第69回 ハワイからお届け~創造力のヒント本&コジー・ミステリー

■第68回ウルトラショート翻訳課題の講評

What if he was – in principle – right? Are we in debt to anyone or anything for the bare fact of our existence? If so, what do we owe, and to whom or to what? And how should we pay?

heはSeton Seniorなので工夫すること。常体(だである調)で。

<解説>

前振りを含めてざっと訳しておきましょう。

Canadian nature writer Ernest Thompson Seton had an odd bill presented to him on his twenty-first birthday.

「カナダ人の自然作家であるアーネスト・トンプソン・シートンは、21歳の誕生日に風変わりな請求書を渡された。」 文章自体は難しくないですが、シートンはあのシートン動物記のシートンで、厳密には英国生まれのScotts-Canadianで後にアメリカに帰化しています。「これは父親が記録していた若きアーネストの幼年時代から少年時代に関わるすべての費用の記録であり、その中には出産時の医師の費用まで含まれていた。」 ここも難しいところはないと思います。「さらに奇妙なことに、アーネストはもう払ったと言われた。以前は、シートン父は変人だと思っていたが、いまでは悩むようになった。」

ここからが問題です。

in principleは「原則的に」といった意味ですが「基本的に」と訳してもここでは大丈夫でしょう。「シートン父が基本的に正しいとしたら?」 existenceは存在です。bare factはここでは「ありのままの事実」ですね。「私たちが存在していること自体によって、人や何かに対してin debtである」わけですから、ここでは「借金」と訳すと難しくなります。むしろ「借り」とかの方がいいかな。「カネ」の話とは限らないので「借金」よりも「債務」(特定の人に対して、一定の給付をしなければならないという義務。)の方が良いかも。そうすると「人や何かに借りがあることになるのだろうか?」くらいかな。「If so, what do we owe, and to whom or to what?」は「(そう)だとすれば、私たちが借りているものは何であり、相手は誰、あるいは何だろうか?」 そこでさらに分けて、「And how should we pay?」となっています。「どうしたら(借りが)返せるのだろうか?」

その先も訳しておきましょう。「この本を書いた動機は、私自身の好奇心であり、この本を書くことで、自分がほとんど何も知らないが、それ故に私の興味をそそる主題(テーマ)を追求できることを望んでいる。その主題が「借り」なのである。」ですからカネや資本的な意味での借りよりもowe something to s.o/s.t.を追求するとしているわけですね。

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