第7回 PDFとアプリを駆使してタブレットを資料庫に

翻訳LifeHack2017.08.07

PDFは閲覧にデバイスを選ばないデータフォーマットです。PDF作成ソフトはいろいろ市販されていますが、私は12年前にフリーランスになって以来、Adobe Acrobatを「使い倒して」います。ご存じのようにMSWordやPowerPointから作成したPDFにはテキスト情報が残されますので検索や読み上げに使用しています。セミナー資料等はスキャナでPDF化し、ペーパーレス化を図っています。スキャンPDFはAdobe Acrobatでテキスト認識できるので、英語はもちろん欧州言語や日本語も以前よりは精度の高いOCRが可能です。また、フォーマットの違うデータも、PDFにすれば結合して1つのデータにまとめられます。
PDF作成ソフトは多数ありますので、お好みのものをお使いになってもPDF自体に差はないと思います。

今回はさまざまな資料をPDFというフォーマットに統一し、用途に応じてアプリを使い分け、タブレットを持ち運べる書庫にする方法をご紹介します。
(本コラムで使用するタブレットはiPad Pro(9.7インチ)です)。

セミナー資料はEvernoteに

勉強会やセミナーに参加すると、提出課題の添削や資料を紙でもらうことが多いですが、データで受け取ることもあります。それに加えて自分で取ったノートもあります。きちんとまとめてファイリングする時間が取れないこともあり、またせっかくまとめても目当ての資料が見つからないこともままあります。そこで私はすべてをPDFデータにしてEvernoteに入れています(Evernoteについては次回以降にご紹介しますが、今回は詳しく触れないので2年前に書いたブログをご参照ください)。
まず、紙資料はスキャナでPDFにします。その時手書きのノート(ルーズリーフやミシン目つきノートを使用)も一緒にスキャンしてしまいます(スキャナは富士通のScanSnapを使用。2代目です)。セミナー名と日付でファイル名を付け、Evernoteにノートブック「seminar」を作って入れています。
(著作権の問題があるため、スクリーンショットは私が作成したセミナーの資料です)
01_Evernote

Evernoteは画像も自動でOCRしてくれるので、(もちろん完全ではありませんが)スキャンPDFでも全文検索が可能です(ただしOCRや検索がどの程度正確かは不明)。

PowerPointとWord、ExcelなどをPDFにしたファイルと、ノートをスキャンしたPDFとを合体してひとまとめにするのも、Adobe Acrobatならドラッグ&ドロップでとても簡単です。
02_ファイルを結合

Apple Pencil を持っているので、紙のノートの代わりにノートアプリやEvernoteを使ってセミナーのノートをiPadで取ってみたのですが、私の場合は紙のノートの方がはるかに使いやすかったため、この方法に落ち着きました。

読み物はKindleに

仕事で必要な論文や技術文書など、しっかり読む必要のあるものはPDFにしてKindleで読んでいます(Kindle自体はHTMLやTXT、DOCXなどさまざまなデータに対応)。データをKindleに入れるにはAmazonから割り当てられたメールで送ります。反映されるまで半日~1日かかります(Kindleパーソナル・ドキュメントサービス)
メニューで「ドキュメント」選ぶと、自分で入れた文書だけが表示されます。
03_Kindle

また通訳翻訳WEBに連載中の人気コラム「翻訳とは嘔吐である」のような自習できる教材も、PDFにしてKindleに入れています。WEBページをPDF化するのは本コラム第4回でもご紹介したChromeの拡張機能(Adobe Acrobat)を使います。Adobeアイコンをクリックすると次のようなプルダウンメニューが表示されます。
04_Acrobat変換

毎月1ファイル作成して結合するのではなく、赤い楕円で囲んだ「既存のPDFに追加」で1つのファイルにページを足すことができます。ただしPDFファイルは閉じておく必要があります。

05_WebPage

WEBページをPDF化すると、白紙ページなど不要なページができるので、Adobe Acrobatのツール「ページを整理」で簡単に不要ページが削除できます。
Kindleで注意が必要なのはファイルサイズです。制限がある(50MB以下)ためサイズが大きいと分割が必要です。

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