第37回 電子書籍のいいところ

★訳文記載について
・訳文は応募順に記載しています。
・赤字…最優秀訳文、ピンク字…敢闘賞受賞訳文です。

1.
セベックは彼をまじまじと見た。「なあ俺はタイムマシンでも通り抜けちまったのか?この十年かそこいらおねんねしてたっていうのかよ?」

(まじまじはいくつか意味がありますが、見る場合には「視線をそらさずに見つめるさま。」を意味します。ですからglareのニュアンスはちょっと出ないですね。あと誤訳ではないのですが、少し口調がぞんざいすぎるような気がします。システム・コンサルタントとの会話ですし。
<余談>口調は結構大切なので、たぶん刑事らしさを出したかったのでしょうが、会話の相手も同時に意識すると良いですよ。)

2.
セベックはロスを睨み付けた。「俺がわけのわからんタイムマシンに乗ってきたとでも言いたいのか?それともここ10年かそこら眠りこけていたとでも?」

(悪くないです。やや言葉を足しすぎのきらいはありますが、勢いがあっていいですね。あと文芸は縦書き前提なので、漢数字を使う場合が多いです。
<余談>そういってもらえるとうれしいです。がんばってね。)

3.
セベックはロスをにらみつけた。「オレはとんでもないタイムマシーンから出てきたのか?ここ20年ぐらい眠りこけてたとか?」

(「とんでもない」はちょっと文脈に合わない感じがします。実際出てきたわけではないですし。ここ十年ですね。)

4.
セベックは、ロスを睨みつけた。「俺はとんでもないタイムマシーンを通ってきたのかね。それとも、この10年間だか、寝入っていたんだろうか?」

(「とんでもない」はどうも文章の流れに合わない気がします。実際に乗ってきたわけではないですから。寝入るには「眠りにつく」の意味もありますから、「寝入ったまま」とか。ただ勢いがちょっと後半なくなっているので、「この十年ほども寝入っていたままだったとでも」みたいにするといいかな。
<余談>医学系はバイトでやるものではないです(^-^; やっぱり専門性の高いものをそれだけの水準に訳すにはきちんと勉強しないと無理。僕も医薬が絡む仕事を受けることはありますが(例、会社の年次報告書など)、専門的なものはお断りしています。だからできなくて当たり前。時には断る勇気も必要なんですよ。自分の専門分野で仕事するのがベターです。(なければ作りましょう。)

5.
セベックはキッと睨みつけた。「俺はタイムマシンとやらに乗ってしまったのか?それとも、ここ10年くらいずっと眠ってたのか?」

(「キッと」はなくてもいいかなあ。意味はちゃんと訳されているんですが、色気にちょっと欠けるかな。「とやら」とかが入るとリズムが崩れます。実際に乗ったわけではないので。「のか?」が二度続くのもちょっと全体が弱くなる感じ。もう一工夫。
<余談>はい、どうぞよろしく。)

6.
セベックはロスを睨みつけた。「俺はいまいましいタイムマシンに乗り込んでしまっていたと?この10年か何かは眠り込んでいたというのか?」

(「乗り込んでしまっていた」はちょっとくどい感じ。実際に乗っているわけではないですから。あと「か何か」は確かに辞書的な意味ではそうなんですが、もう「ここ十年も」の「も」程度でいいんですよ。
<余談>がんばってくださいね。)

7.
セベックは、ロスをにらみつけた。「私がタイムマシンなんて下らんもんで運ばれてきた、ってことですかね?それともこの十年、私は眠っていたとか?」

(意味は合っているんですけど、にらみつけたとすると、やっぱり怒っているわけですよね。そうするともっと勢いがあると思うんです。話としてSFではないので、要は自分が時代遅れというか、ついて行けてないように受け取っているわけで、そのあたりの感情をもっと活かせるといいですね。「私がタイムマシンにでも乗ってきたとでも、それとも十年ほど寝たままでいたとでも?」みたいな。
<余談>選挙前なので、何ですが、どうも静岡とか京都とかの民主県連は野党気分が抜けないみたいですね。事実上の分裂選挙かな。)

8.
セベックはロスをにらみつけた。「私はタイムマシーンとやらに足を踏み入れたのか?それともこの10年間眠っていたとか?」

(「とやらに」が少しリズムを悪くしているかなあ。意味は合っているんですが、もう少し勢いが出てくると良いと思います。)

9.
セベックはロスをにらみつけた。「俺は、訳の分からないタイムマシンにでも入り込んだのか?そしてここ10年そこら眠っていたっていうのか?」

(「訳の分からないタイムマシン」というのがちょっとピンとこないかな。あと「そして」だとタイムマシンに乗って、さらに10年寝てたと読めるので、もう少しつなぎに工夫を。
<余談>はいはい、間に合ったようです。辛抱強くおつきあいください。)

10.
セベックはじろりとロスの方を見た。「俺はタイムマシーンに乗っちまったのか?10年くらいちょっと居眠りでもしてたのかもな」

(前半はいい感じなんですね。ただタイムマシンの話と居眠りの話がうまくつながっていません。実際音読してみてください。台詞と考えるととても言いにくいですよ。
<余談>メッセージを拝見すると、ちょっと考えすぎかな、と。というか、考えたことを訳文に活かさないともったいないと思いました。)

11.
セベックはロスを睨みつけた。「タイムマシンで俺は未来に来ちまったのか?それとも、ここ十年かそこら眠りこけてたのか?」

(「俺は」がちょっと邪魔かなあ。あと、前後の2文の流れがちょっと悪くなっています。原文にはfxxkingとかor somethingとか入っているんですが、こういうのを訳出しようとすると文章のリズムが悪くなりますね。
<余談>旅は日常に埋没している自分を取り戻すのに良いですね。いまはちょっと忙しくてなかなか旅行にも行けないのですが、運動不足解消に散歩には出るので、その時間が気分転換です。応募してくださる方は増える一方でありがたいことです。おかげでスケジュール通りになかなか行かないんですけど(^-^;)

12.
セベックはロスをにらみつけた。「タイムマシンにでも乗っちまったのか、オレは? 十年かそこら居眠りしてたとか?」

(オレは俺の方がいいかな。ただ「乗っちまったのか」のあとに持ってきたのはなかなか良いアイデア。ただ前後のつながりが欲しかったかな。これだと「それとも」があった方がいいかも。
<余談>課題文の決め方についてのご質問ですが、読んでいるときに、ああ、これはいいなあ、使えるなあという文章にぶつかるんです。それを課題文にしています。基本的には文章自体が難しいとかよりも、工夫とかアイデアが必要になるのを選んでいます。)

13.
セベック刑事はロスの顔をじっと見た。「私はタイムマシンってやつを通り抜けたのか?それともこの10年かそこらの間、ずっと眠っていたというのか?」

(意味は取れているのですが、まだ訳文に勢いがないですね。glareですから、むっとしているというかかっとしているというか、感情が高ぶっているわけですから、そのあたりが訳文に出てくるといいですね。
<余談>どうもはじめまして。道は決して平坦ではないと思いますが、どうぞがんばってください。)

14.
セベックは目をむいた。「俺はタイムマシンにでも乗っちまったのかな。それとも10年かそこら眠りこけていたのか?」

(雰囲気はなかなか良いのですが、ロスに対して言っているので、上の訳文だと自問しているような印象を受けるかも知れません。その前の台詞を「あんたは知らないかも知れないが」みたいに受け取ったんですね。ですからむしろ台詞をロスに向けるともっと良くなりますよ。
<余談>速読は技術として身につけているわけではないですが、もともと読書好きだったのと、仕事で大量に文書を読まなければいけなかったので鍛えられました。コツというほどのものではないですが、要は予測だと思うんですね。つまり頭の中にいろいろな文章のパターンが入っていれば、それを使って予測しながら読んでいくということだと思います。たとえば「人生五十年」と読めば、そのあとに何が来るか想像ができます。あとはかたまりとして「下天のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり」が目に入ればいいわけです。これをすべてきちんと読もうとすると時間がかかります。そういうことです。)

15.
セベックはロスをにらみつけた。「俺はすげえタイムマシーンに乗り込んだのか?この10数年眠っていたとか?」

(「すげえ」はちょっと崩しすぎだと思います。台詞というのは口語ではあるのですが、厳密には文章になった場合、やっぱり厳密な口語ではないところもあります。問いかけも自問に読めますので、そのあたりももう一工夫を。
<余談>感覚的には、「足を踏み入れて、時空を抜けた」でしょうね。翻訳は難しいですね。特に出版系、それも小説は大変だと思います。ひめぽん(嫁)は児童文学の翻訳者ですが、訳文については僕としょっちゅう戦っています(笑)。原文に忠実であることと、読みやすい、分かりやすいことはそう簡単につながらないですから。上達についてですが、近道はないです。ただスポーツと同じで、練習は裏切りません。読んだ量、訳した量だけ上達するので、とにかく「昨日より少しだけましな今日の自分」となることを続けていくのが一番前向きになる考え方だと思います。)

16.
セベックはロスを睨んで言った。「俺はタイムマシンにでも乗ってここにきたのか?それともこの10年眠ってたとか、そいう言うことか?」

(ああ、これは悪くないです。本当なら敢闘賞です。でも「そいう言うことか?」はあきまへん。「そういうことか?」ですね。「俺がタイムマシンに乗ってここに来たとでも? それともこの十年眠っていた、そういいたいのか?」とか。
<余談>結局、RPGでいうところの経験値を積むと言うことになりますね。あとは知的好奇心を維持すること。一生勉強です。がんばってください。)

17.
セベックは目をみはってロスを見た。「俺はいまいましいタイムマシンか何かを通りぬけちまったのか? それともこの10年かそこら、眠りこけてたんだろうか?」

(*「目をみはる」は、「目を大きくあけてよく見る」の意味なので、glareとはちょっと違うかな。あと、やっぱりロスに向かって話しかけて欲しいんですね。
<余談>結局、訳す時はどちらかというと自分を励ましながら訳して、チェックするときは自分に厳しくというのが求められますから。結局、時間だけは誰にとっても平等です。ですからそれをどれだけ効率的に使うかというだけの話です。僕ももっと本を読んだりする時間が欲しいですが、音楽も聴かなければならないし、仕事もしなければならないし、まあ一日があっという間です。できることをこつこつやるだけですね。)

18.
セベックはロスをにらみつけた。「なんだよ、俺はタイムマシンにでも乗っかっちまったのか? 10年間眠りこけてたのか、さもなきゃ何だってんだ?」

(アイデアは悪くないんですけれども、or somethingをちょっと拡大しすぎかな。さすがにうまくまとめているとは思いますが、少し饒舌になりすぎているかも知れません。
<余談>よろしくお願いします。小説は技術翻訳とはまた別の世界ですね。なかなか輝くような言葉を頭から引っ張り出せなくて苦労します。)

19.
セベックはむっとしてロスをにらんだ。「おいおい、タイムマシンから降りてきたような気気分だな。俺は10年くらい眠ってたのか?」

(「気気分」は「気分」ですね。一応、送信する前に一度見直すといいですよ。これだと何かSF小説を読んでいるような気分になりますが、そうではなく、相手の言葉にむっとしているわけですから、その感じが出るようにしましょう。
<余談>はい、こちらこそよろしくお願いしますね。)

20.
セベックは目を見開いた。「くそ。俺はタイムマシンにでも乗ってたか、この10年寝てたっていうのか。」

(「目を見開く」だと、ちょっとニュアンスが違うんじゃないかな。「目をむいた」の方がいいかな。これだと、自分に対して後悔しているようにも読めてしまいますので、そのあたりを工夫してみてください。
<余談>蒸しますね。僕は板橋区に住んでいるのですが、昨日はゲリラ豪雨でした。「くそ」は無理に使わなくてもいいんじゃないかなあ。長崎は行ったことがありません。一度行ってみたいものです。)

21.
セベックは目を剥いた。「俺はタイムマシンにでも乗っちまったか?でなきゃ、ここ十年ばかり爆睡してたとか、そういうことか?」

(悪くはないんですが、やはり自問している感じがしますね。「俺がタイムマシンに乗ったとでも?」とかかな。爆睡は悪くないと思います。
<余談>日本人だから日本語を使うのは当たり前なんですが、日本語が使えるのと、翻訳ができるのはまた別ものなんですね。意識的な作業ですから。伝わればよいのではなく、自然に受けいれられるような訳文。難しいんですけどね。)

22.
セベックは彼をにらみつけた。「俺はクソッたれのタイムマシンにでも足を突っ込んだのか?ここ10年間か何か、眠ってたとでも言うのか?」

(うーん、ちょっと言葉が汚いかなあ。あと「彼」ってなるべく避けたいんですね。彼、彼女、それからこそあど言葉を削れるだけ削ると日本語がすっきりします。
<余談>先生は勘弁(^-^; はまぞおくんと読んでください。自分も昔はもっとマスコミとか報道を信じていたんですね。実際、情報に対するアクセスが限られていましたから。いまはネットのおかげで、専門家にコンタクトを取ったり、一次情報を確認することが楽になりました。その分だけ、情報の質に注意が必要にもなりましたが、ありがたいことです。)

23.
セベックは、いまいましそうにロスを睨み付けた。「俺は、くだらんタイムマシンで大昔からやってきたとでもいうわけか? ここ十年かそこら眠ってたってのか?」

(「いまいましい」は「悔しく腹立たしい」なので、ここではニュアンスが違うと思います。ただし、「大昔からやってきた」はなかなか良いアイデアですね。全体のバランスが取れれば、敢闘賞だったかも。もうちょっとがんばってね。
<余談>うちはVOIPもSkypeもやってないんですよ。何しろ電話をしないので(^-^; 学生の頃にあったら幸せだったろうなあ。))

24.
セベックは彼をにらみつけて言った。「俺はタイムマシンにでも乗っちまったのか?それともこの十年間眠りこけてたとでも言うのかい?」

(「彼」というのはうまく扱わないといわゆる翻訳調になってしまうんですね。あと「言った」「言う」という風に繰り返しっぽくみえてしまう部分も見られるので、そのあたりに心配りしてみてください。全体のトーンは悪くないです。
<余談>はいこちらこそよろしく。がんばってくださいね。)

25.
セベックは彼をにらみつけた。「くそいまいましいタイムマシンを俺が見逃した?この十年、眠りこけていたってでも?」

(タイムマシンを見逃したのではなく、お前は俺がタイムマシンに乗っちゃったとでもいいたいのか、え? みたいなノリです。「眠りこけていたってでも」は間違いではないんですが、活字で読むとちょっと読みにくいかな。
<余談>おかえりなさい。あいにく「相棒」というか、僕はテレビ・ドラマは見ていないんですね。アメリカのシリーズものとかも見なくなったなあ。)

26.
セベックは彼を睨みつけた。「俺はタイムマシンにでも乗ってしまったのか?それとも10年くらい眠り続けてたっていうのか?」

(意味は取れているんですけど、やっぱりちょっと色気にかけるかなあ。「俺がタイムマシンにでも乗ってしまったと?」くらいだとずっと落ち着きますね。)

27.
セベックは彼を睨んだ。「俺はどえらいタイムマシーンにでも乗っちまったのか?この十年、寝たままかどうにかなってたのか?」

(「どえらい」はちょっと合わないかなあ。にらんだ先にロスがいるので、それがうまく出せるといいですね。「寝たままかどうにか」はちょっと分かりにくいと思います。音読するとよいですよ。
<余談>洋書をたくさん読んでいるというのは財産ですよ。つぎは和書を読むこと、あとぜひ国語辞典をまめに引くようにしてください。がんばってくださいね。)

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