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時代を超えて常に求められる通訳者を養成
サイマル・グループの総合力で受講生のキャリアアップをサポート
通訳・翻訳会社であるサイマル・インターナショナルを母体とした通訳・翻訳者養成校。第一線で活躍する通訳者が指導に当たり、1980年の創立以来、数多くのプロを輩出してきた。キャリアアップへのサポート体制も充実しており、受講生・修了生に仕事の機会を提供している。
訪問クラス 通訳Ⅰ

逐次通訳技術だけでなく 英語運用力と表現力も学べる
サイマル・アカデミーの「通訳Ⅰ」コースは、通訳訓練を通して基礎的な逐次通訳技術を学ぶと同時に、英語運用力および表現力の底上げを行う講座。同校が開発したオリジナル教材を使用し、シャドーイング、要約、リテンション・リプロダクション、ノート・テイキングなどの通訳基礎演習、また時事表現や国際情勢に関する母語の確認を行う。受講生は前段階の「通訳準備」で英語力を強化しており、TOEIC 930点以上の高い英語力を持つ人がほとんどだ。最大12名の少人数制で、週2回クラスは2時間×36回、週1回クラスは4時間×18回行われる。
現在、「通訳Ⅰ」はオンラインで授業が行われている。講師は環境、建設、医療などさまざまな分野でプロの通訳者として活躍している中島明子先生。授業は数字の復習からスタートした。1988、100万など単位がない数字だけでなく、1万立方フィート、時速30万キロ、海抜3776メートル、四半期ごとなど、さまざまな単位がついた数字を中島先生が日本語で発し、当てられた生徒が英訳していく。
数字に関しては、グループワークの手法も取られていた。まずは受講生各自が「自分が苦手な数字」を10個メモ。その後、先生が分けたグループ内で受講生が5問ずつ問題を出し合う。中にはとっさに答えが出ないこともあり、中島先生から「企業の通訳をしていると、1億以上の大きい数字が頻繁に出てきます。数字が苦手な人は、自分で録音をしたものを聞いて訳出する練習をするとよいですよ。私は洗濯物をしながらやっていました。何かほかのことをしながら訳出する練習をすると、とっさの時にもすんなり数字が出てくるようになります。テストにも必ず出るので、数字は毎日練習するようにしてください」とアドバイスがあった。
メイン・メッセージを伝える大切さと聞こえやすさのコツを伝授
数字の復習後は、日英逐次教材に取り組む。教材のタイトルは「タイ工場長とのテレビ会議」。ある工場における水資源の有効利用対策など環境問題への取り組みを扱っており、英訳にあたっては環境問題に関する英単語の知識が必要だ。「methaneやwaste air mission、emission、carbon offset、zero policy も環境問題がトピックの通訳ではよく出てくる単語です。時間があるときに、環境問題に関する英語の記事を1本読んでおくとよいでしょう」と中島先生。
印象的だったのは、受講生が英訳した後に「言い換えると?」「別の言葉では?」という中島先生からの問いが頻発していたこと。たとえば「重要課題」を英訳する場合、critical issueのほか、important problem、important topicsという言い方もできる。「issue という単語の意味はやや重いので、状況に合わせてtopics などに単語を置き換えることも必要です」とのことだった。
また「通訳Ⅰ」の段階では、枝葉にあたる情報は落としても、発話者のメイン・メッセージを伝えることがもっとも大切。「聞こえたことをすべて訳そうとすると、ごちゃごちゃした文章になりがちです。この内容を要約して伝えるように言われたらどうするかを考えて、まずはいちばん大事なメッセージから訳しましょう」と中島先生。迷った時は、自分が英語で訳出したものをもう一度日本語に訳し直してみると、元の文章の意味にぴたりとはまっているかどうかが確認できるそうだ。
続いては英語要約教材を使用。題材は、日本と中国の中学校で、ALT(Assistant Language Teacher)として働いた経験を持つイギリス人男性のエッセイだ。中島先生が1~2フレーズごとに区切り、受講生が日本語に訳していく。「長い文章の場合はあえてどこかで切って、いくつかの文章に分けて訳すとよいですよ」「目視沈黙、と訳すと分からない人もいるかもしれませんね。ここはだんまり、くらいでいいのではないでしょうか」など受講生の訳に対し次々と中島先生から指摘があった。また、「英語の主語『I』を日本語でいちいち『私』と訳さないようにすると自然に聞こえます」「みなさん、最初に『えー』という方が多いのですが、聞きにくくなります。大変だと思いますが、がんばって『えー』と言わないよう練習しましょう」など、数々の現場を踏んでいるプロならではの「聞き取りやすさ」に関する実用的なアドバイスあり、密度の濃い2時間の授業が終了。受講生たちは充実の表情と笑顔でオンライン授業から退出していった。
講師のコメント
綿密に練りこまれたオリジナル教材を使用 課題をきちんとこなすのが通訳者への近道
通訳者になりたいなら、養成講座を受講するのがいちばんの近道です。当講座は、英語の素養は充分にあるけれど、通訳訓練を受けたことがない人が対象です。この段階では、聞いた文章をすべて訳出しようと細かい点にとらわれるより、話者のメイン・メッセージを伝えられるようになることを目標としています。
講座で使用するサイマル・アカデミーのオリジナル教材は非常によく練りこまれていますし、先生方も経験豊富なプロの通訳者ばかりです。勉強中はあれも、これもといろいろと手を出してしまいたくなるものですが、課題をきちんとこなし、授業で教えられたことをしっかりと消化していくことがいちばんだと思います。機会があればいろいろな先生の講座を受けて、各先生のよいところを吸収してください。
通訳者はさまざまなトピックスを扱いますので、日頃から世間で起こることにアンテナを張っておくとことをおすすめします。たとえば電車の中吊り広告を片っ端から訳してみて、分からないことがあれば調べてみるというのも良い学習方法です。
授業では、受講生の訳文を聞いて「すばらしい、こんな表現方法があったのか」と、教えているこちらが勉強になることもよくあります。
さまざまな業界の知識を得られ、いろいろな人に出会える通訳の仕事はとてもやりがいのあるもの。人生は一度しかありません。通訳に興味があるならば、まずは扉をたたいてみてはいかがでしょうか? 最初からレギュラーの授業に申し込むのはハードルが高いという方は、体験レッスンや短期プログラムから始めてみてください。
みなさんにお会いできるのを楽しみにしています。

通訳Ⅰコースの講師。幼少時代を豪州と西独で過ごし、大学卒業後は秘書として銀行に勤務。サイマル・アカデミー通訳者養成コース同時通訳科修了後、2010年よりフリーランス通訳者に。環境、建設、医療、メーカー、ハイブランドなどさまざまな分野で会議、プレス、商談、イベント、マーケティング・リサーチなどの同時・逐次通訳業務を行う。通訳の傍ら現在はサイマル・アカデミー講師も務める。プライベートでは二児の母。趣味は旅行とヨガ。
ここもチェック!
サイマル・グループの総合力を生かしレベルやキャリアプランに合った仕事を紹介
「通訳者養成コース」在籍時から、キャリアカウンセリングの機会を提供。コースを優秀な成績で修了すればフリーランス通訳者、またはサイマル専属通訳者して登録することが可能となる。また社内通訳者としての就業を希望する受講生に対しては、同グループの人材派遣・人材紹介会社との連携により、在籍レベルに応じて様々な仕事を紹介。在籍中から修了後まで、通訳者としてのキャリアアップをグループを挙げてサポートしている。
講座紹介
● 通訳準備
通訳訓練に必要な英語力の養成と日本語表現力向上にフォーカス。英語ネイティブ講師と日本人通訳者のチームティーチングによる相乗効果で、効率的に言語スキルを向上させる。
● 通訳Ⅰ〜Ⅳ
さまざまな通訳訓練を実施し、通訳者としての基礎力を養成。さらに、ビジネス通訳者として必要な知識と技術を身につけ、信頼性の高い逐次通訳技術を習得する。
● 会議通訳Ⅰ・Ⅱ
逐次通訳技術の土台の上に、同時通訳のスキルを身につける。同時通訳技術に必要な瞬発的解析力と表現力を身につけ、会議通訳に不可欠な知識・教養の強化も行う。
英語以外の言語の通訳コース
● 中国語通訳者養成コース
基礎科、本科Ⅰ・Ⅱ、同時通訳科
レギュラーコース…4月/10月開講
短期プログラム…3月/8月開講
※情勢を鑑み、すべてオンラインにて講座を行っている(2023年1月現在)。
インターネット講座
・ 基礎からはじめる通訳トレーニング
・ 通訳者が教える英語力アップ講座 中級/上級
・ 通訳のためのノート・テイキング
・ IT通訳体験セミナー
・ 医薬通訳セミナー
・ IR通訳セミナー ほか
問い合わせ先
サイマル・アカデミー
東京校
〒104-0061 東京都中央区銀座7-16-12 G-7ビルディング4F
TEL: 03-6226-3120
FAX: 03-6226-3331