日本語版制作の業界大手・東北新社の映像スクール
映画やドラマの翻訳者養成に力を入れる
現役翻訳者やディレクターが現場のノウハウを指導
映像テクノアカデミアは、映画やドラマ、ドキュメンタリーの日本語版制作で長年の実績を誇る㈱東北新社が運営する映像専門校。映像翻訳科、声優科の2科を開設し、映像翻訳科からはこれまでに多数の「映像翻訳のプロ」を輩出している。
映像翻訳科では東京校と大阪校があり、東京校ではBasic Class、Intermediate Class、Advanced Classの計2年間で字幕・吹替・VOの3つのジャンルの映像翻訳を学習するカリキュラムとなっていて、大阪校では1年間で字幕翻訳を習得する大阪校字幕翻訳クラスを開校。映像翻訳に関して全くの未経験の状態からプロレベルへと到達することを目標としている。
東北新社が運営していることもあり、講師陣は非常に豪華で、劇場映画や海外ドラマなどを手がける現役翻訳者および東北新社翻訳室スタッフ、字幕版や吹替版の演出を行っている同音響字幕制作事業部のディレクターなど、翻訳や日本語版制作を知り尽くしたプロフェッショナルたちが、現場のノウハウを細やかに指導している。教材にはバラエティに富んだ新旧のメジャー作品を使用。映画やドラマの翻訳者を育てることを強く意識したカリキュラムとなっている。
カリキュラムの後半では、字幕制作ソフト「SST︲G1」の基本操作を学ぶ特別実習も行われ、その後の課題はこのソフトを駆使して提出をしていくことになる。さらに、プロの声優が受講生の翻訳台本で演技し、ディレクターが講評するアフレコ実習、声優科の受講生とともにドラマの吹替版をつくるコラボレーション特別授業も実施。こうした現場体感型の演習は、老舗映像制作会社と一体化した同校ならではといえる。東京校では実際に毎日のように収録が行われている吹替のスタジオも併設されている。
字幕翻訳Web講座も開設 通学かWebかの選択が可能に
2020年度より字幕翻訳が学べるWeb講座を開設。自宅にいながらにして本格的に字幕翻訳を学べる講座となっており、Basic Classから始めてIntermediate Class1・2、Advanced Class1・2・3・4と順次履修。標準受講期間として1年9カ月ほどで全講座を修了できる。授業は収録された動画を好きな時間に視聴し、課題をメールで提出してメールで添削を受け取り、次の動画へと進む流れ。通学とは異なりクラスは毎月開講していて、好きな時間に好きな部分を何度でも視聴ができ、動画の再生スピードの調整機能もあるので、より自分のペースで学習することが可能となっている。
修了後のフォロー制度として、東京校Advanced Class、大阪校字幕翻訳クラス、字幕翻訳Web講座Advanced ClassⅣのいずれかを修了した方を対象として、東北新社の映像翻訳者の登録試験であるトライアル試験を毎年4月と10月に実施している。成績優秀者は東北新社にフリーの映像翻訳者として登録され、仕事が発注されるという仕組みだ。
このトライアル試験は同校の修了生しか受けられないが、映像翻訳の学習経験者を対象とした編入試験を受けて合格をすれば、Advanced Classからの受講が認められ、最短でトライアル受験資格を得ることも可能。現在、東北新社に映像翻訳者として登録されるためにはこのトライアル試験を突破するしか道がないため、他校を修了した方やすでに映像翻訳の仕事をしている方も毎年多数、編入試験を受験している。
修了生インタビュー

「映像翻訳科」修了生
松本小夏さん
まつもと・こなつ/東京大学教養学部卒。官公庁勤務を経て映像翻訳者をめざす。2016年から3年間、映像テクノアカデミアで学び、トライアル合格を機に在学中から映像翻訳の仕事を始める。主な翻訳作品に、ドキュメンタリー映画『フリーソロ』(VO)、ドラマ『メイドの手帖』(吹替)などがある。
技術的にも精神的にも学ぶことの多かった3年間が
映像翻訳者としての基盤を作ってくれた
官公庁勤務の公務員から映像翻訳者へ転身した松本小夏さん。幼い頃から映画と英語に親しみ、その二つに関わる仕事がしたいと転職を決意した。
「やりたいことより自分に向いていそうな職業を選んで公務員になったのですが、仕事を続けるなかで、映像翻訳への思いがだんだん強くなっていきました。やはり憧れだった映像翻訳者をめざしたいと思い、翻訳スクールで学ぶことにしたのです」
2016年、映像テクノアカデミアの「Basic Class」に入学し、「Intermediate Class」「Advanced Class」を経て「Graduate Class」を修了する2019 年まで通学した。字幕・吹替翻訳の基本ルールから学び始め、ゼミ形式の「Graduate Class」では長編映画の全編翻訳に挑むなど、3年間でプロとして通用するだけの実力を身につけた。岡田壮平氏や林完治氏など第一線で活躍するプロから直接指導を受けた経験が、いま仕事をするうえで大きな支えになっているという。
「技術的にも精神的にも、たくさんのことを教えていただきました。岡田先生の『翻訳者の使命は、映画やドラマの感動を余すところなく観客に伝えること』という言葉はいまも心に残っています。私も翻訳者の使命を忘れずにこの仕事と向き合っていきたいです」
「Graduate Class」在籍時に講師の推薦を受けてドラマの字幕を担当した。同じ時期に東北新社のトライアル(VO)に合格し、ボイスオーバーの翻訳案件も受注するようになった。初めてVOを任された作品は、第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作『フリーソロ』だ。
「トライアルに合格したばかりなのに、こんなすごい作品を訳せるのかと光栄に思ったものです。お仕事はそれぞれご縁があっていただけるものなので、これからも一つひとつの作品を大切にして丁寧に訳していきたいですね」
吹替のトライアルにも合格し、字幕・吹替・VOすべての分野で活躍中。劇場公開の映画を翻訳し、それを映画館に観に行くのが今の目標だ。
スクールの注目ポイント
Point1
修了生のみ受験できる東北新社のトライアルを実施!
卒業生は、東北新社音響字幕制作事業部による「トライアル(翻訳者登録試験)」が受験できる。年2回(4月、10月)行われ、初回のみ無料、有料で再受験も可能だ。成績優秀者には、同社が翻訳の仕事を発注。また、ほかの制作会社から仕事を受注している卒業生も多数いる。
Point2
映像翻訳学習経験者向けに編入試験を開催!
映像翻訳を学んだ経験があれば、開講前に数回実施される編入試験を受けることができる。合格すれば、AdvancedClassからの受講が可能。修了すればトライアルの受験資格を得られるため、スキルアップしたい学習経験者はもちろん、仕事の幅を広げたいプロも編入試験に挑戦している。
Point3
アフレコ実習&コラボ授業吹替授業が充実!
東京校Advanced Classの「アフレコ実習」では、プロの声優が受講生の訳で演技。抑揚や間を考えた台詞づくりの参考になり、演出家からのアドバイスも得られる。同「コラボ授業」は、声優科の学生とともに人気映画やドラマの吹替版をつくる特別授業。どちらも吹替の現場を存分に体感できる。