第60回 ロック・アーティストのユーモラスな作品

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たやすいことではない、とりわけ昨今の資金の集まり具合たるや惨憺たるもので、百年を過ぎた建物が修理、改修に悲鳴をあげても、とにかく金がない。それに、うちの給料ときたらよそと比べて圧倒的に少なくて、スタッフもろくに確保できず、事務仕事も片付かないし、リクエストされた収集物を取り出して展示しようにも支障がある有様だった。

<コメント> 「修理、改修に悲鳴」というと、実際に修理や改修を行っているように読めますね。ここでは「修理、改修が必要だと悲鳴を上げても」くらいかなあ。retrieve and shelfで出し入れかな。
<余談> いやいや、もう引退したいw

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簡単な仕事ではなかった。ことに今の資金集めの状況は最悪で、築100年を超えるこのビルも修理や改築が必要だが、我々にそんな余裕はなかった。それに、払える給料も魅力的と言うには程遠く、十分な数の職員を確保して要望のあった品物を回収、整理することもままならなかった。

<コメント>女性だから「私たち」の方がいいかなあ。
<余談> 意味は間違ってないんですが、これは女性の言葉だからやっぱりこういう風にはならないと思うんですね。本当に細かなところなんですけど。それが色気。

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特に、資金集めが現在のような状況で、建てられて100年を超える我々の古ぼけたビルが金を吸い上げられ、まったく支払う余裕のない修繕やら改修やらが必要になってからというもの、そうすることは難しかった。それに、我々は相場からあまりにほど遠い給料しか出せなかったので、机にカバーをかけ、リクエストがかかった本を回収し棚に並べる十分なスタッフを逃さずにいることさえ苦しい状況だった。

<コメント>一行目はどこがどこにかかっているのかが分かりにくいですね。もっと読み手を意識してください。二行目も同様で、すーっと頭に入ってこないです。この「すーっと」の部分がとても大切。

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簡単なことではなかった。なんといっても、近ごろの資金調達の動向ときたら、修繕や改修工事が必要だと悲鳴を上げる築百年越えの建物に、まったく手もつけられない状況だったし、それに、うちが出す給料はほかにははるかに及ばず、事務仕事や依頼品の回収や陳列に必要な数の職員をつなぎ止めておくのにさえ苦労していた。

<コメント>「動向と来たら」は「動向のおかげで」とかかなあ。やや色気にまだ欠けるけど流れはあるので。
<余談>経験は何よりの力だったりします。もう53ですからね、きちんと引き時とかを意識しないといけないんだと思いますよ。70まで働くとしても、その中できれいに引かないと。

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楽な仕事じゃないし、このところ資金調達環境が悪化してからは特に厳しい。築百年以上にもなる老朽化した建物は、今すぐにでも修理や改修が必要な所だらけで、とても費用を賄いきれない。給料にしたって、他とはまったく勝負にならない額しか出せないので、なかなか職員をつなぎ止められず、カウンター業務をこなしたり、依頼された資料を取り出して、予約棚に取り置きする人手が足りない。

<コメント>悪くはないんですが、少し饒舌に過ぎるかなあ。足し込むのはなかなか難しいんですね。そのあたりのバランスが難しい。他の方の訳文に比べるとけっこう長くなっている、ということはまだ言葉をまとめられるということだと思います。
<余談> きちんと意味を取るのはまあ前提条件ですから。その上で、どこまで「日本語」としてきちんとしたものにするために自由でいられるかなんですが、これが難しい。retrieve and shelveはシンプルに「請求に応じて出し入れする」くらいでよいと思いますよ。

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容易なことではなかった。とりわけ昨今の資金集めにまつわる環境はひどいもので、この築百年以上の建物を修理・改修することだって全くできないでいる。その上、うちの給料はよそとは比べ物にならない安さで、デスクワークや書籍検索やリクエスト本の補充に必要な職員の確保にだって苦労してきたのだ。

<コメント>前半はいい感じの流れだと思うんですが、やっぱり色気が足りないかなあ。部分部分はいい感じなんですが、ところどころで言葉が硬くなってしまう。そのあたりのバランスでしょうね。

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それはたやすいことではなかった。とくに最近では資金をいくら集めても、築百年余りの建物を維持するために必要な修繕費や、果てしない金額の改修費に消えていた。それに給料がとても低いから、机にカバーをかけたり、リクエストされた資料を検索したりするのに十分な人手を確保することはできなかった。

<コメント>いくら集めてもというよりそもそも集まらないんですね。だから改修できない。机にカバーするのに人手はいらないでしょうね。
<余談> 解釈はそれで合ってます。でも他のところがちょっと失敗。何度も音読してみると良いですよ。

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それは容易なことではないのだが。とりわけ今は資金集めが話にもならないありさまなので、築100年を超える建物は、手の回りようもない修繕や改修を求めて悲鳴を上げていた。出せる給料もあまりにお粗末で、カウンター担当や要望のあった目録を調べたり棚出ししたりする人員を確保しておくのがひと苦労だった。

<コメント>悪くはないんですが、これもやっぱり色気がないんですね。「そう簡単ではない。今は資金集めも一苦労どころではないので、築百年を超えるこの建物はどこもかしこも修理や改修が必要というのに、そんな余裕もないし。」みたいな。こうしろということではなくて、もう少しさらっとしたいなということです。要はどういうキャラを作るかなんですね。
<余談> ああ、確かに少子高齢化はそういう方にも影響を与えるんでしょうね。ただ実際に文芸であれ、産業であれ、プロとしてやっていくとなると、スピードとか質とか価格とかいろいろと要求されるものが違ってきます。そのあたりでしょうね……。

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そんなこと容易にできやしない。なんといったって、資金集めに関する今日の風潮というものがある。築百年を超えて、あちこちガタがきているのに、修理・修繕をする余力のないこの建物だってその風潮の渦中にあるのだ。ついでに言っておけば、我々職員の給料だってそう高くはない。デスクに十分な備品をキープしたり、需要のあるもろもろの物を回収して棚に置いておくのにも一苦労するありさまである。

<コメント>うーん、風潮が二回繰り返されるのはどうかなあ。「余力がない」のは誰だろう。requestだから需要とは違うかな。やっぱり言葉が饒舌過ぎる気がします。あとこの人がトップなので、人を集める方です。公的機関なので請求のあったものを出したりしまったり、かな。

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それは簡単なことではない。特に、最近の資金集めの風潮にはうんざりしているので、この建造100年以上のビルがどうしても修理や改修を必要としているのに、それさえできないのだ。それに、私たちが支払った給料はひどく安くて、机に座り、必要な用品を探して棚に入れる十分な職員をつないでおくのも難しくかった。

<コメント>うんざりしているわけではないかな。最近は金が集まらないので、ということです。建造100年とはいわないんじゃないかなあ。築百年とか。offerだから提示するですね。要するに出せる給料は、ということ。小説なので時制を一つあげて考えると分かりやすい。
<余談> よかったですね。英和、特に文芸は難しいです。


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とくに資金集めがうまくいかなくなってからは、そう簡単ではなかった。私たちには築100年以上のボロボロの建物を修繕する余裕もなかったし、提示した給料が格段に安かったので、スタッフが集まらなかった。おまけに必要な備品を買うことすらできないありさまだった。

<コメント>このsinceは理由の方でしょうね。備品はちょっと違うかな。少しはしょりすぎかなあ。 <余談> 中之島図書館の閉鎖はうーん、ちょっと理解できない。

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簡単なことではない。募金が思うように集まらず、築百年を超える建物が必要としている修理や改築の費用も出せないような状態では、なおさらだ。よその求人と張り合えるだけの給与を出すこともできないので、受付係や、要望に応じて貸し出した図書の返却窓口と棚戻しを担当する職員を十分に確保しておくのも大変だった。

<コメント>うーん、図書に限定する必要はないんですが、細かいところを別にして、まとまってはいるんですけど、やっぱり色気がないんだなあ。女性が語り手という感じがしないんですね。
<余談> ブックフェアは嫁(児童書の翻訳やってます)が毎年招待状をもらっているのですが、いまだに行ったことがない……。いつか行ってみよう。

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簡単な事じゃない。しかもそれが目下資金集めに苦労している、築百年以上の建物での話とくればなおさらだ。改修工事は避けられない状態なのに、どうしても予算を捻出できずにいた。それに従業員の給料もたいした額は出せなかったから、貸出しを頼まれた本を探して棚に置く、受付の従業員の数を確保するのも大変だった。

<コメント>いや、このご時世だから集まらないんですね。集まらないので修理もできない。給料も安いから人も満足に雇えない。とほほ、という話です。
<余談> いろいろ言葉を変えたり、工夫したりするのは良いのですが、論理の流れは変わるとまずいんですね。今回のは難しかったのかなあ……。

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そう簡単なことではない。というのも、特に、最近の資金の集まりは悪く、この築100年以上の建物は、私たちにはとうてい支払えないであろうほど、随所で修理や改修を必要とする状態になっていた。また、私たちの提示する給料が安いため、受付や、依頼された本を書架から出し入れする係といった、日常業務を滞りなく進めるのに十分な人員を確保するのにも苦労していた。

<コメント>うーん、悪くはないんだけど、「必要としていたけど、そんな余裕はない」くらい。「提示する」だったら「出せる」とか。言葉の選び方をもっと平易にするといいでしょうね。
<余談> XX sucksというのは良く使われる表現です(俗語なので注意)。実際にネットで検索してみるとこういう風に使うんだと分かるはず。

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それは容易なことではない。その理由は大きく分けて2つある。1つは、築100年を超える建物にどうしても必要な修理・改修費が協会ではとてもまかなえない上に、現在の資金調達環境では集められないからだ。もう1つは、協会が出す給料が非常に低いために、受付に座り、依頼されたものを検索して棚に置くための十分な人数のスタッフを雇い続けることが難しいからだ。

<コメント>うーん、何か論文みたいになってます。女性協会長の独白だから、こうはならないよねえ。「検索して棚に置く」もちょっとおかしくありませんか? 何か一工程抜けているような。

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難しいのよね。なんといっても最近の資金繰りが難しいから、100年以上経つ建物の改装の件なんて最悪よ。私たちも余裕がないしその上、給料アップなんてなおさら期待できない状態。定員オーバーで机の取り合いは起こるし、懸案事項は検討してもすぐ棚上げになるしね。

<コメント>アイデアは悪くないんですけど、さすがに原意から離れすぎ。給料アップじゃなくてベースが低いんですね。定員オーバーじゃなくて定員に満たないんです。懸案事項じゃなくて、物理的なもの。
<余談> 凝っているというか、難しすぎたのかなあ……。こちらは難しいとは思わずに出してるんだけど(^-^;

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でも、言うほど楽ではない。特に、現在の資金調達環境のもとでは、築100年以上の建物の改修・改善に資金が吸いこまれてしまい、単に金銭的な余裕が無いのである。更には、支給可能な給与にも競争力が無くなってきており、仕事をこなすのに十分な職員の確保が出来ず、要求された項目を見直し棚上げせざるをえない。

<コメント>修理したくてもできないんですね。that we simply couldn’t affordですから。確かに競争力がない給与なんですが、そうはいわないよねえ。「出せる給料も安いので」とかもっとさらっと言うんじゃないかなあ。
<余談> ”to cover the desks”はネットで用例を検索してみるといいです。enough to cover the desks and enough to retrieve and shelve items requestedですね。

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甘くないなぁ。今の不景気な世の流れは、築100年以上の建物を苦しめる。よって、修理も改築もしてやれない。そんな余裕はないのだ。それに、給料が上がらないから、必要なものを揃えるのにさえ苦労する。

<コメント>少しはしょりすぎたかなあ。建物を苦しめるんじゃなくて、建物の方が早く修理してくれーと悲鳴を上げているけど、ということですね。給料が上がらないんじゃなくて、もともとのベースが低いので人も集まらない、ということです。
<余談> No Nukes!

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