専門分野別コースでプロフェッショナルを育てる
翻訳者としてのキャリアデビューを徹底支援

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ILC国際語学センターは、東京・大阪で数多くの実務翻訳のプロを輩出してきた伝統校。専門分野に特化した翻訳コースで、基礎から応用までをしっかりと学び、実践に役立つ翻訳スキルを身につけることができる。求人紹介制度や提携翻訳会社のトライアルを受けられるなど、キャリアサポートも万全だ。

訪問クラス 特許翻訳コース「特許翻訳応用」

特許明細書を用いて細かな表現法を指導

特許翻訳コースでは、法律文書特有のパターンをつかみ、訳し方や調査力、支援ツールの使用法などを、さまざまな技術分野の特許明細書を題材に学んでいく。今回見学した応用クラスは、特許翻訳の基本ルールを習得する基礎クラスからステップアップし、英訳・和訳の演習に交互に取り組みながら、全19回の講座でより実践に役立つ力を身につける。

講義の冒頭では、前回の講義で受講生から出た質問について、確認が必要だった点をおさらい。受講生の疑問を残さずに新たな課題の解説に入る。毎回の課題は、一つの特許明細書から部分的に出題し、全体を訳し進めていく。今回は、明細書の本文である実施形態の図面の項目。受講生は事前にメールで訳文を提出しており、中野先生による模範訳例をもとに解説が始まる。冠詞a, theの使い分けでは、「ここではtheだけれど請求項ではaを使います」といった特許翻訳ならではの表現や、受講生が付けたコメントを例に、「原文が誤っていると思われる場合は積極的にコメントを付けた方がいいですね」など、実際の仕事を意識したアドバイスも。受講生から「どちらも“装置”という意味のapparatusとdeviceの違いは何か」と質問されると、「apparatusの中に複数のdeviceがあるイメージ」と説明。技術的な用語のニュアンスをアドバイスができるのも、中野先生の豊富な実務経験があるからだ。受講生は疑問があれば質問し、その都度中野先生が解説しながら進められる。

課題の解説に続き、この日はa, theなどの冠詞が付かない名詞に見られる「無冠詞の用法」について学習。講義では、内容に沿って必要なプリントが配られる。school, ferry のような無冠詞が使われる具体例とともに、訳し方のポイントも紹介。例えば「内容」を表す無冠詞では、「“~内容”という日本語を英訳する際は注意。必ずしも“content”が適しているわけではありません。逆に“changes”だったら“変更”と訳すより“変更内容”と文言を加える方がよい場合もあります」と付け加える。

次に、翻訳で間違えやすい「供給型動詞」の使い方を紹介。fill(充てんする)やimpregnate(含浸させる)を例に、「動詞+A with B(=AにBを~する)」の使い方を学ぶ。illuminateとirradiate(照射する)は、意味は似ているが用法が異なるといった留意点が示された。

技術知識とともに訳し方のコツや落とし穴を学ぶ

続けて、日英翻訳の構文を学習。この日はthat, thoseをはじめとした「関係節」を中心に、10パターンの構文例を紹介。原文と訳例を照らし合わせながら解説していく。短い構文であっても、特許翻訳に関わる機械や化学などの内容であるため、専門的な用語も多い。コンピュータのキャッシュやプリフェッチといった聞き慣れない技術用語は、仕組みの図を描き具体的に解説していく。

例えば電流の周波数については、家庭の電流を例に出すなど、身近な物に当てはめて受講生がイメージしやすいよう丁寧に説明。また、冷却機に関する構文では、中野先生が「気体を冷やす原理は?」と投げかけた上で断熱膨張による冷却の仕組みを説明するなど、理科の授業のような内容が繰り広げられる。同時に「関係代名詞を使うときは、一度もとの順序の文に直してみるとよい」など、英訳におけるポイントも説明。

最後に、翻訳のエクササイズとして機械・電子に関する短文が5問出題され、受講生はその場で英訳。その後、先生が模範訳例を示し解説していく。英訳する上で大切なことは、「日本語の原文にとらわれないこと」だと中野先生は話す。例えば「原文の“できる”にとらわれてcanを使うとニュアンス的に弱くなることがある」といったように、日本語から英語に訳す際の落とし穴を知ることが大事だという。

エクササイズの解説を終えたところで140分の講義は終了。中野先生が取り上げる例文は「特許翻訳で大事な要素が入っている」という言葉通り、訳文を考えるときの実践的なヒントが詰まっている。技術的な知識や特許翻訳のコツを重点的に学べる本コースを通じて、翻訳者として継続的に活躍できるスキルが磨かれるに違いない。

講師コメント

特許翻訳(応用) 実務翻訳Ⅲ(英訳基礎) 中野秀治先生 なかの・しゅうじ  大阪大学工学部通信工学科卒業。オムロン㈱でソフトウェア開発、技術企画・調査、マーケティング、技術英語研修講師、英文カタログ・マニュアル制作などを担当。現在はフリーランスで主に特許翻訳に携わる。

特許翻訳(応用)
実務翻訳Ⅲ(英訳基礎)
中野秀治先生
なかの・しゅうじ

大阪大学工学部通信工学科卒業。オムロン㈱でソフトウェア開発、技術企画・調査、マーケティング、技術英語研修講師、英文カタログ・マニュアル制作などを担当。現在はフリーランスで主に特許翻訳に携わる。

特許翻訳のおもしろさを知り「稼げる英文」を目指しましょう

このクラスの目標は、まずはトライアル合格ですが、さらには継続して仕事が得られる実力の習得を目指しています。簡単な翻訳をいくら練習しても力はつきません。私自身が経験した「難しい翻訳」をなるべく教材として取り入れています。元の日本語が透けて見えるような「しょう油味の英文」から脱却し、「稼げる英文」を目指してほしいですね。

特許明細書の日本語は一文が長く、構造も複雑。また、最近は弁理士ではなく発明者自身が明細書を書くことが増え、作成者が慣れておらず、原文の解釈が難しいこともあります。それを、原文のほかの部分や図面、周辺知識、ツールを駆使して正しく読みやすい訳文に磨き上げていくのは、ジグソーパズルを完成させるようなおもしろさがあります。

近未来技術の断片を知ることができるのも特許翻訳の魅力。数年前に明細書を訳した車の空調装置が、最近知人の車に付いていたこともあります。技術内容に興味を持ち、訳文を磨き上げる労を惜しまない人、自分の訳文を客観的に評価できる人が特許翻訳に向いていると思います。

講師の実務経験による知識やノウハウを短期間で習得でき、独学よりも早くプロレベルの実力がつくのがスクールの良さですし、ILCは講師もスタッフも面倒見が良いと感じます。質問はもちろん大歓迎です。

AI技術の進化により業界も変わりそうですが、文脈やマーケット、権利取得を考慮した翻訳は、まだまだ人間の領域だと思います。AIを脅威でなくチャンスと捉えるくらいの意気込みで勉強に取り組んでください。