現役翻訳者やディレクターが現場のノウハウを指導

映像テクノアカデミアは、映画やドラマ、ドキュメンタリーの日本語版制作で長年の実績を誇る㈱東北新社が運営する映像専門校。映像・広告クリエイター科、映像翻訳科、声優・俳優科の3科を開設し、映像翻訳科からはこれまでに多数の「映像翻訳のプロ」を輩出している。

映像翻訳科の核となるのが本科だ。字幕・吹替の基本を学ぶ入門クラス(半年)、字幕・吹替の基本を固めながらVO(ボイスオーバー)についても学ぶ基礎クラス(半年)、演習主体の授業で字幕・吹替の日本語表現力を磨き上げる研修クラス(1年)からなり、2年間で未経験からプロレベルへと引き上げていく。

本科の講師を務めるのは、劇場映画や海外ドラマなどを手がける現役翻訳者および東北新社翻訳室スタッフ、字幕版や吹替版の演出を行っている同外画制作事業部のディレクターなど。翻訳や日本語版制作を知り尽くしたプロフェッショナルたちが、現場のノウハウを細やかに指導している。教材にはバラエティに富んだメジャー作品を使用。映画やドラマの翻訳者を育てることを強く意識したカリキュラムとなっている。

本科2年目の研修クラスでは、字幕制作ソフト「SST-G1」の基本操作を学ぶ特別実習も行われる。さらに、プロの声優が受講生の翻訳台本で演技し、ディレクターが講評するアフレコ実習、声優・俳優科の受講生とともにドラマの吹替版をつくるコラボレーション特別授業も実施。こうした現場体感型の演習は、老舗映像制作会社と一体化した同校ならではといえる。

映画に絞った専科も開設 トライアル制度でプロへ導く

本科研修クラスを修了すると、映画翻訳に特化した「専攻科・映画翻訳専科」に進むことができる。1クラス10名までの少人数制のもと、講師のきめ細かい添削指導を受けながら、字幕と吹替1本ずつ長篇映画の完全翻訳に取り組む。字幕と吹替をセットにした1年間のコースだが、2017年4月期からは字幕あるいは吹替だけの単科受講(各半年)も可能だ。

修了後のフォローとして、東北新社と連携したトライアル制度を設けている。同社外画制作事業部による「翻訳者採用試験」を毎年4月と10月に実施し、成績優秀者に仕事を発注するというシステムだ。本制度により、これまでに数多くの修了生がフリーの翻訳者、あるいは同事業部の翻訳室および字幕課の契約社員として映像翻訳業界へと進んでいる。

このトライアルは同校の在校生・卒業生しか受けられないが、映像翻訳学習経験者を対象とした編入試験に合格すれば、本科研修クラスからの受講が認められ、1年でトライアル受験資格を得ることができる。そのため、スキルアップや仕事の幅を広げるためのステップとして編入試験に挑戦する人が少なくない。

トライアルで惜しくも合格を逃したが、専科在学中のパフォーマンスにより、仕事を受注する受講生が増えているのも近年の特徴である。

また2017年5月には、同校初となる大阪でのクラス開講を予定している。

修了生インタビュー

修了生 李静華さん(リ・ジョンファ) 関西外国語大学外国語学部英米語学科卒。映像テクノアカデミアに学び、2006年11月に東北新社入社。外画制作事業部翻訳室の翻訳者となり現在に至る。主な作品に『俺たちフィギュアスケーター』(劇場映画、字幕)、『ミスターGO! 』(劇場映画、吹替)、『FRINGE/フリンジ』(TVシリーズ、字幕・吹替)、『Lの世界』(TVシリーズ、吹替)など多数。現在は映像テクノアカデミア講師も務めている。

修了生
李静華さん
(リ・ジョンファ)

関西外国語大学外国語学部英米語学科卒。映像テクノアカデミアに学び、2006年11月に東北新社入社。外画制作事業部翻訳室の翻訳者となり現在に至る。主な作品に『俺たちフィギュアスケーター』(劇場映画、字幕)、『ミスターGO! 』(劇場映画、吹替)、『FRINGE/フリンジ』(TVシリーズ、字幕・吹替)、『Lの世界』(TVシリーズ、吹替)など多数。現在は映像テクノアカデミア講師も務めている。

「現場」を感じられる雰囲気のなか
いい準備と実践訓練ができました

東北新社の社内翻訳者として、映画やドラマの字幕・吹替を手がける李静華さん。入社10年目の2016年も、劇場公開作『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』を始め、数多くの作品を担当した。映像テクノアカデミアで習得したノウハウが、今も仕事をする際のベースになっている。

「アカデミアを選んだのは、コース体系が充実しているから。プロを目指す以上、時間をかけてじっくり学びたいと思いました」

これまでにドラマ、コメディ、ミステリーなど多様な作品を訳してきたが、「最初の2年(現・本科)で幅広いジャンルの作品を教材に学んだことがいい“準備”になった」と在学時代を振り返る。3年目(現・専攻科)に字幕と吹替の全訳に取り組んだことも、有益な経験になった。

「1本訳すのにかかる時間や労力を体感でき、英語以外の外国語が出てきたときの訳し方やスクリプトにない台詞の処理など、さまざまなシチュエーションの対処法を学ぶことができました。実践力が鍛えられたと思います」

大きなモチベーションとなったのは、教室に漂う「現場」の空気。例えば「アフレコ実習」では「声優さんが演じるとこうなるのか」と新鮮な驚きを感じた。何より著名な現役翻訳者たちに教わることで、「『先生方のようなプロになりたい』とやる気が沸いた」という。

修了後、東北新社のトライアルに合格。しばらくフリーランスとして仕事を請け、2006 年11月に同社翻訳室の一員となった。「好きなこの仕事をずっと続けていきたい」が、率直な今の気持ち。望んだキャリアを歩んでいるから、後進にはこんなエールを贈る。

「私は映像翻訳者になるために、勤めていた会社を辞めて大阪から東京に出てきました。『やりたい』と思ったときが“はじめどき”。勇気を持って最初の一歩を踏み出してほしいですね」