修了後、インターグループでの稼働現場を想定した演習で
多様なニーズに対応できる翻訳者を養成

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㈱インターグループのプロ養成校として、高いスキルと専門知識を備えた翻訳者を多数輩出している。翻訳エージェントに登録するための試験(トライアル)を受けるには3年程度の翻訳の実務経験が必要となることが多いが、インタースクールでは最短で1年で修了し、実務経験がなくてもインターグループ翻訳者採用試験を受験できるなど、現場直結の手厚いキャリアサポートも魅力だ。

訪問クラス 翻訳基礎コース レベルⅠ

イギリスの古典作品で文学にふさわしい表現を学ぶ
 
「翻訳基礎コースレベルⅠ」は、英日・日英のライティング練習や翻訳演習などを通して、翻訳の基礎固めを行う講座だ。担当講師は、ベテラン翻訳者として活躍中の平井通宏先生。今回は、全15回のうち第6回の授業をレポートしよう。

授業は「Grammar Exercise」から始まった。この学習は、「能動態・受動態」に関する練習問題のプリントが配付され、指名された受講生が口頭で答える、という形式で進む。一見、簡単そうに見える能動態から受動態への書き換えだが、実は10問すべてに間違いやすい箇所が隠れているため、慎重に考えて答える必要がある。平井先生は、一つひとつを丁寧に解説しながら、文法上のポイントを示していく。例えば、知覚動詞や使役動詞を受動態で使う時の注意点や、動詞と前置詞のコロケーションについても詳しい補足説明があるので、受講生にとっては改めて英文法を見直す機会になりそうだ。

「Grammar Exercise」の後は、英日翻訳演習に移る。第6回の課題は、イギリスの女性作家による古典文学から取り上げられている。平井先生はまず、「誰の小説かわかりましたか? 訳してみてどうでしたか?」と投げかけ、受講生に発言を促す。受講生の中には外国文学になじみのない人もおり、課題の難易度は普段の読書傾向や趣味などによってそれぞれ違ったようだ。

「では、皆さんの訳文を見ていきましょう」の合図で平井先生の講評に進む。平井先生は、教室のモニターに受講生の訳文を映し、原文の解釈の仕方、訳語の選び方、文法上の注意点、文学にふさわしい語彙や文体の選び方、漢字表記の仕方などについて、一人ひとりに丁寧に指導をしていく。例えば、He was quite young, wonderfully handsome,…のhandsomeの訳「(ハッとするほどの)美形で」に対しては、「この文脈では少し強すぎる。文学の翻訳は特に形容詞の訳出が難しいので、じっくり考えていちばん合う日本語の形容詞を探そう」とアドバイスする。また、体言止めを多用している人には、「くだけた印象を与えるので、この種の翻訳では避けたほうがいい」と助言するなど、今回のテーマ「文学」を強く意識した講評が続いた。

技術系英日翻訳のコツ and と or の場合

受講生全員の訳文を検討した後は、第6回課題のまとめとして、同書の訳書から抜粋した訳文と平井先生自身の訳例が示される。それらを読んだ受講生からは、さまざまな感想や質問が出る。「…unable to accept the honour of their invitation, etc. のetc. はどう訳出するのが適切か」「和文で『?』を使ってもいいのか」などの質問には、この教材の中での文脈に沿った訳し方に加え、一般的な訳出の仕方についても解説があった。

授業の最後は、「Assorted Exercises」で技術系の英日翻訳のコツを学ぶことになった。短い英文10本程度が書かれたプリントが配られ、30分ほどかけて各自が和訳する。その後、指名された受講生が訳文を読み上げ、それを受けて平井先生が解説を行うという流れだ。今回の練習問題は「andとorの訳し方」がテーマで、技術系の文書からさまざまなパターンが取り上げられている。

例えば、Analyze the policies of Companies A and B and their common goals. の一文をどう訳すか。ここでの訳出のポイントは、andで結ばれたどの語とどの語が並列で、どの項目とどの項目が同格かを見極め、それらの階層の違いがわかるように正確に示すこと。平井先生は、「abcから成るAと、Aと同格のBを並べる場合は、『a、b及びc並びにB』となる」というルールを説明した上で、誤訳「A社ならびにB社の方針および彼らの共通目標を分析しなさい」と改善訳「A社およびB社の方針ならびに両社の共通目標を分析しなさい」を示す。ふだん何気なく使うことが多いandという単語も、分野や文書の種類によって訳語が細かく定められていることがよくわかる。同様にorについても訳出ルールの丁寧な解説があり、「Assorted Exercises」が終了した。

「翻訳基礎コースレベルⅠ」では、ビジネス・産業系から出版系に至るまで、多様な文章に幅広くふれながら、翻訳の基礎を学ぶことができる。修了者には「同レベルⅡ」「翻訳本科コース」があり、さらにその先には㈱インターグループの翻訳者登録へ向けたトライアルもある。プロを目指す人には、“初めの一歩”に最適のクラスといえそうだ。

講師コメント

「翻訳基礎コースレベルⅠ」 平井通宏先生 ひらい・みちひろ 東京大学工学部電子工学科卒。米国ペンシルヴァニア大学工学修士(MSE)。大手電気機器メーカーで汎用コンピュータ事業部副技師長、外国語研修所長などを歴任し、2002年に㈲平井ランゲージ・サービシズを設立。英日・日英翻訳者として活躍する傍ら、2018年4月よりインタースクール「翻訳基礎コース」の講師を務めている。

「翻訳基礎コースレベルⅠ」
平井通宏先生
ひらい・みちひろ

東京大学工学部電子工学科卒。米国ペンシルヴァニア大学工学修士(MSE)。大手電気機器メーカーで汎用コンピュータ事業部副技師長、外国語研修所長などを歴任し、2002年に㈲平井ランゲージ・サービシズを設立。英日・日英翻訳者として活躍する傍ら、2018年4月よりインタースクール「翻訳基礎コース」の講師を務めている。

全員の訳文を共有して検討する中で自他への講評を参考にしましょう
「翻訳基礎コースレベルⅠ」では、さまざまなジャンルの多彩な文章にふれながら、英日・日英翻訳および英文ライティングの基礎を学びます。指導の際は、日本人が間違いやすい箇所を意識して取り上げ、そこに重点を置いて解説するようにしています。基礎コースということで、課題では短文も多く扱いますが、短文であっても決してスムーズに訳せるわけではなく、学ぶべきポイントが含まれている文を厳選して使っています。全15回の授業で扱った文を整理し、ポイントを覚えるだけでも、かなり有益な教材になることでしょう。

翻訳スクールでは、教材を通していろいろな世界にふれることができますし、クラスメートや講師の訳文からもたくさんのことを学べます。授業中は、全員の訳文を共有して検討しますので、自分への講評とともにクラスメートへの講評も参考にしていただきたいと思います。インタースクールの受講生は、積極的な人が多く、授業中も活発に発言したり質問したりします。講師にとっては、その前向きな姿勢がうれしいですし、いい刺激になります。受講生同士、また受講生と講師がお互いに学び合えるところがいいですね。

プロの翻訳者になるには、広く多様なジャンルを知りながら、かつ、自分の専門性を高めるという、縦方向と横方向への展開が必要です。横方向へは、ターゲット言語でいろいろな分野の文章を読み、自分の世界を広げる努力をしましょう。縦方向へは、日本語でもかまわないので自分が得意な分野を作り、その分野について継続して勉強することが大事です。翻訳会社に「この分野ならこの翻訳者」と覚えてもらえるよう、専門分野をきわめましょう。