第74回 読者に伝わる訳文を作るには

21.
1台のトヨタのバンがやってきて、ヘッドライトが橋の下の暗がりを照らしだした。ガルヤは震える体を橋脚に押しあてると、氷のように冷たいコンクリートを頬に感じた。

<コメント>「照らし出す」だと暗がりがはっきり見えちゃうんですね。「押し当てる」はちょっと違うかな。「と~感じた」だと、コンクリートの冷たさを感じたかったようにも読めます。
<余談> 難しいですね。自分の日常生活を頭の中で表現してみる訓練をしてみるといいですよ。意外に上手く表現できないことに気付くはず。駆け出し時代、自分は電車に乗りながら、雑誌のキャッチコピーを英訳したりしていました。

22.
トヨタの白いバンが近づいてきた。ヘッドライトに照らされできた影が、橋の下から伸びてくる。ガルヤは震える体をぴたりと柱にくっつけた。氷のような冷たさが頬に当たる。

<コメント>floodだから照らすですね。影が伸びてくるというわけではないです。それ以外はうまくまとまっていると思います。

23.
トヨタの白いバンが近づいてきて、ヘッドライトの光が橋の下の暗がりを照らした。ガルヤは震える体を柱にぴったりと寄せ、凍てつくような冷たいコンクリートに頬を押し当てた。

<コメント>うーん、前半はいいんですが、最後の部分は、頬を押し当てた結果として、コンクリートを冷たく感じたんですね。このあたりの順番はとても大切です。
<余談> 道は長く、遠いですが、こつこつとがんばりましょう。

24.
白いトヨタのバンが近づいて来た。ヘッドライトの光で橋の下に影があふれている。ガルヤは震える身体を柱にぴったりと押し付けた。コンクリートが頬に氷のように冷たい。

<コメント> floodは、
2 〈光などが〉〈場所に〉みなぎる《★しばしば受身で用い, 前置詞は with, by》.
* Autumnal sunlight ~ed the room.=The room was ~ed with autumnal sunlight. 秋の陽光が部屋にみなぎっていた.
b 〔光などを〕〈場所に〉みなぎらせる〔with〕.
* ~ the stage with light 舞台に照明の光をみなぎらせる.
という意味です。後半はうまく訳しましたね。
<余談> お役に立てて何より。いろいろなルールがあってこれに絶対に従わなければいけないということはないんですが、自分の中で得心がいかない時の参考にはなると思います。

25.
トヨタの白いバンが近づいてきた。ヘッドライドが橋の下の暗がりを照らし出した。ガルヤは震えながらコンクリートの柱にへばりついた。氷のような冷たさが頬に伝わってきた。 <コメント> 「ヘッドライト」ですね。「照らし出す」だと影が濃くなってしまいます。語尾が「~た」で並ぶのは避けたいかな。

<コメント>「へばりつく」がいやなら「身体をぴったりと寄せる」とかいろいろできると思うんですね。日本語の本を読むときに、どういう表現が使われているのかを意識するといいかも知れません。

26.
白いトヨタのバンが近づいてきた。ヘッドライトの光が橋の下に大きな影を作る。ガルヤは震えながら橋脚にぴったりとはりついた。コンクリートの氷のような冷たさが頬に沁みる。

<コメント>ガルヤは影の中にいるわけですが、そこに光が当たるんですね。震えながらでも意味としては同じなんですが、震える身体の方がいいかな。最後のところは上手く工夫してあると思います。

27.
トヨタの白いバンが近づいてきた。ヘッドライトが橋の下の暗闇をまぶしく照らす。ガルヤが震える体を柱に押し付けると、コンクリートの氷のような冷たさが頬を刺した。

<コメント>「まぶしく」はなくてもいいかなあ。使うなら「明るく」とか。でも全体としては良くまとめてあります。
<余談> ジョギングいいですね。8月10日くらいから歩き始めて1ヶ月。体重が1キロは減りました。といっても目標はまだ遠く、いまは朝でようやく65キロ台が出るようになったくらい。一番太っている時で67キロ台。これをあと2キロは落としたいですが、さて。

28.
一台の 白いトヨタ製のバンが近づき、そのヘッドライトが橋の下の暗がりを照らした。ガルヤは頬の上のコンクリート製の氷のように冷たいその柱に震える体を添わした。

<コメント>前半は少し説明的過ぎるかな。後半は「~の」が多くて読みにくいかも。まず身体を押しつけた、結果として頬にコンクリが冷たいという展開ですね。

29.
白いトヨタのヴァンが近づき、そのヘッドライトで橋の下の陰が照らし出される。ガルヤが震える身体を柱にもたせかけると、コンクリートの氷のような冷たさが頬に伝わってきた。

<コメント>「影が照らし出される」というと、ちょっとニュアンスが違うんですね。「もたせかける」はflattenほど強くないです。ただ最後の文のまとめかたは良いですね。

30.
白いトヨタのバンが近づいてくる。ヘッドライトに照らされ、橋の下から影が溢れ出す。ガルヤは柱に震える体をぴったりとつけた。頬にコンクリートの氷のような冷たさが伝わる。

<コメント> 「影が溢れ出す」というと、影が大きくなったように読めます。それ以外はうまくまとめているので、ちょっともったいなかったな。
<余談> 暑かったですね。今この原稿を書いている部屋の外は台風の暴風雨です。

31.
白いトヨタ車が向こうからやって来た。ヘッドライトが橋の下にたくさんの影を映し出している。ガルヤは体を震わせながら柱にもたれかかった。頬にコンクリートの氷のような冷たさが突き刺さる。

<コメント>floodの意味は上の通り。影が光で満たされるんですね。「もたれかかる」は身体を預ける感じが強くて、ここではflattenですから、もっと必死です。
<余談>でも仕事があるだけ良いと思います。翻訳自体は上達するにはとても長い時間がかかります。どこまで粘るかでしょうね。

32.
トヨタの白いトラックが近づいてきた。ヘッドライトが橋の下を光と影で満たす。ガルヤは柱のかげに震える体を伏せた。冷え切ったコンクリートが頬につく。

<コメント>うーん、意識的に「光と影」にしたのかな。でも光と影があれば、影に隠れればいいんですね。柱の影に伏せると地面の上に寝てしまうので、コンクリートの冷たさは感じられないかと。もっと視覚的に場面をとらえてみましょう。

33.
トヨタの白い乗用車が近づいてきた。ヘッドライトで橋の下の暗闇を照らしながら。ガーリャは頬に氷のようなコンクリートの冷たさを感じながら震える体をぴったりと柱につけた。

<コメント>バンを乗用車とするのはちょっと抵抗があります。三行目は読点を打たないと読みにくいですね。

34.
トヨタの白いバンが走ってきた。ヘッドライトの影が橋の下に長く伸びる。不安におののきながらガルヤはコンクリートの柱に身を寄せ、その氷のような冷たさを頬に感じた。

<コメント>「ヘッドライトの影」は伸びないと思います。「不安におののく」は足しすぎ。flattenだから身を寄せるよりも強いと思うんですね。
<余談> 目自体の持って生まれた強さもありますね。自分は視力はまったくだめなんですが、比較的疲れないのが強みかな。その分意識して、遠くを見たりとかはしていますが。これから大事にしましょう。

35.
白いトヨタのバンが近づいてきて、橋の下の暗闇にヘッドライトの明かりがあふれた。ガルヤは震える体を柱にぴったりと押し付けたが、ほほに触れたコンクリートは氷のように冷たかった。  

<コメント>そつなくまとめた感じかな。「バンが近づき」くらいでもいいかもしれません。「が」がちょっと気になるかな。
<余談> 文法的にはそういうことです。

36.
白のトヨタのバンが近づくと、この車のヘッドライトで橋の下に多くの影が映し出された。ガリヤは震える彼女の体を橋の柱に寄りかからせた。彼女のほほは氷のように冷たいコンクリートの上にあった。

<コメント>もちろんヘッドライトの光で影もできるんですが、光があたった場所は明るくなるんで、そっちの方なんですね。ガリヤの他に女性がいるように読めます。

37.
トヨタ製の白いバンが近付き、橋の下に広がる暗闇をヘッドライトで照らした。ガルヤは、震える体を橋の支柱にぴったりとつけ、コンクリートのひんやりとした冷たさを頬で感じた。

<コメント> さらっと訳されていて良いと思います。柱の支柱は「橋脚」とかでもいいかな。「ひんやり」よりはもっと冷たいと思いますが。
<余談> 意識して読まないとなかなか出てこないかも知れませんね。

38.
トヨタの白いワンボックスカーが近づいてくる。ヘッドライトが暗い橋の下を明るく照らした。ガルヤは震える体を柱に押し付け、コンクリートの氷のような冷たさを頬に感じていた。

<コメント>これもシンプルにうまくまとめた感じですね。ただ「ワンボックスカー」はバンでいいんじゃないかなあ。最後のところは良い感じです。

39.
トヨタの白いバンが近づいてきた。そのヘッドライトが橋の下の暗闇を照らしている。ガルヤは、凍りついた表情で、震える体を柱に押しつけた。

<コメント>「その」は避けたいかな。日本語に訳すときのコツの一つがどれだけこそあど言葉を削るかなんですね。「照らしている」だと状態に読めてしまうので、「照らす」とした方がすっきりするかも。表情が凍て付いていたのではなくて、冷たかったんですね。身体をコンクリートに押しつけたから。
<余談> 僕も体力の衰えは感じます。それ以上に気力の衰えがすごいですが。お互い健康には注意しましょう。

40.
ヘッドライトが橋の下面にさまざまな影を次々と映し出しながら、トヨタの白いバンが1台近づいてくる。ガルヤは、震える体を橋脚に押し付けた。そのコンクリート製の柱は頬には氷のように冷たかった。

<コメント>「ヘッドライトが」と頭に持ってくると難しくなります。車が近づく>影を照らす>身体を隠す>頬にコンクリが冷たいという流れをうまく出しましょう。
<余談> 年齢が上がるほど、文体の幅を広げられなくなるんですね。だからこそ意識していろいろな文章を読むようにすると良いです。

41.
トヨタの白いワゴン車が近づいてきて、ヘッドライトが橋の下に広がる闇を照らし出した。ガルヤは震える体を柱にもたせかけたが、頬に触れたコンクリートは氷のように冷たかった。

<コメント> 「照らし出す」だと闇の方が強調されてしまうんですね。「~が」だと逆接にも読めてしまうんです。そのあたりを注意しましょう。
<余談> お帰りなさい。またチャレンジしてね。

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