汎用性の高い通訳スキルと現場対応力を養成
アイ・エス・エスの総合力で受講生のキャリアをサポート

iss_main

日本初の同時通訳者養成スクールとして設立され、50年以上にわたり優秀な通訳者を輩出する伝統校。全8レベルの「英語通訳者養成コース」は、実力と目的に応じたクラスを受講しながら着実にスキルアップが図れる構成になっている。在校生・修了生にOJTや仕事の機会を提供するなど、アイ・エス・エス全体で受講生のキャリアアップをサポートしている。

訪問クラス 英語通訳者養成コース「本科2」

双方向型オンラインクラスは自宅や出張先からも参加可能

英語通訳者養成コース「本科2」は、本格的な通訳訓練に必要な通訳基礎力(語彙力・理解力・表現力)の完成をめざすクラス。日英と英日の授業が交互に組まれたカリキュラムを通じ、英語・日本語両言語の理解力、表現力をバランスよく身につけていく。今回は、現役プロの小宗睦美先生による英日授業をレポートしよう。
 
2020年秋現在、同校の英語通訳者養成コースはすべてビデオ会議システムを使用した双方向型オンラインクラスとなっている。授業開始時刻になると、受講生が自宅などからオンラインで参加。なかには出張先のホテルから参加する人もいて、遠隔地からでも受講できるというオンラインならではの利点が感じられる。

「今日の単語テストは、チャット機能を使ってみましょう」と小宗先生が声をかけ、恒例の単語テストで授業が始まる。小宗先生がチャットで20問を出題し、受講生が同じくチャットで解答するという試みだ。最初からスムーズに解答を送信できた受講生もいたが、送信方法にとまどいを見せた受講生も多かった。「今後は、オンラインの通訳案件も増えていきます。今のうちにビデオ会議システムの使い方に慣れておくといいですね」との小宗先生のアドバイスに対し、受講生は実感をもって大きくうなずいていた。

単語テストのあとは、前回教材の復習に移る。「事件・事故・警察」分野から医療過誤と飲酒運転に関するトピックの2教材が取り上げられ、指名された人が1文ずつ音声を聴いて逐次通訳する形で授業が進む。受講生は各自、逐次の訳出練習をしてきているだけあって、自然で滑らかなパフォーマンスができていた。

受講生のパフォーマンスを受け、小宗先生は一人ひとりの訳出について丁寧に講評をする。事件を起こした人物に対して『容疑者』『被告』など複数の呼び方がされていたことについては、「呼称は逮捕、裁判、服役などその人物の置かれている状況で異なりますが、一つのニュースの中で『容疑者』『被告』『受刑者』など、呼び方を変えると聞き手が混乱します。呼び方は統一したほうがいいでしょう」と解説し、受講生の疑問に答えていた。

現役プロの仕事ぶりにふれ事前準備から訳出まで学ぶ

この日の初見教材には、「環境」分野から気候変動に関するトピックが取り上げられた。受講生にはタイトルとともに「学生を対象にしたセミナーでのレクチャー」という情報が与えられており、これら限られた情報からどんな事前準備をするかも授業の一環になっている。小宗先生はまず、「どんな準備をして、何がわかったかを共有しましょう」と指示し、ペアワークの時間を持つ。ペアになった受講生は、各々が行った準備について意見交換することで、互いのアイデアからさらに効果的な準備の仕方を学んだようだ。小宗先生は、「私が通訳するとしたら、こういう準備をします」と前置きした上で、世界気象機関(WMO)や気象庁が作成した資料を提示しながら事前準備のコツを披露。「学生を対象にしたセミナーなので、一つのテーマを深く追究するよりも、気候変動がもたらす問題を広く浅く調べるほうが適切」と続け、プロの立場から実践的なアドバイスを送った。

ペアワークのあとは再びクラス形式に戻り、教材の音声をシャドウイングする。続いて、「手もとにあるスマホやICレコーダーで訳出を録音してみましょう」の声を合図に逐次通訳の吹き込みが始まる。1文ずつ区切られた音声を聴いて各自で逐次通訳を行う。自分の通訳を録音し、聞くことで、訳出や話し方の課題を知ることができる。そのため、対面の授業では教室で録音し、受講生は自分の音声を持ち帰っているが、オンライン授業でも同様に、手もとのデバイスを使って自分の訳出を録音するよう奨励されている。吹き込み作業が終了すると、今度は指名された人が1文ずつ音声を聴いて逐次通訳にチャレンジだ。受講生が聴き取れなかった単語や訳語の選択が難しい単語についてはその都度詳細な説明があり、初見ながらも全員が最後まで訳しきっていた。

このほか、2本目の初見教材の訳出に取り組んだり、リプロダクションの訓練をしたり、盛りだくさんの内容になった2時間15分。オンラインのメリットや可能性についても十分に手応えを感じられる授業だった。

講師コメント

asanosensei

英語通訳者養成コース
「本科2」
小宗睦美先生

関西学院大学文学部英文学科卒。ホテル、外資系製薬会社勤務を経て渡英し、英ブラッドフォード大学修士課程(ビジネス戦略・環境マネジメント専攻)修了。帰国後はフリーランス通訳者・翻訳者、講師として多方面で活躍している。

復習で100%の仕上がりをめざし日本語を練り上げることにこだわりましょう

「本科2」の受講生は、相応のリスニング力を備えていますので、英日授業では聴き取った情報を理解し、それを的確な日本語でアウトプットできるように訓練していきます。授業では、初見教材と復習教材を使って逐次通訳を行いますが、初見の訳出ではあえてモデル訳を示さず、受講生自身により良い訳語や表現を考えてもらうようにしています。初見で適切に訳出できなかったところこそ、学びの宝庫です。授業中にほかの受講生の訳出を聞き、もう一度自分で考え、日本語の聞きやすさにもこだわって、2週間後の授業の訳出では100%の仕上がりをめざしてもらいたいと考えています。実際、復習教材は皆さん素晴らしいパフォーマンスで、私も嬉しく思っています。

通訳者にとって、事前準備はとても重要です。今回の初見教材でも、タイトルとどんな人を対象にしたスピーチかという情報だけをお伝えし、リサーチまで含めた仕事の仕方を体験していただきました。どんな方法を使ってどのように準備すればいいのか、私自身が仕事をする中で身につけた手法をお伝えしていきますので、現場に出ている通訳者が実際にどういう準備をしているのかを見て、参考にしていただきたいと思います。

対面での授業をするのが難しい状況となり、現在はオンラインクラスを実施しています。オンライン授業であっても、講師対受講生という関係だけでなく、受講生同士で刺激し合い、学び合える、そんな場にしたいと考えています。また、最近はオンラインの通訳案件が増えていますので、「オンラインは苦手」という人にも役立つ機会になると思います。参加される皆さんが一歩でも先に進めるよう、私も頑張ります。