Vol.4 イギリス ウエスト・ヨークシャー
平松里英さん〈生活編〉

コロナと脱EUで感じる生活面の変化

コロナ禍になってから1年以上が経ちますが、その間自宅と仕事場にしている離れ以外の場所に行ったのは数えるくらいしかありません。別の場所に住んでいる家族や友人とも会えず、今年に入ってからはイースターサンデーあたりでロックダウンが緩和され、やっと少し人と会えるようになったので、そこで久しぶりに生身の人間に会ったという感じでした。ワクチン接種開始から、国内の感染者数はピーク時より大幅に減少しています(21年4月下旬時点)。家族はすでにワクチン接種済みで、私も夏までに接種を受ける予定です。

また、コロナ禍でほとんど忘れられている気がしますが、イギリスが正式にEU離脱をしたのは2020年の12月31日。そこから数カ月が経ちました。私の住んでいる地域でも、青物などがアフリカや中近東、中南米からのものにとって代わっています。遠いところから運ばれてくるぶん、鮮度など品質にも影響していますし、品種も以前は見たことがないような食べ方のわからない(笑)果物などがあります。一方でこれまで当たり前にあったような物品の供給が不安定になっているのを実感します。それも1種類や2種類といったレベルではありません。

そろそろパブやカフェが営業を開始することを思うと、夏に向けて気分も盛り上がってくるでしょうし、徐々に景気も回復の兆しが見えてきたと言えると思います。ただ、実体経済が大きく打撃を受けた今回の経済・医療危機では、廃業に追い込まれた地元企業や店舗が多いのが残念です。イギリスも例外ではなく、地元の小さなお店なども閉店を余儀なくされたところが沢山あると聞きます。

一度潰れたお店は、実店舗がなくなると、たとえ老舗であって
も蘇らせることはできないので、本当に胸が痛いです。ずっと外出していないので、まだ実感が伴っていないのですが、これから外に出るようになると、いやでも気づかされるようになると思います。コロナ禍になってから、オンラインでの買い物がほとんどになりましたが、それでも食料品や花など、金銭的体力のない地元のお店を支えたいと、できるだけ地元のお店を利用するようにしています。近所の人たちも立ち話しをしたところでは同じ気持ちのようでした。

ロックダウンが一時解除された昨年の夏に息子がイスラム教徒の女性と結婚式(正式にはNikaというイスラム教の結納のようなもの)を挙げたときの様子。時代の移り変わりや多様性を身を持って実感した。

地元のオススメスポット
ヨークシャーには、ドラマ『ダウントンアビー』のロケ地・モデルとなった地域があり、ブロンテ姉妹の暮らした家や『嵐が丘』や『ジェーン・エア』などの舞台になったところもあります。イギリス国内で自由に旅行に行けるようになったら、ドラマや映画にも出てくるNorth Yorkshire Moors Railwayに乗ってNorth York Moors National Parkを訪ねたいと思っています。
また、ハロゲイトに本店がある「Betty’s」は日本でも熱心なファンがいるティールーム。お店の人たちは気さくで、これぞティールームという気分を味わいながら、レトロなインテリアのなかで素敵な時間が過ごせます。店を訪れたら、名物のYorkshire Fat Rascalを召し上がってみてください。レモンピールやオレンジピールなどドライフルーツが入ったスコーンという感じのお菓子です。他にもヨークシャーならではのお菓子やブレンドティーがあり、アフタヌーンティーセットは予約必須です。

名店「Betty’s」で楽しめる伝統的なアフタヌーンティーセット。

 

(『通訳・翻訳ジャーナル』2021年夏号より転載)

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