第44回 被災者の皆様にお見舞い申し上げます

40.
気が狂いそうなメールと彼女は関係がなかったが、無邪気にオフィスに入ってきたのでつい、にらみの矛先を向けてしまったのだった。

<コメント>「drive s.o. crazy」というのは「気が狂いそうな」というよりも、「むかつく」に近いですね。あと「彼女」はできれば避けたいところ。「無邪気」だったら、「何も考えずに」くらいの方がいいかな。
<余談>こちらこそよろしく。もう少し細かいところまでていねいに訳すといいですね。

41.
激ムカさせてくれたEメールとおばさんは何も関係なかったけど、無邪気にオフィスに入ってきたものだから、手近なターゲットとばかり、睨みつけてしまった。

<コメント>「激ムカ」はアイデアとして嫌いではないんですが、そうすると、全体の口調をそういうことばを使う人にしなければならない。そういう口調なら「無邪気に」とは言わないでしょうね。「お気楽モード」とかなっちゃうんじゃないかな。難しいんですよ、実はそういうアプローチの方が。
<余談>工夫はいいんです。ただ全体の流れというのがあります。良い訳語が1カ所で思いついても、それが全体のトーンをかえって崩すこともあると覚えておいてください。

42.
おばは、私をカッカさせているメールと何ら関係ないのに、のん気に私のオフィスに入ってきたものだから、私の怒りの格好の標的になってしまった。

<コメント>流れはいいと思うんですけど。最後の「私の怒りの格好の」と「の」が3つ続くところは工夫しても良かったでしょうね。

43.
私を苛つかせてきたこのメールと彼女は全く関係なかったが、無邪気にオフィスへと入ってくる様子を見ると、彼女は苛立ちをぶつけるのにうってつけの標的に思えた。

<コメント>「いらつかせる」も開いた方がいいですね。「全く」も同様。IMEが勝手に変換している場合もあるので、気をつけましょう。「思えた」のではなくて、「なっちゃった」んですね。

44.
ネティーおばさんは、このイライラする手紙とは何の関係もないのに、無邪気に私の仕事場へやってきて、手近に怒りをぶつける標的となってしまったのだ。

<コメント>「無邪気」はちょっとニュアンス違うかな。「手近に怒りをぶつける」のは誰なのかがすっと分からないです。流れがちょっと悪いのが残念。もう一工夫。
<余談>はいこちらこそ。

45.
わたしをひどくいらつかせ続けているメールと彼女は無関係だったが、何食わぬ顔でオフィスに入ってきていた彼女に、ついきついまなざしを向けることになった。

<コメント>「何食わぬ顔」は、「何も知らないようなふり。」なんですが、おばさんは「何も知らない」で入ってきたんですね。ただ「つい~ことになった」はとても良いと思いますので、敢闘賞を差し上げます。
<余談>うまくなる王道は残念ながらないんですね。ただ(日本語・英語問わず)読む、訳す、その繰り返しです。僕も20年くらいやってますが、いまだに知らないことばばかり。特に子ども時代に英語を学んだわけではないので、意外に基本的なことばがぽろっと抜けていたりします。

46.
彼女は私を怒らせたそのメールとは全く無関係で、オフィスに何気なく入ってきただけなのだが、私がギロリと視線を向けた先にちょうどよく居合わせたというわけだ。

<コメント>「全く」は開きましょうね。「ギロリ」はちょっと口語的かなあ。「じろっ」とか「じろり」くらいが良いと思います。「だけなのだが~というわけだ」が少し流れが悪いかな。「無関係だったが、オフィスに何げなく入ってきたところで、ちょうど私のじろりとした視線の先に居合わせるはめになった」とか。
<余談>よかったですね。経済書とかは簡単じゃないですが、やりごたえ、読み応えがあっていいですね。来月もよろしく。

47.
ネッティーおばさんは、私をイラつかせていたメールとは何の関係もなかったのだけど、無邪気にオフィスに入ってきたばっかりに、私に睨まれる羽目になってしまったのだ。

<コメント>「無邪気」は「悪気やねじけた気持ちのないこと。また、そのさま。」だから間違いではないんですが、もう一工夫欲しいんですね。これだと「無邪気な態度だったから、睨まれた」という風にも読めてしまいます。
<余談>毎回ご苦労様です。自分の訳文より人の訳文を見た方がどういうところを直せばいいのかという意味では勉強にはなりますね。

48.
おばさんはこのいまいましいメールとは全く関係なかったが、何気なく私のオフィスに入ったら、格好の標的となってにらみつけられたのだ。

<コメント>「全く」は開きましょうね。「入ったら」だとちょっと弱いかな。「入ったばかりに」とか「入ったところで」とか。
<余談>おばさんで良いですよ。彼女はちょっと避けたいです。

49.
はらわたの煮えくり返るメールは、おばにしてみればあずかり知らぬことだったが、うっかり部屋に足を踏み入れたばかりに、とばっちりを食う役回りになってしまったのだった。

<コメント>「はらわたの煮えくりかえる」は、「この」とか付けた方が良かったかも。でも全体的には良くまとまっています。
<余談>案外、変にいじりまわさない方が、ちゃんと意味が分かっているとすんなりとした訳文になるものなんですね。

50.
僕がイライラしていたメールは、ネッティー叔母さんとは何の関係もなかったのだが、間の悪いことに彼女がのこのこと僕のオフィスに入ってきたために、怒りの矛先が向く格好の餌食になってしまったのだ。

<コメント>主人公は女性なので、「僕」はやめた方が良いでしょう。ちょっと調べれば分かるので。それ以外はなかなか良かったので、「私」だったら敢闘賞だったかな。

51.
おばさんはこの頭にくるメールに何の関係もないのだが、のんきに私のオフィスに入ってきたので睨み上げる格好の餌食となってくれた。

<コメント>「頭にくるメールとは」か「頭にくるメールには」かな。「なってくれた」だとちょっとありがたいという感じもあるので、もう一工夫。
<余談>初めまして。最初は誰でもうまくは訳せません。僕も20年やっていて、まだまだできません。一生勉強なのだと思います。千里の道も一歩からということで地道に努力を重ねて下さいね。

52.
ネティはあのイラつくメールとは何の関係もない。だけど、なんにも知らずこの部屋に入ってきたら、睨みつけてくださいと言っているようなものだ。

<コメント>これだと、おばさんが入ってきていないようにも読めますね。「この部屋に入ってきたのだから」かな。アプローチは悪くないんですが、もう少し注意を。
<余談>本を読んでいる途中で投げ出すのは普通ですね。縁とかタイミングもありますから。自分の勉強が足りなくて分からない本もありますし。でも5年したら分かることも。大切なのは、自分に少しだけ負荷を掛けるということです。すべてが分かっているものを読んでも意味ないですから。

53.
彼女は私を怒らせたあのEメールとは何の関係もなかったが、何も知らずに私の仕事場に入ってきたので、睨まれる存在になってしまった。

<コメント>Eメールは縦書きを意識して。「怒らせる」だと少し弱いような気もします。「睨まれる存在」だと、「いつも睨まれている人物」という意味にも取れるので、そのあたりを一工夫。
<余談>はい、こんにちは。

54.
彼女は、私をイライラさせてきたメールとは何の関係もなかったが、何食わぬ顔で私のオフィスに入ってきて嫌がらせをするための手軽なターゲットを探していた。

<コメント>「何食わぬ顔」は、「何も知らないようなふり。」で、ここではおばさんは「何も知らずに」入ってきたので「ふり」ではないんですね。後半は意味が違っていて、私の目線の先にきてしまったんです。
<余談>前後の文脈をきちんと読んでから訳さないと難しいですね。やはり量をこなして、英語らしい表現に慣れるのが大切だと思います。

55.
彼女は、さっきから私を怒り狂わせているメールとは無関係で、何も知らずにオフィスにやってきて、私のとがった視線に早速刺されることになったのだ。

<コメント>原文から離れすぎというきらいはありますが、アイデアは買いたいと思います。「さっそく」は開いた方がいいかな。

56.
彼女は、私を悩ませ続けていた電子メールには関係なかったが、何気なく私の事務所に入ってきたので、にらみつけるのに手ごろな相手となってくれたのだった。

<コメント>うーん、惜しいんですよね。「なってくれた」だったら「なってしまった」かな。全体の流れは悪くないと思います。
<余談>地道に続けるのが一番かなあと思います。

57.
叔母は腹立たしい電子メールとは何の関係もなかったが、何食わぬ顔で事務所に入って来たため、私は叔母を睨みつけた。

<コメント>叔母と伯母は違いに注意。「何食わぬ顔」は「何も知らないようなふり。」なのでちょっとニュアンスが違います。おばさんがはいってきたからにらんだのではなくて、にらんだ目線の先におばさんがいたんですね。
<余談>地道にたくさん読んでください。そうするとだんだん分かってきます。20年やっていますが、いまだに誤訳や読み違いとの格闘技です。

58.
叔母はその忌々しいメールとは無関係だというのに、何の気なしに私のオフィスに入って来たせいで、怒りの眼差しの格好の的になっていた。

<コメント>叔母と伯母は注意が必要です。「おばさん」と開いてしまった方がいいかも。「いまいましい」も同様。コジー系なので、さらっと読めるといいんですね。全体の流れは良いと思いますが。「怒りの眼差しの格好の的」は「の」が3つ並んでしまっているのでちょっと苦しいかな。
<余談>読書はこれでなければいけないという分野はないから良いと思いますが、いろいろな表現に気を遣うと良いと思います。

59.
彼女は私をイラつかせていたE-メールとは何の関係もなかった。けれども何食わぬ顔でつかつかオフィスに入ってきた彼女は、睨みつけるのにもってこいだった。

<コメント>eメールは(電子)メールで。「何食わぬ顔」というのは、「何も知らないようなふり」なので、ちょっとニュアンス違うんですね。
<余談>彼女はやはり避けたいところ。a handy target for a glareはうんと大胆に考えたら「飛んで火に入る夏の虫」みたいな感じですね。

<講師試訳>

おばさんは、私をいらいらさせていたメールとは何のかかわりもなかったが、何げなく私の事務所に足を踏み入れたばかりに、怒りの目線をもろに受けとめるはめになった。

<全体講評>

今月は破綻した訳文もなかったんですが、どうも話の流れを(先月の課題文同様)きちんと押さえないで訳してしまった方が多いようです。あと国語辞典引いてください。英和辞典で訳語を見つけて、それに飛びついていませんか? その訳語が正しいかどうか、さらに国語辞典を引くこと。敢闘賞の人数が少ないのは、そういう事情です。平均は高いけど、どこかしら今ひとつのところがあったということ。

今月の敢闘賞は、8さん、31さん、35さん、45さん、49さん。MVPは、34・山岸百合子さんです。精進してください。

<次回の課題文>

David Rohlの「Legend」から。

Legend is a powerful world. It tends to conjure up images of mythological creatures and battling heroes – a world in which the supernatural predominates over the mundane. You might be tempted, therefore, to regard all legends as pure fantasy – but you would be wrong.

上の3行を訳してください。これはIntroductionの書き出しなので、前はありません。常体(だである調)で。今月は簡単すぎるかな。

それではまた来月。

★★訳文の応募は締め切りました★★

ページ: 1 2 3 4