
第3回 ジャパンナレッジー有料という選択
日本語コンテンツ
これがあるからジャパンナレッジに加入したという翻訳者も多いのが小学館「日本国語大辞典 第2版」。総項目数50万、用例数100万、全13巻の完全デジタル版です(アプリなどの精選版のもととなっている辞典です)。英語のOED、ドイツ語ならグリムの辞書に相当する最大の国語辞典。言葉の成り立ち、意味や用法の変遷、言葉の歴史などの語誌欄、使用地域を表示した方言項目、さまざまな説が一覧できる語源説欄などが用意され、言葉の理解を助けてくれます。
見出し・全文検索だけでなく、詳細検索で方言・語誌・語源説など範囲を限定して検索できるほか、項目種別や品詞、ジャンルなどで絞り込んで検索することも可能です。
日本国語大辞典は2002年に完結しています。それ以降の現代語を補う大型国語辞典として、同じく小学館の「デジタル大辞泉 第2版■」が入っています。年1回の定期更新が行われているほか、類語、下接句、下接語へのリンク、「数え方の辞典」との連携など、デジタル版ならではの工夫が凝らされています(この機能はコトバンクにない)。
小学館「数え方の辞典」の書籍版が出たときは衝撃でした。仕事で出てくる「タービン」や「変圧器」なんて、普段数えたりしないので大助かりでした。デジタル版では全文検索ができるのでさらに知識が広がります。例えば「彫刻」と引くと「彫像」「点」(助数詞・単位)、美術品、モジュールなどがヒットし、周辺情報が一目で確認できます。
そのほか平凡社「字通」、小学館「全文全訳国語辞典」、小学館「日本方言辞典」が収録されています。
英語・ヨーロッパ言語・東アジア言語コンテンツ
英語大辞典は以前から小学館「ランダムハウス英和大辞典」が使用できましたが、2017年3月からは同じく小学館の「独和大辞典★」と「ロベール仏和大辞典★」が利用できるようになりました。独和もロベールも、これまでデジタル版といえばアプリと電子辞書だけでした。ネット辞書で引けるなんて、ドイツ語・フランス語の翻訳者にとってはまさに快挙。画期的なことなのです。全文検索ができ、用例が多く、凡例なども簡単に参照できますので、語の意味について理解が深まります。凡例の見方は「語源が面白い!!三大外国語大辞典」が参考になります。
その他英語辞書は小学館のプログレッシブ英和・和英、コウビルド英英和、CAMBRIDGE英英が、ヨーロッパ言語はポケットプログレッシブシリーズで独和・和独、仏和・和仏、西和・和西、伊和・和伊が、東アジア言語は同じくポケプロの中日・日中、韓日・日韓辞典が利用できます。また、研究社の「羅和辞典★」(和羅辞書として日本語から検索可)も収録されています。
このような英語以外のデジタル辞書はとても貴重だと思います。収録言語が増えることを期待しています。
専門辞書
研究社の「理化学英和辞典★」と「医学英和辞典 第2版★」、小学館「プログレビジネス辞典★」、森北出版「デジタル化学辞典第2版」、朝倉書店「法則の辞典」が収録されています。専門分野でなければ、医薬・理化学系は十分ではないでしょうか。機械系がないのが残念だなと思っていたら、3月15日から小学館「SPED理工系英和辞典★」が使用できるようになりました。これは同社の「プロフェッショナル英和辞典」シリーズ3冊のうち、『EOS(生命科学編)』『TERRA(物質・工学編)』の2冊分のデータを統合して、書籍収録の一般語を省き、理系分野に特化させたWeb特別版とのことです。まだまだいろいろコンテンツが増えていくようで、楽しみです。
人名・文化・宗教・歴史コンテンツ
特に出版翻訳者やライター兼業の方には役にたちそうなコンテンツが満載です。講談社「日本人名大辞典■」、吉川弘文館「日本史年表」、集英社「世界文学大事典★」、平凡社「日本架空伝承人名辞典★」など、調べ物が格段に楽になると思います。
「世界人名大辞典では全文検索が便利」に、使い方がわかりやすく説明されています。
記事・コラム・叢書コンテンツ
知り合いの金融翻訳者からファクトチェックに重宝していると聞いたのが毎日新聞社「週刊エコノミスト」。最近刊行された最大2年分を検索できます。この雑誌は「本棚」(読書コーナー)にも入れられているのでタブレットなどで読むこともできます。
「本棚」ではその他、「東洋文庫」、「新編 日本古典文学全集」、「文庫クセジュ ベストセレクション★」など、Amazonなどの電子書籍ラインナップとは趣の違うアカデミックな文献が楽しめます。もちろん全文検索も可能です。例えばコンテンツにない世界史年表の代わりに、文庫クセジュの『年表世界史』が検索できます。
書き切れなかったコンテンツもたくさんありますので、ぜひ「ジャパンナレッジ・コンテンツ一覧」でご確認ください。