第一線で活躍する現役翻訳者が
生きた教材を用いて実践的ノウハウを伝授

モニターを用い初見の文書を訳すワークなど、臨場感のある授業が展開される。受講生は熱心に取り組んでいた。

モニターを用い初見の文書を訳すワークなど、臨場感のある授業が展開される。受講生は熱心に取り組んでいた。

訪問クラス 翻訳者養成コース「産業翻訳 日英プロ科〈行政・経営〉」 授業時間・・・120分 回数・・・全18回

ネイティブ講師のもと討議と演習を行う
「産業翻訳日英プロ科〈行政・経営〉」は、行政の報告書や企業の事業報告書などを用いて翻訳演習を行う最上級クラス。現役の英語ネイティブ翻訳者が講師を務め、授業はすべて英語で行われる。

いつものように、前回提出した翻訳課題(都市整備に関する報告書)の講評から授業がスタートした。講師のピーター・ダーフィー先生は「『全面オープン』はopenではなくcompleteを使って組み立てると、意味が伝わりやすい」など、表現面のポイントを丁寧に解説する。また、画像検索を利用した文意の確認法や英文のスタイルガイドについても説明。受講生から質問があると、仕事の経験談なども交えつつ、学びの厚みが増すような情報を返していく。

その後、この日の提出課題(IR関連文書)をめぐる討議、要約課題(英文記事を読み、要約を書く宿題)についての質疑を行って前半が終了。休憩を挟み、初見の文書を訳すインクラスワークへと移った。

課題は日本の人口動態に関するレポート。指名された受講生が2文ほどを訳すと、その場で先生が添削していく。「『過去最多』はthe highest number on recordでもok」「total Japan’s populationは語順が不自然」といった表現レベルのフィードバックもさることながら、意味が正しく伝わらない原因を明らかにしていく指導に、受講生たちはうなずくばかり。先生からヒントを得て文章を正したり、質問して要点を確認したりしながら、真剣に先生の言葉に聞き入っていた。

この日、ダーフィー先生がたびたび強調したのは「読者にわかりやすい表現か?」と自問することの大切さ。その飽くなき姿勢が、受講生のモチベーションを刺激しているに違いない。

講師’s Voice

翻訳者養成コース「産業翻訳日英プロ科〈行政・経営〉」 ピーター・ダーフィー先生 高校時代を日本で過ごす。米カリフォルニア大学バークレー校卒業(日本語専攻)。1996年に海外向け刊行物を扱う出版社に入社し、外交・政治・経済分野の英訳を手がける。現在はウェブサイト「Nippon.com」で日英翻訳・編集に従事している。

翻訳者養成コース「産業翻訳日英プロ科〈行政・経営〉」
ピーター・ダーフィー先生

高校時代を日本で過ごす。米カリフォルニア大学バークレー校卒業(日本語専攻)。1996年に海外向け刊行物を扱う出版社に入社し、外交・政治・経済分野の英訳を手がける。現在はウェブサイト「Nippon.com」で日英翻訳・編集に従事している。


日本語は英語ネイティブには難解
日本人の日英翻訳者が求められています
翻訳は、翻訳者の母語でアウトプットすることが原則であり、日英翻訳は本来、英語のネイティブが翻訳すべきものです。ですが、漢字に平仮名、カタカナが混在する日本語を読み、理解できるネイティブが少ないため、日本人翻訳者が必要とされています。英語ネイティブと日本人翻訳者とでは、依頼される仕事の種類に違いがあるかもしれませんが、書き手の意図、読者のニーズ、文書のスタイルを念頭に、文法的に正しい英文を書くことには、変わりはありません。

授業ではその大原則に立ち、ネイティブと同じレベルのライティング技術や翻訳ノウハウをお伝えしています。日本人翻訳者の場合、言外に隠れた文化的・社会的背景を知っていることが大きなアドバンテージですから、そこを生かした翻訳の仕方も実践的に指導しています。

プロ科は、プロとして通用する力をお持ちの方がブラッシュアップを目的に受講するクラスであり、すでに翻訳の仕事に従事されている方や、リピート受講をされる方が少なくありません。その一番の理由は、やはりフィードバックを得られるからだと思います。受講生は毎回、何時間もかけて提出課題に取り組んでいらっしゃるので、その努力に応えるべく添削や指導を通じて、丁寧にフィードバックするようにしています。

日英翻訳は「英語を書く」仕事であり、英語を書いてスキルを磨く以外に上達法はありません。また、必ず「何か」についての文章を訳すので、「何か」にあたる専門分野の知識を蓄えることも必要です。その意味でも、自分が目指している分野や業界に関する文書を、英語と日本語の両方でたくさん読むことが大事だと思います。

どんなに機械翻訳が進化しても、原文に書かれていない書き手の意図や読み手のニーズを汲み取って訳すことは、人間にしかできません。知的好奇心が旺盛な人にとっては、翻訳は非常におもしろい仕事。当校では成績の優秀な方をサイマル・インターナショナルに推薦する制度もありますので、もっと多くの方に日英翻訳者を目指してほしいと思います。