さまざまな分野別・レベル別に50を超える講座を開講
翻訳会社の母体を生かし、プロ翻訳者へのチャンスを掴む

定員6名という少人数制と現役翻訳者が講師を務める実践に即したカリキュラムで、これまでに3000名以上の翻訳者を輩出しているサン・フレア アカデミー。翻訳実務検定「TQE」合格者には母体である翻訳会社サン・フレアの登録翻訳者としての道も開かれ、学び、仕事の両面でサポートが得られるのも大きな魅力だ。

訪問クラス 「英訳の基本Ⅰ」

言語は世界を見る窓 まずは違いを理解する

「空欄には何が入るでしょう?」

授業の冒頭、前回の授業で学んだ前置詞のおさらいと、今回のテーマ冠詞の導入として、英文の穴埋め問題がモニターに映し出される。
「Ms. Kimura is a student (at) the University of Tokyo and (a) member of the steering committee (for) the library. まず、『木村さんは東大の学生で』の部分、studentは所有されているのではないので、ofではなくatが自然ですね。では、a member ofはなぜaなんでしょう」
「図書館の運営委員会のメンバーの一人なので」
「そうそう。ではtheでは何がいけない?」
「メンバーはその人しかいない、という意味になるから…」

本文の最後the library の前にofではなくforを使うのは「of…of…」の文を避けるためだが「日本語でも「…の…の」と続く文章はあまりよろしくない。a member of以下をa member of the library steering committeeとしforを取ると、「よりエレガントでわかりやすい」と遠田先生。前置詞と冠詞を減らすことで、英訳の間違いを減らす効果もあるという。

こうして始まったこの日の授業は、中級講座「英訳の基本Ⅰ」(全8回)の6回目。日本人には苦手意識が強いと言われる「冠詞」がテーマだ。
「『クジラは一頭、ウサギは一匹と数えますが、英語で頭や匹はなんと言えばいいの?』という質問に、みなさんならどう答えますか?」
「クジラもウサギも助数詞がないと数が表せないけど、英語なら名詞だけで単数か複数か言えます」
「そう、それこそが冠詞を理解する一番のポイントです」と遠田先生が膝を打つ。

地球上の言語は、『複数』の概念を取り込んだものと取り込まなかったものに二分され、前者の一例が英語、後者の一例が日本語。故に「ネズミがいた」という簡単な文さえ、それがa ratなのかratsなのかがわからないと英訳できない。

「言語というのは世界を見る窓。なぜ冠詞が日本人にとって難しく、どこを押さえると理解が得られるのか、それを踏まえて学習していきましょう」

授業は、テーマ学習と課題添削の2本立て

次に、time、apple、leg、coffee、progressなどいくつかの名詞を並べ、受講生に可算名詞(countable/ C)か不可算名詞(uncountable/ U)か、その両方に使えるものかを問いかける。受講生は、time は両方、appleとlegはC、coffeeはU…と解答していくが、種明かしをすればこの中ではprogressだけがUで、それ以外はCにもUにもなり得るという。

「『卵を買ってきて』はGet me some eggs.ですが、『顔に卵がついているよ』はYou’ve got egg on your face.ここでeggがCかUかの違いは形(境目、区別、輪郭)があるかどうかです」

買ってくる卵に形はあるが、顔についている卵のしみには決まった形がない(=数えられない)。これがCかUを判断する目安であり、さらに「Cなら単数か複数か」、「theをつけるかつけないか」の3ステップを経ることが冠詞を正しく使うコツだと教わった。

後半1時間は翻訳課題の解説タイムだ。「ネジを緩めてアース線をはずします」の課題に、「ネジ、またアース線は何本をイメージした? また冠詞はどうしますか?」という質問に対して、「ネジもアース線もひとつ。これは説明書に書いてある文章であり、手元に現物があると想定すると、明確にどのネジとアース線を示しているのかがわかるので、aではなくtheだと思います」と受講生が発言すると、「その通り!」と遠田先生。

「Loosen a screw to remove an earth wire. のように、不定冠詞にすると、世の中のネジ、アース線のどれでもいいことになってしまいますね。だから、ここはtheにしないと」と解説しながらモニター上で受講生の英訳に手を入れていく。こうして5、6問あった受講生それぞれの課題文を順次解説して、2時間30分の授業はあっという間に時間切れ。

受講生の方々もただ座って聞いているのではなく、自ら積極的に発言し講義を楽しんでいる姿が印象に強く残った。

講師コメント

THnaruhon2021_sunflare_sensei

英訳の基本Ⅰ
遠田和子先生
えんだ・かずこ

青山学院大学文学部英米文学科卒。在学中に米・パシフィック大学に留学。大手メーカーで翻訳業務に従事した後、フリーランスに。現在、日英翻訳者、翻訳学校講師、英語関連書籍・雑誌のライターとして活躍中。著書に「究極の英語ライティング」(研究社)など。

アプローチの方法を指し示しながらインタラクティブに学ぶ授業を実践

中級講座「英訳の基本I」は、まず日本語と英語の発想や構文の違いに注目し、それらを計8回の授業で体得していただく講座です。特に英訳を勉強している方は「こんな訳し方でいいのかな」と悩んでいる方が少なくないので、授業では「こういうアプローチで進めるといいですよ」という道しるべを示して差し上げたいと思っています。

例えば、日本語は主語が省略されても問題ありませんが、英語は主語を決めない限り書き始められません。そうした言語の違いを踏まえてセクション1の「主語」から始め、毎回、品詞別に焦点を当てて勉強していきます。

授業では、受講生の皆さんが自分で考え、できるだけアクティブに授業に関わって欲しいので、対話式を心がけています。インタラクションによってより理解が深まるだけでなく、意見を出し合うことでお互い刺激になりますし、そんなこと思いつかなかった、という訳文が出たり、質問もいろいろな視点からでてくるわけです。受講生の方々が質問できるという環境はとても素晴らしく、それ自体が通学の大きなメリットでもありますね。

また、サン・フレアアカデミーでは翻訳実務検定の「TQE」を実施しており、合格すれば登録翻訳者として仕事の機会が得られる点でも目標が立てやすく、学びの意欲も高まるのではと思います。

翻訳者になるための王道はありませんが、明確に、具体的に、目標を持ってほしいと思っています。皆さんにはぜひ「楽しく学ぶ」をモットーに、勉強を続けていただきたいですね。