先進的な指導メソッドときめ細かな個別フォローで
プロの映像翻訳者を育てる

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JVTAは映像翻訳者の育成に特化した専門スクール。映像翻訳の幅広いジャンル、すべての手法(字幕・吹替など)を網羅したコース内容で、未経験者も実践的なスキルを効率的に学ぶことができる。修了後は併設の翻訳エージェント部門MTC(メディア・トランスレーション・センター)が仕事の受注をサポート。業界屈指のプロデビュー者支援実績を誇る。

訪問クラス 英日映像翻訳科「実践コース」


ビジネス系の素材を訳すポイントやコツを学ぶ

「実践コース」は、「総合コース」で学んだ字幕・吹替、取材調査力などのスキルを、プロとして通用するレベルまで引き上げるコース。実際の仕事を想定した「発注→作業→納品→フィードバック」という流れの模擬発注形式の演習に取り組むことで、実践力を培うことがコースの特徴の1つになっている。

この日の課題は、企業研修などで使われる約7分の映像素材の字幕。映像翻訳というと映画やドラマなどエンタメ系の素材を訳すイメージが強いが、「ビジネス系の需要は全体の約3割を占めています」と藤田庸司先生。需要の高いビジネス系の案件を訳す際の注意点を知り、対応力をつけることがこの授業のねらいだ。

受講生は事前に翻訳原稿を提出しているため、授業は教室のディスプレイを使って、その訳を映像に載せ全員で視聴・検討、講師のフィードバックを受ける形で進んでいく。これまでは4~5分程度の課題だったため、「今回の課題、長かったですか?」という藤田先生の言葉に、一様に頷く受講生たち。7分間で字幕が約120枚に上る今回の課題は、受講生にとってかなり骨の折れるものだ。「もうすぐ修了ですから、このぐらいの量はこなしていきましょう」と藤田先生も話すように、プロデビューが間近に見えてきた受講生に量への対応力をつけさせることも、実践コースの目的の一つになっている。

課題のテーマは、マネジャー職の働き方について。語り手が登場し、この映像のテーマを述べ、問題提起やその答えをドラマ形式で見せていくという構成だ。授業では全体を5パートに分け、1パートにつき3~4名の字幕を載せて視聴していく。受講生は皆、基本的な字幕のスキルを身につけているため、総じて読みやすい字幕に仕上がっているが、藤田先生からは早々に“fellow manager”の訳語の「同僚」について、「マネジャーの同僚って誰ですか?」と質問がなされた。よく考えてみると、この映像はマネジャーが他部門のマネジャーといかに関係を築くかをテーマにしたものなので、「マネジャーが同僚と付き合う」といった訳では、視聴者には「同僚」が誰を指すのかわかりにくく、「マネジャー同士で付き合う」などとしたほうが意味がわかりやすいことが見えてくる。

「この映像が伝えたい主旨は何でしょう? 自分の言葉で人に説明できるように理解していないと、説得力のある字幕になりませんよ」

企業が制作・使用する映像には明確な主旨、筋道があるので、翻訳者には主旨をきちんと理解し、理路整然と情報をつないでいくことが求められる。これが、ビジネス系の素材を訳す際の“肝”になるようだ。

ディレクター視点のきめ細かな指導で字幕の精度を上げる

課題のパート2以降はドラマ形式。ドラマは受講生が多く勉強してきていることもあり、情報の取捨選択なども概ねよくできているようで、1枚1枚の字幕の精度を上げるための細かな指導が中心となった。

例えば「会社には明日まで来ない」と「出社は明日になる」。ささいな違いのようだが、実際に字幕で見てみると、後者のほうが瞬時に意味を理解しやすい。そのほかにも、「『欧州』とすれば字数は減るが、『ヨーロッパ』のほうが見慣れていて読みやすい」など、翻訳者であり映像翻訳ディレクターでもある藤田先生ならではの実践的かつ具体的な指導が続く。自分やクラスメイトの字幕を客観的に見直すことで、チェックの力もついていきそうだ。

受講生からは「何字を超えたら2行にしますか?」との質問も飛び出す。
「改行のルールはないことが多いです。極端に短い2行も最大文字数の1行も見づらいですね。前後のバランスも考えて決めましょう」

あいまいな回答のようにも思えるが、実はこの柔軟さこそが実践コースのポイント。字幕・吹替には基本的なルールがあるが、実際の仕事ではフレキシブルに対応しなければならない場面も多いため、あいまいな側面や何がどこまで許されるのかを理解し、自分で考える力を培うことがとても重要になるという。

受講生たちは残り数回の講義を受け修了、トライアルに合格すればプロデビューを果たすことができる。休憩なしの2時間20分、デビューに向けて1つでも多くのことを学ぼうとする受講生たちの意気込み、そして1つでも多くのことを教えたいという講師の熱意が感じられる、密度の濃い授業であった。

講師コメント

英日映像翻訳科「実践コース」
藤田庸司先生
ふじた・ようじ

JVTA修了後、フリーランスの翻訳者として、主に音楽DVD、バイクを改造する番組などを担当。映像翻訳チーフディレクターを務める現在は、昨今のメディア業界のニーズに応えるべく、大量案件を短い期間で納品する「チーム翻訳」を推奨し、さまざまなジャンルを手がけている。


現場での“柔軟さ”も学び、臨機応変に対応できる力をつけてください

今日の課題は、企業の研修などで使われる働き方に関する映像です。ビジネス系の案件は映画やドラマと違い、楽しみながら訳すというわけにはいかないかもしれませんが、今は企業がホームページに動画を載せるのが当たり前の時代ですから、こうした案件にも対応できる力をつけておくと、仕事獲得のチャンスは大きく広がります。

映像翻訳は趣味や職歴など自分の強みを生かせるのも魅力です。私も音楽が好きで、フリーの翻訳者だった頃、音楽スタジオや機材にまつわる映像の仕事を請けていました。当校では、あらゆる分野、素材、手法に対応できる力を培うので、最初のうちはいろいろな仕事にチャンレンジし、実績を積むことをおすすめします。

通学のメリットは、その場でフィードバックを受けたり、質問したりできること。クラスメイトの訳や意見から学べることも多いはずです。プロになるとなかなか横のつながりができないので、学習しているうちに情報交換できる仲間をつくっておくことも大切です。将来互いに仕事を紹介し合うなど、助け合うこともできると思います。

実践コースでは、現場のノウハウを教えることを重視しています。映像翻訳には基本的なルールやテクニックがありますが、実際にはあいまいな部分も多く、プロは状況に応じて臨機応変に対応しなければなりません。車の運転も教習所で学んだ通りに公道を走るわけではなく、歩行者や他の車の動きに合わせて、柔軟に走りますよね。映像翻訳者も同じです。実践コースではそうした柔軟に対応する力を養ってほしいと思っています。