第40回 サイエンス本でちょっと一息

■第39回ウルトラショート翻訳課題の講評

<課題文>
Most of economics can be summarized in four words: “People respond to incentives.” The rest is commentary.

<解説>

Most of economics can be summarized in four words: “People respond to incentives.” The rest is commentary.

原文自体はとてもシンプルです。難しい言葉もありません。でも翻訳するといろいろ考えることがあります。まずeconomicsは経済学、ここではそういう意味です。もともとは「経世済民」、すなわち「世をおさめ、民をすくう」という言葉からきており、幕末から明治にかけて古典経済学が紹介される中で、最終的にeconomy・economicsに経済(学)という言葉があてられるようになりました。most ofは「大部分は」という意味ですが、たとえば「おおむね」とか「概して」と訳すこともできるでしょう。問題は次のfour wordsで、四つの単語とした場合には英語を残さなければ意味が通じなくなります。その場合、原文と英語を残すというのが一つのアプローチ。逆に「次のように」とか「~とまとめることができる。」のように処理する場合には、四つの単語という表現はなくした方がすっきりします。incentiveは、インセンティブとそのままカタカナにするのはもちろん、(意欲)刺激、刺戟、誘因、動機といった訳語、さらには「報償」、「誘因」なども考えられます。経済学の本ということもあり、本来はインセンティブで十分と考えますが、今回の評価は工夫の度合いを見ていきたいと思います。「The rest is commentary.」は、「残りは注釈に過ぎない」くらいの意味で、「The rest is history」のようによく使われる表現です。使い勝手の良い表現ですので覚えておくと良いでしょう。

ページ: 1 2 3 4