修了生の多くが就業 学校で学ぶことが仕事に直結

 1996年の設立以来、多くの映像翻訳者を輩出してきた日本映像翻訳アカデミー(JVTA)。今回ご紹介する英日映像翻訳コースでは、字幕・吹替の両方を学べる。英語力を気にせず、映像翻訳の基礎を学習できる「総合コース・Ⅰ」、プロに必要なスキルを学べる「総合コース・Ⅱ」、プロとして長く活躍するための実力をつける「実践コース」の3段階がある。実践コースまで修了した受講生はJVTAが実施するトライアルに合格すると、学校併設のメディア・トランスレーション・センター(MTC)から、必ず翻訳の仕事が発注される。実際、受講生の約6割が修了後に就業を果たし、活躍している。

映像翻訳者に必要な「6つの資質」を講師が伝授

 JVTAでは、プロの映像翻訳者に必要なスキルを「6つの資質」、すなわち「ソース言語解釈力」「翻訳力」「ターゲット言語応用表現力」「コンテンツ解釈力」「取材・調査力」「ビジネス対応力」として定め、バランス良く伸ばせるカリキュラムが組まれている。どのコースも、講師は現役として活躍するプロの映像翻訳者ばかり。翻訳スキルはもちろん作品解釈、日本語表現力、フリーランスとしての働き方などに関する授業もある。2015年から1都3県以外の人を対象にオンライン授業を導入。2020年からすべての授業をリアルタイムで自宅にいながら受講できるリモート形式で開講。JVTAがアルクと共同開発した「映像翻訳Web講座」は、好きな時間に学習し、課題を提出することができる。


講師×修了生 対談インタビュー

 

映像翻訳は成長ジャンル 
字幕と吹替の両方ができれば仕事の幅が広がる

授業で受講生全員の訳文を検討課題にはきめ細やかにコメント

桜井徹二先生(以下、桜井):見手倉さんは日本映像翻訳アカデミー(JVTA)の「英日映像翻訳 実践コース」を修了後にトライアルに合格して以来、映像翻訳者としてご活躍されていますね。実践コースを受講しようと思ったきっかけは何だったのですか?

見手倉友希さん(以下、見手倉):子どもの頃から映画が好きで字幕に興味があり、映像翻訳を仕事にできたらいいなと考えていました。学校を選ぶにあたっていろいろ比較検討したのですが、JVTAは受講後に受けられるトライアルに合格すると、必ず仕事が発注されることに魅力を感じました。当時は大阪に住んでいましたし、JVTAでリモート講座が始まっていなかったので、まずは郵送形式の通信講座を受講しました。ただ、通信講座終了後のトライアルには合格できなかったんです。対面の授業でもう一度学び直したいと思い、上京を決意しました。

桜井:そうだったんですね。実践コースでは、受講生は映像翻訳の基礎はできているという前提で、実務を想定した演習を繰り返すというスタイルを取っています。10分ほどの尺の映画やドラマのワンシーンに字幕や吹替をつけて提出するという課題も毎週出ますが、受講してみてどんな感想を持ちましたか?

見手倉:フルタイムの会社員として働いていましたので、平日の夜や週末に必死で課題をこなしていました。大変でしたが、とても楽しかったです。提出した課題は授業でフィードバックを受け、ディスカッションするのですが、毎回新しい発見があり、映像翻訳ってこうやって精度を上げていくんだなと実感できました。また、クラスメイト全員の訳文を見ることができるのがとても参考になりました。自分では思いつかないような訳文を見て感心しましたし、良い例もそうではない例もたくさん検討することが良い勉強になりました。

桜井:まさにそのために全員の訳文を配付していますので、狙い通り受け取ってもらえてうれしいです。他の人の訳文と講師のコメントを見ることで、良い例は蓄積し、同じようなミスはしないように注意してもらえればと思います。「なぜこの訳文が良いのか、良くないのか」が伝わるように、コメントではなるべくきめ細やかに理由を述べるようにしています。

快適なリモート環境で、授業はスムーズに進行。世界のどこにいてもできる映像翻訳は、テレワーク時代にもおすすめの職能だ。

吹替の需要が上昇中 地方在住でもデビュー可能

桜井:実践コースでは字幕も吹替も学びます。最初は字幕、授業が進むにつれて吹替を勉強しますが、その点はいかがでしたか?

見手倉:字幕と吹替ではルールなどがまったく違いますので、最初は戸惑いました。でも丁寧に指導していただけますし、何度か吹替をやっているうちに慣れてきて、スムーズに字幕と吹替の両方ができるようになりました。

桜井:今、吹替の需要が高くなっています。数年前に比べて、映像配信が増えて自宅で気軽に「ながら見」をする人が増えたこと、スマートフォンなど小さな画面で映像を見る人が増えているからです。最近では、劇場映画でも吹替作品が増えてきました。字幕・吹替の両方ができると仕事の幅がより広がりますし、受注もしやすくなると思います。少し前までは吹替翻訳者はスタジオでの収録に立ち会うという慣習がありましたが、それもコロナ禍をきっかけに少なくなりつつあります。地方に住んでいても、吹替翻訳者としてデビューするチャンスです。見手倉さんも、本当に多様なジャンルで字幕・吹替ともに担当されていますね。

見手倉:おかげさまでプロデビュー以来、字幕・吹替ともにお仕事をいただいています。映像翻訳の勉強を始めたきっかけは映画やドラマだったのですが、今ではドキュメンタリーやリアリティ番組、スポーツ、ミリタリー、科学など、お声がかかればジャンルを問わず挑戦しています。調べ物が大変ですが、新しいジャンルに挑戦することによって知識が蓄積されますし、自信もつくと感じています

桜井:映像翻訳では、優れたアウトプットをすることが非常に大切です。英語を正しく解釈できる人はたくさんいますが、文字数制限がある中でわかりやすく筋の通った訳文をつけることは難しいですからね。見手倉さんは力がある人として受講生時代から注目していましたが、良い訳文を作るためにどんなことに気をつけていますか?

見手倉:映画やドラマだけでなく、ニュースやテレビ番組を見るときも字幕や吹替に注意し、どんな言い回しを使っているか常に確認しています。また、日本語の番組でもリモコンでクローズドキャプションを表示して、いいなと思った表現をメモしたりしています。

桜井:良い方法です。どんなことでもそうですが、模倣は大切です。映像翻訳でも、良い字幕や吹替作品をたくさん見ることによって、こうすれば読みやすいという「型」がわかってきます。映像翻訳は、数ある翻訳の中でも成長ジャンル。仕事のチャンスは非常に多いですから、映像作品が好き、語学が好きという方にはどんどんチャレンジしていただきたいですね。


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