汎用性の高い通訳スキルと現場対応力を養成
ISSグループのフォロー体制によりキャリアアップも

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通訳学校として伝統と実績を誇るアイ・エス・エス・インスティテュート。「英語通訳者養成コース」は、8段階のレベルから実力と目的に応じたクラスを受講することで、着実にスキルアップできる構成になっている。在校生・修了生にOJTや仕事の機会を提供するなど、ISSグループ全体で受講生のキャリアアップをトータルにサポートしている。

訪問クラス 英語通訳者養成コース
「プロ通訳養成科2」

講義形式でIRの概要を学びコンテンツへの理解を深める

英語通訳者養成コース「プロ通訳養成科2」では、現役通訳者の指導の下、プロとして仕事をすることを前提とした実践訓練を行う。今回は、フリーランス通訳者・和田泰治先生の授業をレポートしよう。

和田先生の授業は、2回を1セットとして1つのジャンルを扱うというスタイルが取られる。1回目では、講義形式で当該ジャンルの概要を説明し、用語解説などを行う。後半は教材を用いて逐次通訳の演習。2回目では、1回目の内容を踏まえて、逐次通訳の演習といった形だ。

見学したこの日は、「IR」の1回目。授業はまず、なぜ「IR」をテーマに選んだか、という話から始まる。「IRは、通訳業界の中でマーケットが大きい。汎用性も高く、しっかり学んでおけば仕事に結びつきやすい」とのこと。仕事を視野に入れ始めた「プロ通訳養成科」の受講生にとって、こうした業界情報は何より貴重なはず。IR通訳の経験が豊富な和田先生の言葉に、受講生は熱心に耳を傾ける。

続いて、IR(Investor Relations)の定義、通訳者が関わるIRのタイプ・対象者などについて詳しい説明がある。IR通訳とは、具体的にどんな内容の仕事があるのか、誰と誰の間に入って通訳するのかなど、現場の様子が手に取るようにわかる解説だ。さらに和田先生から、「IRを足掛かりに、企業財務・コーポレートファイナンス、資産運用・投資などに発展させることもできる。他分野に応用が利くので、IRは若手のうちに経験しておくとよい」とのアドバイスも加わった。

その後は、「貸借対照表(Balance Sheet)」「損益計算書(Profits and Loss Statement)」などで使われる専門用語が示され、IRで頻出する重要語について解説がある。併せて、決算関連の知識を習得するのに適した参考書の紹介もあった。

決算説明会の音声を教材に初見で逐次通訳に挑む

この日の教材は、大手自動車メーカーの決算説明会から取り上げられた。まず、ウェブサイトにある公式の決算説明会資料(和文)が配られ、「連結決算要約」を例に資料の見方の説明がある。決算関連文書の場合、数の単位が億や兆に及ぶため、桁を間違わないようにあらかじめ準備をしておくことが大切だという。ここで和田先生から、「日英の時は、million,billion のユニット毎に数に線を引くとわかりやすい」と具体的なアドバイスがある。併せて、『営業利益』、『営業外損益』、『当期純利益』などの専門用語にはどの訳語を使うのが適切かの解説もあった。「『連結決算要約』に出てくる用語は、英語も日本語も即座に言えるように」とのまとめで講義パートが終了。授業も後半に差し掛かり、初見教材を使って逐次通訳に挑戦することになった。

この演習は、スピーカーから流れる決算説明会の音声を聴き、指名された受講生が10秒から20秒程度の長さのスピーチを逐次通訳するというもの。その後、和田先生から一人ひとりに対し、評価やアドバイスがある。

「決算発表の時は、必ず比較対象があるので、『前年同期の売上○円から○%増収の○円になりました』というふうに、自分の中で表現のパターンを決めておくとよい」「同時通訳に比べ、逐次通訳は、聞き手にわかりやすいように編集することができる。必ずしもスピーカーが発言したとおりの順番でなくてもかまわない」「デリバリーの水準を上げるには、自信のない話し方を改善する必要がある。たとえ60%しかインプットできていなくても、その60%を聞き手に完璧に伝えられるように、ハキハキと明確なデリバリーを心がけること」など、IRの内容に関することからパフォーマンスの改善法に至るまで、きめ細かい指導がなされた。

 次回、「IR」2回目の授業は、今回の講義を踏まえた本格的な逐次通訳演習になる。受講生には、「IR」というコンテンツをしっかり理解した上で、自分の言葉で逐次通訳することが求められている。

講師コメント

英語通訳者養成コース 「プロ通訳養成科2」 和田泰治先生 わだ・やすじ 1983年、明治大学文学部卒業。旅行会社、マーケティングリサーチ会社、広告会社勤務を経て、1995年より通訳者として稼働開始。スポーツメーカー、通信システムインテグレーター、保険会社などで社内通訳者を務める。現在はフリーランスの通訳者として活躍中。

英語通訳者養成コース
「プロ通訳養成科2」
和田泰治先生
わだ・やすじ

1983年、明治大学文学部卒業。旅行会社、マーケティングリサーチ会社、広告会社勤務を経て、1995年より通訳者として稼働開始。スポーツメーカー、通信システムインテグレーター、保険会社などで社内通訳者を務める。現在はフリーランスの通訳者として活躍中。

特定分野のボキャブラリーを増やし自分の言葉で語れるようになりましょう
 
「プロ通訳養成科」は、通訳者として現場に出た時に求められるスキルを習得するクラスです。通訳のクオリティを上げるには、ソース言語をターゲット言語に置き換えることからさらに一歩進み、特定のコンテンツに対する理解を深め、そのコンテンツについて英語でも日本語でも自分の言葉で語れるだけのストックボキャブラリーを持つことが必要です。私が担当する授業では、今期は「IR」と「IT」を扱います。通訳業界において、IRおよびITのマーケットは大きいので、新人でも比較的参入しやすい分野です。それぞれ初回の講義で、通訳者が押さえておくべき内容を網羅してお伝えしますので、何をどう学習し、どんな準備をすれば現場で生かせるかを学んでいただきたいと思います。

通訳スクールは職業訓練校ですが、週1回3時間だけの訓練では成果は上がりません。むしろ教室以外の日常生活の中で、何にどう取り組むかが重要です。授業を自分が実践していることの腕試しの場と考え、積み上げてきたことがどれくらいできるのかを確認する気持ちで臨むとよいでしょう。

一方で、スクールをうまく活用すると、通訳者の生活全般をシミュレーションできるというメリットもあります。通学日を稼働日に見立て、現場に出る前の準備をし、本番に臨み、フィードバックをもとに復習をする、というサイクルを体験できれば、かなりの実践的効果が期待できます。また、通訳者の生活を擬似体験することにより、能力以外の部分での向き不向きも判断できるので、スクールで学ぶことの意味は大きいですね。