スクールで学び、現場で生かす
優秀な受講生は在学中にプロデビューのチャンスも

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実践に即したスキルを培う「人材育成」と、㈱インターグループが活躍の場を提供する「現場経験」の双方向サイクルで、これまで多くのプロフェッショナルを世に送り出してきたインタースクール。通訳・翻訳業界の第一線で活躍している講師の臨場感あふれる授業では、着実にレベルアップを図ることができる。

訪問クラス 通訳基礎コースⅢ

英語の正確な訳と自然な表現とのバランスを見つける

インタースクールでは昨今の新型コロナウイルス感染防止の観点から、2020年4月期よりいち早くオンラインによる双方向型授業を展開している。今回は、松浦俊先生による通訳基礎コースの最上位クラス、レベルⅢのオンライン授業を見学した。

通訳基礎コースはリスニングとリーディングの2つのパートがセットになっている。上級クラスでの学習に備え、各パートで英語の理解力と、理解した内容を過不足なく伝える力を養成するのが目標だ。今回見学した松浦先生の授業は、リスニングパートにあたる。

授業の冒頭、ビデオ会議プラットフォームのZoomのマイクテストを兼ねて受講生の点呼をとり、まずは、ボキャブラリーエクササイズから。英文の空欄に当てはまる単語を選ぶ問題で、それぞれ4つの選択肢から適当な答えを探す。受講生には事前に問題の選択肢だけが記載された予習シートが配られており、各自、発音、アクセント、使用例などは確認ずみだ。それを踏まえておよそ3分間で問題全6問を解いたあと、口頭で訳出の発表をする。

今回の問題は、いずれもアメリカにおける新型コロナウイルスの影響について説明したもので、例えば1問目は、パンデミックによりアメリカが20万件目の死者を記録したことを示す文章だ。正解の単語は大虐殺という意味のcarnageだが、「コロナウイルスの文脈に当てはめると訳出時は『死亡者数』とするのがいいですね」と松浦先生。また、受講生がThe growing death toll を「成長する死亡者数」と訳したのに対して、「日本語として少し違和感があるので、『増え続ける死亡者数』という感じで」とアドバイス。英語の正確な訳(直訳)と、自然なアウトプット(意訳)とのバランスをとるのがポイントだ。

英語の100%の理解と理解した内容を過不足なく伝える力を養成

次は、いよいよメイン教材の訳出に初挑戦する。受講生は事前に共有されている単語リストをもとに下調べをしている。単語リストにNASAやArtemis program(アルテミス計画)とあるように、テーマは宇宙だ。

最初は音声を聴きながら、マイクをオフのまま一斉に各自で逐次通訳をしてみたあと、今度は一文ずつ区切って、「では、○○さん、どうぞ」と受講生一人ひとりに逐次通訳を促していく。はじめはリテンション強化の目的でメモはなし。

松浦先生は、受講生の訳出に「時制はどうですか?」「情報のピースはきちんと訳せているので、主語の捉え方をもう一度聴いてみて」などそれぞれ注意点をあげ、合わせて、文章中の難しい単語や言い回し、英語ならではの表現について解説を加える。

次に、同じ音声の続きを今度はメモありで逐次通訳していく。ここでも、「文脈に即した自然な訳」について何度か注意があった。例えば、awardは一般的には賞や授与という意味だが「アルテミス計画に貢献する企業に与える」という文脈であれば、「契約を結ぶ」くらいの訳が望ましい。

また、「orが出てくるような長い文章の場合は、どこに動詞があるか分析しながら聴けるといいですね」「英語を聴く時はその情景を思い浮かべると、メモに頼りすぎることなく時制は正確に取れるようになります」と、随所で逐次通訳のコツを指導する。

ちなみに、オンライン授業は対面授業よりも受講生の表情がよく見えるうえ、受講生の声もヘッドセットを通して聞こえるので、「訳出のどの部分で緊張している(苦手意識を持っている)か、あー、えー、などのフィラー(つなぎ言葉)は多くないか」なども確認しているそうだ。通訳スキルの訓練だけではなく、常に聞き手を意識しながら授業に臨むことも重要だ。

逐次通訳がひと通り終わると、同じ音声を使って今度はリプロダクションの練習。受講生から絞り出される英語はオリジナルと異なることが多いが、意味が同じなら使う単語や構文が違っても問題はないという。

「音だけで覚えようとすると、ある程度の量の英語になると対応できなくなります。リプロダクションは原文を丸暗記するのではなく、自分の中にある語彙や構文・文法を使って英文を組み立てることで正確な内容理解につながります」と松浦先生は説明する。

常に集中力が求められる110分間の授業は、高度なスキル習得をめざす受講生にとって自身の理解度や適応力と真剣に向き合う時間となるだろう。

講師コメント

通訳基礎コースⅢ
松浦俊先生

大学卒業後、商社勤務中にインタースクールで学び始め、その後「会議通訳コース」「専属通訳者養成コース(当時)」を修了。社内通訳、フリーランスを経て、現在、㈱インターグループ専属通訳者。2017年よりインタースクール「通訳基礎コース」「会議通訳コース」「ビジネス通訳コース」などで後進の指導にあたっている。

客観的なフィードバックをもらえる環境だからこそ苦手を把握して授業に臨みましょう

「通訳基礎コースⅢ」では、相手の話していることが「7、8割わかる」のではなく、残りの2、3割を突き詰めて「100%理解する」レベルをめざしています。そのため、授業では時制や文法、構文理解、語彙など、基本的な英文学習の観点から解説するようにしています。

教材は、アメリカの大統領選挙やサイバー攻撃など社会的に話題性のある多彩なテーマを用いて、リプロダクションによる英語のアウトプット力の向上、文法の強化など、ポイントを明確にしながら授業を行っています。私自身もインタースクールで学びましたが、このような的を絞った授業のもと、苦手を補う学習ができるのがスクールのよさで、自分のパフォーマンスのフィードバックをプロの通訳者である講師から得られるのは大きなメリットですね。

とはいえ、予習・復習はもちろんのこと、自主的な自宅学習も重要です。そして、このときに大切なのは、自宅でも授業中の緊張感を持って勉強に臨むことです。わからない単語をすぐにネットで調べたり、あきらめて原稿を見たりせず、授業で行った逐次通訳やリプロダクションのアプローチを思い出します。まずは1回、自分の力だけでパフォーマンスをしてから訳出を振り返ってみるなど、授業中の環境を自宅学習でも再現することで、徐々に力がついてきます。

また、自分がわからないところ、理解があやふやなところを分析、理解して、それを集中的に調べておさらいしておくことも大切です。客観的なフィードバックを細かくもらえる基礎クラスだからこそ、曖昧なところをなくして、それぞれの目標に向けて学習を進めていきましょう。