
翻訳会社が母体の翻訳スクールが学びと仕事をサポート
各分野のスペシャリストである現役翻訳者が講師を務める実践に即したカリキュラムで、これまでに3000名以上の翻訳者を輩出しているサン・フレア アカデミー。2023年には、母体である翻訳会社㈱サン・フレアが設立50周年を迎える。翻訳実務検定「TQE」合格者にはサン・フレアの登録翻訳者としての道も開かれ、学び、仕事の両面でサポートが得られるのも大きな魅力だ。
通学科は年4回(4月・7月・10月・1月)開講、通学科と同一のテキスト・カリキュラムを採用した通信科は随時受講可能であり、ライフスタイルに合わせて通学科/通信科を選択できるので無理なく学習を続けられる。2023年1月現在、通学科はオンラインによる授業を実施しているが、一部の講座では対面式もしくはオンラインと対面のハイブリッド式を採用している。
現役翻訳者による少人数のきめ細かな指導
通学科は最大6名の少人数クラスで、各分野のスペシャリストである現役翻訳者が講師を務め、実践的な翻訳テクニックを直接指導する。通信科は翻訳課題への添削とコメントを通してきめ細かく指導し、受講生からの疑問・質問にも丁寧に回答する。
今回は、通学科の上級講座「特許明細書A(IT・電気・機械)」講師の斉藤勝彦先生と、修了生の居潟恵子さんにお越しいただき、対談の場を設けた。「特許明細書A(IT・電気・機械)」講座の特徴やプロデビューへの備え、産業翻訳市場について語っていただこう。
講師×修了生 対談インタビュー
原文に忠実かつ正確に翻訳するための準備と心構えを学べた
丁寧な指導と添削で自らの理解度を把握
斉藤勝彦先生(以下、斉藤):居潟さんは私が担当している「上級講座 特許明細書A(IT・電気・機械)」を受講されていましたが、この講座を受講するきっかけは何でしたか?
居潟恵子さん(以下、居潟):サン・フレア アカデミーで特許翻訳の体験講座を受講して、特許翻訳に興味を持ちました。医療機器のメーカーで取扱説明書の翻訳チェックをしていたことがあり、機械や電気の知識があったので、この講座を受講しました。
斉藤:居潟さんは初級講座から始めて、中級、上級と進んでこられましたね。講座を受講する中で、難しいと感じたことはありましたか?
居潟:特許翻訳は難易度が高く、技術の知識も必要とされるので難しいことは難しいのですが、今まで触れることのなかった技術の分野を勉強できることが私にとっては大変楽しく、あっという間に上級講座の最終回を迎えたという印象です。提出した課題の添削を確認すると自分の理解度が目に見えてわかりますし、なにより斉藤先生が丁寧に解説してくださったので、途中で投げ出すことなく最後まで受講できました。
斉藤:そう言っていただけるとうれしいですね。私の授業では、まず原文を注意深く読みこなし、誤りが生じやすい点を確認することを基本にしています。毎回必ず課題を出すのですが、課題に取り組むことで、忠実な訳とはどのようなものか具体的に体験できます。回答に問題がある場合は、どこの理解が不十分なために適訳ができないのかを指摘し、正しい訳への裏付けとなるポイントを理解できるような授業をめざしました。適訳へのプロセスを見いだし完成させるスキルを受講生が身につけ、翻訳者としての第一歩を歩み出す機会になればと思いながら教えています。
居潟:原文に忠実かつ正確に翻訳することが基本だということを斉藤先生に学びました。実は受講前は、なんとなく意味が伝わればいいという考え方で訳出をしていました。技術や語句について事前に十分に調査してから訳出するということを特許講座で初めて知ったことは大きな収穫でした。独学では、翻訳をする前に何をすべきかわからないままだったと思います。

サン・フレア アカデミーの講座で使用されているテキスト。各講座において学ぶべきことがテキストとしてまとめられており、体系的に翻訳スキルを習得することができる。通学(オンライン)・通信講座どちらも共通で使用されている。
講座で学んだことを仕事で生かし高評価
斉藤:居潟さんは語学力があることに加えて特許明細書の文体への理解が深く、読みやすい訳文にまとめる力がある方だと感じていました。文章が整理されていましたので、修正方法も指摘しやすかったです。
居潟:ありがとうございます。まだまだ経験と勉強不足を痛感する毎日ですが、先日、仕事で電気関係の仕様書の英日翻訳をした時に、講座で学習した技術用語や表現をそのまま使うことができました。講座で教わったとおり、まず技術について調査してから訳したのですが、「専門用語が適切に訳出され、精度の良い翻訳ができている」と評価され、とてもうれしかったです。
斉藤:講座で学んだことがしっかり身についていますね。翻訳作業中に訳文を再確認すると気になる箇所が出てくると思いますが、どう対処するかを考えていくことで適切な修正能力が高まります。簡潔明瞭を基本として、読み手に安定感を与える訳文をめざしていただきたいですね。
居潟:斉藤先生は、プロの産業翻訳者としてもご活躍されています。今後はどのような分野のニーズが高まるとお考えですか?
斉藤:私は主に機械分野の翻訳に関わっていますが、従来の機械装置に加えて、例えばIT分野でのIoT関連の機器や、コロナ禍では医療技術を支える装置など複合的で多様な案件が増えていると実感しています。こうした動きに対応するため、世の中の状況や技術動向に関心を持つことがいっそう大切になるでしょう。また、顧客が置かれている立場に配慮し、指示された内容にきめ細かく対応できる翻訳者が求められていると思います。
居潟:そうなのですね。肝に銘じたいと思います。最近では機械翻訳が台頭しているとよく聞きますが、実際はいかがでしょうか。
斉藤:確かに近年ではコンピュータ支援により自動的に作成された訳文が得やすい状況にありますが、それでも翻訳者による検討が必要な部分も多いと思います。翻訳者は機械翻訳による訳文が適確なのか判断を下し、改善を加えるための視点を養うことが必要です。
居潟:なるほど。翻訳者の技術力がまだまだ必要とされているのですね。
斉藤:居潟さんは上級講座まで受講を終えられましたが、今後はどのような目標を持っていますか?
居潟:プロの翻訳者になりたいのはもちろんなのですが、まだまだ勉強が足りないと感じています。サン・フレア アカデミーのセミナーを受講し、翻訳検定を受検することで、質の良い翻訳ができるように今後も勉強していきたいと思います。
斉藤:ご自身のバックグラウンドに基づいた強みを意識しながら経験を積み重ね、活躍の場を広げていくことを期待しています。がんばってください。
居潟:ありがとうございます。ご期待に添えるように努力を続けます。