独自のカリキュラムで
プロの現場対応力を育成

 アイ・エス・エス・インスティテュートは、1966年に創設された日本初の同時通訳者養成スクールだ。キャリアにつながる確かな語学力を養成し、これまでに多数の優秀な通訳者・翻訳者を輩出してきた。
同校の強みは、運営会社の通訳サービスや通訳・翻訳専門の人材サービス、グループの翻訳会社と連携を図れる点にある。業界の動向を把握して独自のカリキュラムに落とし込み、現場に対応できる「真のプロ」を育成。さらに、OJTや仕事の紹介を通じて、スクールで学んだことを実践できる機会を提供している。また、優秀な受講生には受講料の一部を免除する「特待生・奨学生制度」を導入するなど、学習サポートも充実している。

第一線で活躍する講師陣が
丁寧にフィードバック

 講師を務めるのは、さまざまな分野の第一線で活躍する現役の通訳者・翻訳者たちだ。受講生のパフォーマンスを現場目線で丁寧にチェックし、的確にフィードバック。効果的な学習方法、プロとしての心構えやマナーなど、講師自らの体験も踏まえた実践的な指導を行っている。
「英語通訳者養成コース」は、プロの英語通訳者に必要な能力とスキルを体系的に養成する実践的なコース。「通訳準備科」「本科1~3」「プロ通訳養成科1~3」「同時通訳科」の全8レベルがあり、実力に応じたクラスからスタートできる。今回は、本科2から受講を始めてステップアップし2021年に同時通訳科を修了した仙石里織さんと、講師の日野峰子先生に対談していただいた。


講師×修了生 対談インタビュー

 

教材は講師自らが選定。
幅広いテーマで訓練を重ね、現場で通用する確かなスキルを身につける

同時通訳のテクニックを学び
訳出の精度を高めていく

日野峰子先生(以下、日野):英語通訳コースの最上級レベルに当たる「同時通訳科」では、現場に出てきちんと機能できる通訳者を育てることを目標としています。仙石さんは2012年秋に「本科2」を受講してから着実にステップアップしてこられましたが、同時通訳科を受講してみていかがでしたか。

仙石里織さん(以下、仙石):同時通訳科の授業は、それまでのクラスと同様に逐次通訳の練習を行いつつ、同時通訳のテクニックを学んで訓練を重ねるというもので、まったく新しい内容を学ぶというよりは、これまでの延長線上で精度を高めていくことが重要なのだと感じました。毎回、いろいろなテーマが扱われるので、とてもおもしろく勉強になりました。

日野:そのように感じてもらえて良かったです。複数の講師が担当し、各自の得意分野から教材を集めたりしているので、幅広いテーマを、堀り下げて学習できるクラスになっているのではないかと思います。私の場合はこれまでにITや自動車、食品、さらに近年多くの企業で取り組みが進むSDGsなどの分野を取り上げてきました。仙石さんは、社内通訳者として製薬会社にお勤めですが、授業で学んだことが、仕事で役立った場面はありましたか?

仙石:もちろんです。社内で同時通訳を任されることもありますが、同時通訳科を受講するまでは自己流でこなしていました。授業を受けてみて、自分では気づけなかった改善点がたくさん見つかりました。日野先生はよく、「同時通訳では次の展開を予想して前のめりに聞きましょう」とおっしゃいますよね。社内でこれを意識してみたところ、パフォーマンスが大きく向上したんです。聞く姿勢というのが大事なんだな、と実感しました。

日野:仙石さんのように通訳者として稼働されている受講生も多いですから、将来的にフリー通訳者として稼働するようになった際に必要な心構えやノウハウも伝えられるように意識しています。例えば、ブースマナーもその一つ。同時通訳は3人から4人が1組になって交代で行いますが、ブースの中では通訳をしているパートナーの邪魔をしないのが大原則。その一方、数字や固有名詞などを手元でメモして、必要な時にはパートナーをサポートできるようにしておくことも大切です。

仙石:社内通訳の仕事ではブースに入る機会がほとんどないので、授業で実際にブースに入り、シミュレーションできたのはとても良かったです。

いつでもネットで受講ができる通訳・翻訳のeラーニングも充実。解説動画を視聴してスキルや専門分野の知識を強化でき、一部の翻訳クラスでは添削指導も受けられる

課題の反復練習で知った
突き詰めて考えることの大切さ

日野:仙石さんは今、育児中ですね。仕事と育児に加えて授業の課題をこなすのは、大変だったのではないですか。

仙石:はい、大変でした(笑)。授業で逐次通訳した教材を使い、次回までに同時通訳できるよう何度も練習するのですが、とにかく時間がないので、通勤時間や会社の昼休み、早朝など、すき間時間を見つけて何とかこなしていました。大変でしたが、しっかり準備しないといいパフォーマンスが出せません。それに、反復すればするほどよりよい表現が見つかることもあり、突き詰めて考えることの大切さを感じました。

日野:私は「プロ通訳養成科2、3」も担当しているので、仙石さんとはその頃からのお付き合いですね。当初から、基礎がしっかりしているので、コツをつかめば成長が早いだろうと思っていました。進級前に同じクラスの受講を何期か経なくてはならなかったこともありましたが、同時通訳科に進級後の伸びは目覚ましかったですね。修了前のパフォーマンスは本当に素晴らしくて。私はダメ出しをするのが自分の仕事だと思っているのですが、仙石さんにはダメ出しをするところがなくて困りました(笑)。

仙石:そんなことはありません。でも、先生に褒めていただけるのはとても嬉しく励みになりました。日野先生の通訳スタイルが、私にはすごくしっくりくるんです。授業では毎回、「私も頑張って、いつか先生のようにかっこよく訳出できるようになりたい」と思っていました。

日野:嬉しいですね。将来の目標は?

仙石:しばらくは社内通訳者として、製薬という専門分野を追求していきたいです。子育てがもう少し落ち着いたら、フリーランスになることも考えたいです。外に出ていろいろな分野に挑戦することで、自分の力をもっと伸ばしていけると思うので。先生からご覧になって、ニーズの高まりを感じる分野はありますか?

日野:先ほども言ったように、SDGsに関わる案件はここ数年、かなり増えています。やはり活気ある業界の案件が増えるので、AIや自動運転に関わる会議はコンスタントに多いですね。また、絶対になくならないのが、製薬を含めた医薬で、通訳者として専門特化できる数少ない分野です。最近はIRカンファレンスの個別ミーティングを若手通訳者が務めている印象です。

仙石:なるほど。学校は卒業してしまいましたが、まだまだ勉強しなければと思います。向上心を忘れずに、引き続き学びの機会を作っていきたいです。

日野:常に向上心を持ち続けているのは、素晴らしいことですね。これからもいろいろなことに高くアンテナを張って、積極的に知識を吸収していってください。通訳はサービス業です。どんな分野でも、どんな時代でも、「誰のために通訳しているのか」をしっかり認識できていれば、よりよい仕事を全うできると思います。いつか一緒にお仕事しましょうね。

仙石:はい、楽しみにしています!


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