第54回 政治・経済を考える本はいかが?

■第53回ウルトラショート翻訳課題の講評

<課題文>
Happiness oozed from every cell in my body. No, wait. Ooze sounded bad, and what I was feeling was definitely not bad. Not by a long shot. I was in a zone. I radiated bliss. As my assistant Lottie pointed out, I had a certain glow about me.

<解説>

文章自体が難しいことはないわけですが、この課題文はいろいろと考えさせてくれます。oozeというのは

ooze
(名詞)A viscous, usually offensively dirty substance (動詞)To flow or leak out slowly

という意味で、日本語だと「だらだら流れ出る、にじみ出る、漏れる」といった訳語が当てはめられます。ところが日本語には「幸せがにじみ出る」という表現があって、この場合にはネガティブな意味合いがありません。そうすると、別の訳語を当てるか、あるいは「にじみ出る」をそのまま使ってニュアンスを変えるかといった方法が考えられることになります。一行目は厳密に訳せば、「私の身体の細胞の一つ一つから幸福がにじみ出ている」ですが、これはさすがに読みづらい。このままとりあえず訳すとすれば、「幸せが私の全身からにじみ出ている」と逆に変える手もあります。「No, wait」とくるから比較的、カジュアルな感じ。「ちょっと待って。」そこでOoze sounded bad, and what I was feeling was definitely not bad.「文字通り訳せば「にじみ出るは響きが良くないし、いまの感じは絶対に悪くない」といった流れになります。ところが日本語では「響きが良くない」ことはない、と。そうすると「にじみ出るじゃ弱いかも知れない。いまはもっといい感じ」みたいに変えることもできますね。「Not by a long shot」のlong shotは、「遠写し、大胆な[困難な]企て、勝ち目のほとんどない馬」といった意味ですが、 Not by a long shotとなると、「少しも~ない」という意味になります。ですから「全然悪くない」ということになります。I was in a zoneは、

In basketball, when you have the hot hand and the hoop is as big as an ocean.
She was in a zone, she took over the game.

といった意味になります。「being hot」ということですね。ですから「絶好調」みたいなのでもいいかな。「I radiated bliss」は、oozeと対比になっている感じで、blissが「extreme happiness、joy」ですから、「幸福に光輝いている」というニュアンス。assistantは助手でもアシスタントでもOK。アシスタントのロッティーが指摘したように「I had a certain glow about me」だから「喜びの光に包まれている」といった感じですね。このへんをうまくまとめて流れを作ってみてください。

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