―通訳業務が具体的に明示されているのは言語サービスのみですが、語学を使って活動するボランティアはほかにもいます。VIP接遇、各国選手団サポート、VIPラウンジ、客席接遇・案内などです。

Q オリンピックボランティアの参加は4回目とのこと。コロナ禍の今回、ボランティア通訳の活動は過去の大会と異なる?
―東京五輪では新型コロナ感染対策でさまざまなルールがあり、取材エリアでは選手とインタビュアーの距離を2m以上保つことが求められています。
エリアに入る人数も絞られていますが、人気選手のインタビューの際は記者が殺到するので、私たちボランティア通訳が立つメディア側のソーシャルディスタンスを取るのが大変です。
ボランティア通訳は選手と記者の間に入りますが、それぞれ1m離れている形です。マスクをしているので選手やメディアの声が聞き取りづらいときもあります。私たち通訳もマスクをしていますし、会場が広いので、かなり声を張る、叫ぶくらいの感じです。

Q ボランティア以外、プロの通訳者もいる?
―公式の記者会見やIOC会議などの通訳はボランティアではなく、エージェントから手配されたプロの同時通訳者が担当しています。コロナ対策で、通訳者は会見場などには入らず、すべてメインプレスセンターの通訳ブースからのリモート通訳で対応しています。
私はボランティアの立場でIOCの公式記者会見に出て、少し発言したのでのすが、その時の通訳もリモートでした。
(会見の動画 https://www.youtube.com/watch?v=Dp7Mc_oVh90)

コロナ禍により、通訳ボランティアもプロ通訳者も特殊な環境下での通訳となったようだ。
(情報はすべて8月6日現在)

卓球でメダルを獲得した選手の通訳を担った。(写真手前が西川さん)