実績ある通訳・翻訳会社が母体の語学スペシャリスト養成校
現役翻訳者の実践指導と充実したキャリアサポートにより未経験からプロへ

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語学のプロフェッショナル育成で定評のあるサイマル・アカデミーでは、英日・日英の翻訳者養成コースを開設している。現場を知り尽くした現役翻訳者が、実践的なスキルとノウハウをあますところなく指導。翻訳者登録推薦制度やOJT制度など、グループ企業と連携したキャリアサポートにより、質の高い翻訳者を輩出し続けている。

訪問クラス 翻訳者養成コース「産業翻訳日英本科」

英語ネイティブ翻訳者があらゆる疑問を解消

「産業翻訳日英本科」は、新聞や雑誌記事、ビジネス文書を教材に、日本語文の内容を正しく読み取り、誤訳のない自然な英文に翻訳する力を養成する講座。英語ネイティブの日英翻訳者が講師を務め、授業は英語で進められる。

頭のストレッチとばかり、ポール・ウォラム先生がまず話題にしたのが、中国人名の英語表記。現代人に関しては、ピンイン(中国語の発音表記法)に従い、「温家宝→ Wen Jiabao」のように原音表記するのが通例だという。

「漢字を音読みして『On Kaho』としても通じません。漢字をピンインに変換してくれるサイトがあるので、それらを利用しましょう。ただし『孔子(Confucius)』や『孫文(Sun Yat-Sen)』のような歴史上の人物の場合、旧表記で広く認知されているので、ピンインに従わなくても大丈夫です」
 
ウォームアップが済むと、リーディング課題の質疑に入っていく。課題は新天皇即位を伝える英文記事で、語彙や表現など、受講生が読んで気になったところを議論する。

「according to legendのlegendに、なぜtheがつかない?」との問いに、ウォラム先生は「according to legendは慣用句。何か特定のlegend に言及し、それを指しているならtheが必要だが、ここは一般的な話をしている」と回答。また、He was the first Japanese Emperor to marry a non-royal speak to his subjects … という文について、「わかりにくい」という声が上がると、その意見に同意した上で「non-royal の後ろにコンマを入れるか、コンマを入れてto speak とすると、理解しやすい」と説明した。その解説は明快で的確だ。

続いては、翻訳課題の討議。内容はガラリと変わって、某企業の宇宙ゴミ除去事業参入について。通常であれば、ウォラム先生が受講生の課題を添削して感じた問題点をディスカッションする。ただ、今回は特に大きな問題がなかったため、先生が自身の翻訳をもとに訳出のポイントを解説し、質問に応じる形が取られた。 

「主節は過去形だが、that節では2025年という未来について話しているので、wouldではなくwill が適切」「debris(宇宙ゴミ)は不可算名詞なので、『宇宙ゴミ2万個』は20,000 space debris ではなく、20,000 pieces of space debris とする」「『第一歩となる』はmark the first step。よく使われるフレーズです」
 
ウォラム先生は、時制や名詞の単複、イディオムなど、受講生がつまずきやすいポイントを漏れなく解説していく。また記事自体が短く、宇宙ゴミを除去する技術の説明が曖昧でわかりにくいことから、「10分でも15分でも背景を調べれば、欠落している情報がわかって訳すのが楽になり、必要な情報を補うこともできる」とアドバイス。リサーチの大切さを強調した。

「学び」の大きい討議形式の翻訳演習

授業の後半には、初見の記事を翻訳するクラスワークも行われた。課題は「即位の礼」の説明記事。リーディング課題と同じトピックであり、インプットとアウトプットを並行して行うことで、語彙力や表現力、知識力を高める狙いがあるそうだ。
 
15分程度の準備の後、指名された受講生が1文ずつ英訳を発表。それを叩き台として全員で討議し、訳文を練り上げていく。たとえば「休日となる10月22日に国の儀式として」の最初の訳は、October 22, a holiday as a national ceremony. これに対し、ウォラム先生が「『休日』はholiday だけでOK?」と問いかけたのをきっかけに、徐々に意見が活発化し、議論が深まって、最終的にas a national ceremony on October 22, which has declared a public holiday という文章にまで洗練された。一人で考えたのでは、おそらくこの訳文にはたどり着かない。ネイティブ講師の巧みな導きあってのことだが、人が集まって翻訳を学ぶことの意味を実感できた。

積極的に英語で質問し、意見を述べる受講生たちの語学レベルは相当なもの。どんな質問に対しても、ネイティブの視点で丁寧に答えるウォラム先生の指導は、とてもわかりやすかった。環境面でも学習面でも、受講する価値の高い授業といえる。

講師コメント

翻訳者養成コース 「産業翻訳日英本科」ポール・ウォラム先生 イギリス出身。オックスフォード大学、ハーバード大学で日本文学を研究。英語の旅行ガイドブック記者、翻訳会社勤務を経て、フリーの日英翻訳者に。実務翻訳から出版翻訳まで幅広く手がける。主な訳書に『プレーンソング』(保坂和志)、『爆心』(青来有一)など。

翻訳者養成コース
「産業翻訳日英本科」
ポール・ウォラム先生

イギリス出身。オックスフォード大学、ハーバード大学で日本文学を研究。英語の旅行ガイドブック記者、翻訳会社勤務を経て、フリーの日英翻訳者に。実務翻訳から出版翻訳まで幅広く手がける。主な訳書に『プレーンソング』(保坂和志)、『爆心』(青来有一)など。

次世代の翻訳者として活躍されることを期待しています

翻訳とは、言葉そのものではなく、その裏側にある「意味」を訳す知的な行為です。日本語と英語は言語的に遠く、逐語的に訳したところで意味は伝わりません。求められるのは、日本語の意味を正しく読み取り、その意味を正しく自然な英語で表現すること。その基本姿勢を、受講生の皆さんに学んでほしいと考えています。
 
原文の理解力はもちろん大切ですが、翻訳の質を大きく左右するのは、やはりターゲット言語を「書く力」です。自然な英語表現を身につけてもらうため、授業ではひとつの言い方だけでなく、言い換えのバリエーションをできるだけたくさんお伝えします。また書く力を磨くにはインプットが肝心ですので、リーディング課題だけで満足せず、いろいろな英文をたくさん読んでほしいと思います。その際、使われている表現や文法、構文に注意して読むようにすると、ライティング力の向上につながります。
 
自分が訳した英文と原文の日本語を読みくらべたとき、字面はまるで違うのに意味が同じだと、まるで奇跡のように感じます。それこそが翻訳の醍醐味。仕事のたびに新たな世界に触れられる点も、楽しいものです。
 
文章には、書き手の思いや意図が込められています。それを読み取れるのは人間だけであり、人間にしか訳せません。私は翻訳が好きですし、翻訳者になって本当によかったと思っています。次世代の翻訳者として、皆さんが活躍されることを大いに期待しています。