創設以来、業界トップクラスのプロフェッショナルを数多く輩出
「スクールで学び、現場で生かす」相乗効果でプロデビューを後押し
第一線で活躍する講師による指導と独自の教材・訓練法で、現場で使える実践力が身につけられるインタースクールのカリキュラム。母体であるインターグループとの連携によるキャリアサポートも万全で、成績優秀者には在学中からプロ通訳者として活躍できる道も拓かれている。
訪問クラス 会議通訳コース本科Ⅲ
一人ひとりの学習計画を共有し、意味のある訓練体験の実現をめざす
インタースクールの「会議通訳コース」は4段階にレベル分けされており、そのうち本科Ⅲは、本科Ⅰ、Ⅱで強化した逐次通訳スキルのレベルアップと、同時通訳スキルの習得を目的としている。全40 回の授業は現在は、オンラインで行われ、受講生はヘッドセットをつけてレッスンに臨む。担当するのは現役のプロ通訳者でもある押田泉先生だ。
講義はまず、今期から取り入れたという個々の学習記録の振り返りから始まった。受講生は授業前日、直近1週間の学習計画と実績を記した記録を提出しており、先生はそれを見ながら一人ひとりにコメントする。「業務多忙で勉強時間がとれなかったがリプロダクションとシャドーイングだけは毎日行った」という受講生には「むしろ継続して練習できたことに対して自分を褒めていただきたい」と励ましの言葉を送り、「通訳を実践する機会が少ない」という受講生には「そういう時期もありました」と自身の経験もふまえながら「リプロダクションや逐次通訳の訓練を少しずつ組み入れるといいですね」とアドバイスする。自己学習の計画と、どれだけ計画通り実行できたかの確認の共有について、「授業外でも、受講生一人ひとりに意味ある訓練体験を実現したいと思ってこのシステムを取り入れています」と押田先生は話す。
「通訳者としての将来の実現には、授業を受けるのと同時に、自己学習も非常に大切です。自己学習の努力を“見える化”し、一人ひとりが立てた学習計画を一緒に見返すことで、授業以外の時間における訓練の継続を促しています。同志が頑張っている様子を目の当たりにすれば、モチベーションも上がりますよね」
現場のニーズを念頭に求められるスキルを体系的に学習する
各受講生の自己学習の振り返りを終えると、桁の大きい数字が並ぶオリジナル教材を用いて日⇒英表現を確認する。
「米国〇千万人、ブラジル〇千万人、英国〇百万人、……世界全体で〇億人……」という数字が続く音声を、メモを取りながら一人ずつ短く区切って訳していく。初見ではあったが、受講生は一様に淀みなく訳出していたのをふまえ押田先生は「みなさんバッチリですね。あとは長文を続けて流した時に、同時通訳の形で滑らかに訳出できるようになるまで練習してください」と言った。
次は、事前に配られた単語リストとスライドを用いて英語のスピーチを初見で逐次通訳する練習だ。今回の教材は、日本進出を図る英国の企業に向け、日本市場を取り巻く課題や市場参入戦略について講演したもの。初めは30秒ほどに区切った音声を逐次通訳してもらい、抜けていたり、正確に聞き取れていなかったりする箇所があれば、その部分だけ再度音声を流し、リプロダクションして確認する。
会議通訳コースの教材では外交、経済、ビジネス、医療、IRなど、幅広く学べるが、押田先生いわく、分野を問わず通訳者として押さえておくべき知識は、教材に出てこない用語も積極的に発信しているという。
スピーチ音声において「prospects(潜在的な顧客)」「price point(価格の設定の仕方)」などのマーケティング用語が頻繁に出てきたが、押田先生は単語の意味にとどまらず、それに付随する背景や、考え方についても解説を入れる。例えば「cash cow」という単語は「金のなる木(儲かるビジネス)」と訳すが、これは製品やサービスの市場占有率や成長率を二次元グラフで示すマーケティング手法「4象限分析」で用いられる用語のひとつだ。こうした背景を知らずに「cash cow」を正確に理解することはできないため受講生には各自グラフを描いてもらいながら丁寧に説明していた。こうした現場においても必要となる知識を体系的に学べるのも、プロ通訳者に指導を受ける強みだろう。
今度は10秒程度に短く区切って音声の続きを訳出する。長い文章なら自分の言葉でまとめて訳出することもできるが、短い文はより正確な訳が求められる。現場ではどちらも必要なスキルなので、それぞれに求められるニーズを念頭に訓練を続けるのが大切なのだ。
たっぷりと逐次通訳訓練を実施しこの日の授業は終了。次回の授業では同時通訳訓練を行うことを予告するとともに、押田先生は「ではまた来週、みなさんの練習記録を楽しみにしています」と受講生に自己学習の継続を促す言葉を伝えた。
講師コメント

会議通訳コース 本科Ⅲ
押田泉先生
立教大学卒。在学中にイギリスのエセックス大学へ留学。大手精密機器メーカーの海外営業部勤務を経て、自動車メーカーや大手流通企業、IT企業、外資系保険企業などで社内通訳・翻訳業務に従事しながらインタースクールで学ぶ。2013年にインターグループの専属通訳者へ転身し、現在は政府間会合などの第一線で活躍しながら、インタースクールの上級クラスで後進の指導にあたっている。
通訳者としての常識力を身につけて想像力と表現力を生かした通訳をめざしましょう
「会議通訳コース本科IIIでは本科IVへの進級を見据え、逐次通訳ではある程度の長さで抜けやもれ、詰まりがない訳出ができるように訓練を重ねます。同時通訳では、詰まることなく、聞き手に違和感を持たせない抑揚・発音で、骨子の情報をしっかりと訳出できるようになることが目標です。会議通訳は時事問題と密接にかかわってきますので、英語のニュースで出てくる話題や単語の理解も、授業や自己学習を通して深めていきます」
講師が正解を決めつけて一方的に発信するのでなく、受講生の考えや疑問点、自身の訳をその場で調べて共有していただいた上でコメントするようにしています。同じ箇所を複数の方に訳出いただくこともありますが他の方とご自分の訳がどう違ったか、欠けたり間違ったりした情報があれば、その原因と対策を一緒に考えていきます。また、英語と日本語を自動的に変換するだけでなく、想像力と表現力を最大限に生かした通訳ができるよう、授業のはじめに持ち回りでお題を出してプレゼンテーションしていただく機会を設けることもあります。そうして「通訳者としての常識力」をクラス全体で底上げしていくことをめざしています。
通訳の仕事は、今まで踏み入れなかった場所に足を踏み入れ、出会うはずのなかった方とお会いし、語彙力とともに自分の世界を広げる機会をふんだんに与えてくれます。インタースクールは、母体であるインターグループと密に連携をとり、努力が実りつつある受講生を現場に送り出せる万全のバックアップ体制も整っています。私たち講師も通訳者になるためにがんばる人を応援しています。