通訳・翻訳部 マネージャー
中村裕美子さん
1979年設立のケイワイトレードは、1991年より通訳・翻訳エージェント、会議運営サポートの事業を開始。現在、売上は通訳関連が7割を占め、登録通訳者は2000人を超える。当初はIT 関連の通訳に特化しており、通訳業界内では「ITのケイワイトレード」として確固たる地位を築いてきた。その後、取扱分野を広げ、近年はメディカル分野にも注力している。
「数年前より医学・製薬分野の専門チームを立ち上げました。現在はIT、金融・IR、医学・製薬の3部門を中心にチームを組み、各業界の知識を深めた担当者が営業から通訳者のアサインまで一貫して行っています」と医学・製薬分野担当の中村裕美子さんは話す。同社では社員全員が「通訳コーディネーター兼営業」であり、クライアントのニーズと通訳者のスキルの両方を熟知した上で、細かい要望にマッチした適切な人材をアサインできるのが強みである。
メディカル関連のクライアントは、IT系のつながりで医療機器メーカーが多いが、製薬会社やCROも増えてきている。
「通訳案件をすべてお任せいただけている企業があります。例えば医療機器の会社では、社内会議通訳から、関連する学会のセッションでの通訳やPMDAとの相談やドクター訪問時の通訳まで、幅広く対応しています」
また同社ではできる限り担当者が通訳現場に立ち会うことを徹底しており、医師や専門家が集まる場などでもコーディネーターが通訳者とクライアントのコミュニケーションをサポートし、質の高い通訳サービスを提供している。
メディカル関連の通訳は専門性が高く、できる人材が限られるとされるが、製薬専門通訳者の登録が年々増加している。
「製薬企業の社内通訳を経てフリーランスになった人などが活躍中です。メディカル通訳といっても幅は広く、例えば人事や広報など他業種の経験が生かせる部門の社内通訳として製薬業界に携わり、少しずつ医薬品開発の知識をつけていく人もいます」
とはいえ、医学会やFDA査察などの難易度の高い案件はベテラン通訳者が中心で、若手にはなかなかチャンスがこない。しかし新型コロナウイルスの影響で通訳現場の環境は一変し、2020年春以降はリモート通訳案件が急増している。
「当社ではコロナ禍以前からリモート(遠隔)通訳のトレーニングをしており、社員も運用に慣れています。メディカルでもリモート通訳は増えています。ITリテラシーが高く、リモート対応可能な通訳者にとっては、ある意味ビジネスチャンスかもしれません」
人命にかかわる製薬や医療機器業界の通訳ニーズは「増えることはあっても減ることはない」と中村さん。メディカル分野の通訳者は常時募集中で、特に治験に関連した通訳業務の経験者を求めている。リモート通訳にも強い同社でなら、今後も通訳者が力を発揮できる場が多数あるはずだ。