第10回(最終回) Googleカレンダー、Evernote、
クローズドキャプション

翻訳LifeHack2017.11.16

クローズドキャプション

クローズドキャプションとは、特に聴力障害者向けにテレビ放送で音声・せりふなどを字幕化したものです。米国では法律で表示が義務化されているため、HuluやNetflixなど米国資本の動画配信サービスなら簡単に表示できます(ただしAmazonプライムにはこの機能はありません)。

私はiPad ProでHuluを視聴していますが、クローズドキャプションは右上の設定ボタンで下のウィンドウを出し、字幕で「英語」を選択します。
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日本語字幕と異なり、英語字幕では話されていることがすべて表示されます。
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辞書を引きたいときは、動画を止め、iPadのSlide Over機能で辞書を表示します。
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毎日ネイティブの英語を聞いてリズムをつかんでおくことは翻訳にとっても大事です。また例えば“fine”や“actually”などの簡単な単語にもさまざまなニュアンスがあり、それが場面と結びついて頭に残るので、辞書にはない経験値が積み上げられます。また私は気に入ったシーンの会話を自分のトレーニングとして訳しています。仕事の翻訳とは違い、俳優の表情や声のトーン、心情を表す音楽などの助けあるので、思い切って原文から離れて自由に訳す練習ができます。字数制限のある字幕ではなくあくまでも会話文として、いろいろなバリエーションを考えて幾通りにも訳します。その場合は動画だけでは不便なので、ネットでスクリプトを探します。「shooting scripts + ドラマ/映画の原題」で検索すると、たとえばこちらなどがヒットします。さらに、訳文を見て元の英語に戻す練習もします。
英語学習のために、今はさまざまなリソースがあります。カセットテープでヒアリングの練習をしていたころのことを思うと夢のような環境です。動画配信サービスをご利用の方はぜひクローズドキャプションもお試しください。

その他のツール

最後に紹介しきれなかった便利なツールをいくつか書いておきます。

1) WildLight (https://wildlight.blog/
辞書を作成しておけば、マクロの知識がなくても数字チェックやスペルチェックなど、ヒューマンエラーがチェックできるツールです(無償)。年に何回か東京ほんま会で有料のセミナーも開催されています。

2) 色deチェック(http://www.taiyaki-align.com/
マクロを使ったQA(品質管理)ツールです(有料)。体験版やオンラインの無料説明会があります。

3)一太郎(http://wonderful-translife.com/?p=682
Just Right! の簡易版的な校正機能が付いていますがはるかに安価です。また読み上げソフトや辞書引き機能も付けられます。

4)iOS11でより便利になったiPad
一例として、複数のオンラインストレージを同じユーザーインターフェースで管理できるようになりました。開いたページをシェアボタンからWordで開き、Apple Pencil で書き込みもできます。
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最後に

10回の連載の共通項は「検索を可能にする」ということと、「ヒューマンエラーを少なくする」ことです。翻訳の世界では、今後ますますAIによる機械翻訳がもてはやされていくことでしょう。私たち翻訳者は機械がミスしないところは特に間違いを防止しなければなりません。そして人間にしかできない翻訳を目指し、省力化で浮いた時間で勉強を重ねていく必要があります。

この10か月ほどの間、友人知人だけでなく知らない方からも「読んでいます」、「とても役に立ちます」と声をかけていただき、望外の幸せです。できるだけわかりやすく、読んだ方が使いこなせるように、を心がけ、毎回原稿を仕上げるまでに3倍ぐらいの量の文章を書いては削りしていましたので、努力が報われました。

第1回から1年もたっていませんが、機能が付け加わったり新しいツールがでてきたり、ツールの世界も日進月歩です。これからもいろいろ試して取り入れていきたいですし、こちらの連載に力を入れて放置しがちだった自分のブログでフォーローアップも考えています。またいつかどこかでお目にかかりましょう。ありがとうございました。

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